フランクフルト・アム・マイン
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このため、交易相手はこの徒渉地を「フランケンフルト」と呼んだ[6]

年代記作者のティートマール・フォン・メルゼブルク(ドイツ語版)は、1014年から1017年に、カール大帝によるこの街の創設に関する現在まで知られている伝説を記述している[7]。それは、ザクセン戦争と関連している。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}「信頼できる人々から聞いたことを今から私が物語ろう。ピピン王の王子カール大帝の治世に、あなたがたの先祖と我々の祖先(ザクセン人)との間で戦争が起こった。この戦いでフランク人は我々の祖先によって打ち負かされた。彼らが不案内な徒渉地を通ってマイン川を渡らねばならなくなった時、彼らの前を一頭の雌シカが川を渡り、神の温情をもって渡るべき道を示した。彼らはシカに続いて川を渡り、陽気な気分で安全な岸にたどり着いた。これ以後、この村はフランクフルトと呼ばれるようになった。」—ティートマール・フォン・メルゼブルク、『年代記』VII, 75

実際には、カール大帝はザクセン族とマイン地域で戦ったことはない。また、勝利した王によって捕らえられたザクセン族の定住地であるとする誤ったフランクフルト=ザクセンハウゼンの名前の成立史についても、単なる伝説である。これらは、おそらく794年に北ドイツで蜂起したザクセン族鎮圧のための遠征直前に立ち寄った史実が、口承によって様々な話と混じり合った事に由来すると思われる。

フランクフルトの名前と創設に関する他の伝説は、現在ではあまり知られていない。それは特に近世初期にフランクフルトの重要性を神秘的に高めるために利用された話である。人文主義者ヨハンネス・トリテミウスは、15世紀にフランクフルトの同意語として「ヘレノポリス」という地名を用いた。この地名は、18世紀まで他の人文主義者によって時折使われていた。この地名の由来は明らかではない。ヘレノポリスは、プリアモスの息子でトロイアから逃走したヘレノスがこの地を居と定め創設した街であるという。別の著者は、コンスタンティン大帝の母ヘレナに由来するとも記述している。

トリテミウスの神話は、フランクフルトの名前の由来も明らかにしている。それによれば、紀元130年頃 Hogier 公 Francus が古いヘレノポリスの街を再興し、自らの名前にちなんで Frankenfurt と名付けたという[8]

元来の名前 Franconofurd は中世に Frankenfort または Frankinfort、近世に Franckfort および Franckfurth と変化した。そして遅くとも19世紀の初めには、Frankfurt という表記が確定した。

名前に添えられた「アム・マイン」は「マイン川沿いの?」を意味しており、同名の別都市との区別のため最も古くは14世紀から、しばしば付けられるようになった[注釈 1]。日常的には、オーデル川沿いのフランクフルトと混同する恐れがない限りは、「フランクフルト」と短縮される。また、Frankfurt/Main あるいは Frankfurt a. M. 表記方法もしばしば見られ、鉄道関係では Frankfurt (Main) という表記も残っている。さらに FfMなどの略号も用いられる。
地理フランクフルト市内の最高地点に立つベルガー・ヴァルテ
位置

フランクフルト・アム・マイン市は、南西ドイツのタウヌス山地南東麓マイン川下流の両岸に位置し、ドイツで最も重要な経済圏を形成している。市域の約1/3がフランクフルト緑地帯景観保護地域に指定されている。これにはドイツ最大の都市林であるフランクフルター・シュタットヴァルトが含まれる。市域は東西23.4km、南北23.3kmの広がりを持つ。

自然構造物で最も高い地点は、ゼックバッハ市区ベルガー・リュッケンのベルガー・ヴァルテ(直訳すると「山の監視所」)のある位置で、海抜 212.6 m である。一方最低地点は、ジンドリンゲン市区のマイン川の河原で、海抜 88 m である。本市は、バーゼルからライン=マイン地域にいたるオーバーライン地溝の北端にあたる。

現在の市域の地理上の重心、すなわち地理的中心点は、ボッケンハイム区のフランクフルト西駅付近で、歴史的市街地の外側にある[9]
地質

フランクフルトの市域は、大部分がウンターマインエーベネ(マイン川下流域盆地)西部に属す。市の東部はハーナウ=ゼーリゲンシュタット盆地、最北部はヴェッテラウである[10]。地質学的には、本市の市域内には鮮新世後期から更新世に形成されたマイン川ニッダ川の4つの段丘が見られる。最も高い段丘は、タウヌス山地の岩石で構成されており、市内ではベルガー・リュッケンでのみ見られる。高さ 170 m から 120 m の上の段丘には、市北部から北東部の市区が存在している。ここから北西はニッダ川へ、南はボルンハイマー・ハングやレーダーベルク付近を急斜面で下る。ザクセンハウゼン南のミュールベルクやザクセンホイザー・ベルクもこの段丘にあたる。中央の段丘は 100 m から 115 m の高さにある。これは、市域内ではたとえばケルスターバッハ川の川岸や、ヘーヒスト旧市街の断崖状の川岸がこれにあたる。高さ 95 m から 90 m の下の段丘は、完新世になって形成された。これは、マイン川の両岸に沿っている。ここには、街の歴史の出発点となったドームヒューゲル(聖堂の丘)やカルメリッターヒューゲル(カルメル会の丘)がある。ボッケンハイム区(バザルト通り)やシュタットヴァルトといった市内の限られた場所に、中新世のフォーゲルスベルク玄武岩でできた下の地層を見ることができる。この層の厚さは 14 m 程度である。
気候

最も古い気温の測定値は1695年12月のもので、アヒレス・アウグストゥス・フォン・レルスナーの年代記に記録されている。1826年以後は、異なる測候所での継続的な測定値が存在している[11]。現在フランクフルトには、ドイツ気象庁の測候所が多くある。これには、フランクフルト空港の測候所も含まれており、その測定記録は1949年にまで遡る。

フランクフルトおよびライン=マイン地域は、ドイツで最も温暖な気候に属するオーバーライン地溝の北端に位置する。

このためフランクフルトの気候は総じて穏やか。11月から1月までの時期には平均1から2時間しか晴天にならない。冬の時期における1日の最高気温の平均値は、1月で約5.1 ℃、夜間の最低気温は、平均-0.6 ℃(1991年から2020年の統計値)。雪は1月に平均7日間。積雪が10 cmを超えることは滅多になく、ほとんどはすぐに消える。しかし市の北西部のタウヌス山地だけはしばしば雪が積もる。

夏の最高気温は 26 ℃?27℃(30 ℃を超える日は平均年間10日である)と暖かい。にわか雨や突然の豪雨でやや変わりやすいものの、毎日7時間から8時間の日照が得られる時期。夏は、特に市内中心部では蒸し暑くなる。

最も気温が高い月は7月から8月で平均気温は20.5 ℃から 20.0 ℃、最も寒いのは12月から2月で平均気温は 2.3 ℃から3.1 ℃。観測史上最低気温は1940年1月の -23.8 ℃、最高気温は 2019年7月の 40.1 ℃。

1991年から2020年までの平均気温は 11.1℃、年間降水量は平均 584.4 mm。市内中心部では、環境の違いにより気温はフルークハーフェン区(空港付近)よりも約 0.6 ℃高いが、降水量はタウヌス山地の陰になるため周辺よりも少ない。

風向きは主に西風。1991年から2020年の統計で最も降水量が多いのは 7月で 63.1 mm、最も少ないのは 4月で 36.3 mm。

フランクフルト・アム・マイン(1991?2020)の気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
最高気温記録 °C (°F)16.2
(61.2)19.1
(66.4)24.7
(76.5)30.3
(86.5)34.8
(94.6)39.3
(102.7)40.1
(104.2)38.7
(101.7)34.6
(94.3)28.0
(82.4)20.0
(68)16.5
(61.7)40.1
(104.2)
平均最高気温 °C (°F)5.1
(41.2)6.8
(44.2)11.7
(53.1)16.9
(62.4)20.8
(69.4)24.3
(75.7)26.6
(79.9)26.1
(79)21.0
(69.8)15.0
(59)9.1
(48.4)5.7
(42.3)15.8
(60.4)
日平均気温 °C (°F)2.3
(36.1)3.1
(37.6)6.8
(44.2)11.1
(52)15.1
(59.2)18.5
(65.3)20.5
(68.9)20.0
(68)15.5
(59.9)10.7
(51.3)6.1
(43)3.1
(37.6)11.1
(52)
平均最低気温 °C (°F)?0.6
(30.9)?0.4
(31.3)2.2
(36)5.4
(41.7)9.4
(48.9)12.9
(55.2)14.9
(58.8)14.5
(58.1)10.6
(51.1)6.8
(44.2)3.2
(37.8)0.4
(32.7)6.6
(43.9)
最低気温記録 °C (°F)?23.8
(?10.8)?21.5
(?6.7)?13.0
(8.6)?7.1
(19.2)?2.8
(27)0.1
(32.2)2.8
(37)2.5
(36.5)?0.3
(31.5)?6.3
(20.7)?12.7
(9.1)?18.7
(?1.7)?23.8
(?10.8)
雨量 mm (inch)43.1
(1.697)36.4
(1.433)37.4
(1.472)36.3
(1.429)59.5
(2.343)54.3
(2.138)63.1
(2.484)59.9
(2.358)46.7
(1.839)48.5
(1.909)46.8
(1.843)52.4
(2.063)584.4
(23.008)
出典: ⇒http://www.pogodaiklimat.ru/climate2.php?id=10637

地域
行政区画

フランクフルト・アム・マイン市は、46のシュタットタイル(市区)に分割されるが、市区の番号は 47 まである(23は技術的な理由から欠番となっているのだが、プラウンハイム区に充てられることもある)。これらはさらに 121 のシュタットベツィルク(市街区)、448のヴァールベツィルク(選挙区)、6,130のブロックで構成されている[12]

行政上、市は 16のオルツベツィルク(管区)に分けられ、それぞれに代表者としての地区長を有する地区議会がある。1970年代に合併した旧町村は、それぞれ合併前の領域がそれぞれの管区を形成している。

人口が最も少ない市区はフルークハーフェン区、面積が一番狭い市区はアルトシュタット区である。最も大きな市区は面積、人口ともにザクセンハウゼン区であり、人口で見るとこれにノルトエント区、ボッケンハイム区が続く。

2020年12月31日現在の46市区の人口No.
市区
管区面積 (km2)[13]
人口(人)[14]


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