フラッシュメモリ
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幾つかの製造業者は現在X線防御SD[10]とUSB[11]メモリ装置を製造している。
保持期間

フローティングゲートに充電した電子によって情報を記憶するという構造のために、書き込まれたデータの保持期間は有限である。メーカーの公称値では、書き換えによって劣化していない状態(書き換え限度の10%以下)で3年以下(TLC/QLC)・5年(MLC)・10年(SLC)、書き換え限度まで達した状態から1年となっている[12][13][14]。これは環境の影響を受け、高温や放射線のあたる環境下においてはソフトエラー(英語版)が発生[15]して保持期間は通常よりも短くなる(条件次第では使用不能もありうる)。

NOR型であれば一般に20年程度の保持期間を持ち[16]、BIOSなどのファームウェアに使われている。ただし初期のフラッシュメモリ製品は既に20年以上が経過しており、保持期間が有限であることに変わりは無い。なお、これらの保持期間は最後に書き込んで以降の時間を示す[16]
寿命

フラッシュメモリの記憶素子は、動作原理上絶縁体となる酸化膜が貫通する電子によって劣化するため消去・書き込み可能回数が限られており、記憶素子単体の書き換え寿命は短命なものではQLCが数十回程度、TLCが数百回程度でそれぞれ限界、長くてもMLCの場合で数千回程度、SLCの場合で数万回程度である[17][注 2]。NOR型よりもNAND型の方が劣化が激しい。この記憶素子をそのまま記憶装置として使う場合、書き込みが特定ブロックに偏るため、未使用の記憶素子がある一方で特定の記憶素子だけが劣化によって寿命が尽きるという状況が発生する。現状の製品では、書き込みの偏り対策としてコントローラを搭載して消去・書き込みが特定ブロックに集中しないようにウェアレベリングをしている。これにより書き換え寿命は論理的には伸びる。正確な計算方法はメーカーによって複数あり、例えば製品の最大容量と書き換え可能な領域等によって寿命は変わってくる[18]

書き込み可能回数を超えると、ストレージとして認識することができなくなったり、正常な記録ができなくなったり、正常に記録することができたとしても記録内容を維持することができず、記録した内容が壊れたり消えてしまったりする確率が上昇する[19]

Intelの研究によれば、63nmから72nmのプロセスルールで製造されたMLC(2bit/セル)方式NANDフラッシュメモリ8Gbitチップの場合、1万回の書き換えでエラーの起きる確率が1ビット当たり100万分の1から1000万分の1程度(即ち8Gbitならばエラーの起きるビットは平均1000から100ビット)である[20]

フラッシュメモリは半導体製品であり、電子回路の構成部品として回路基板上に実装された形で製品化されているものが大半である。電子回路であるがゆえにフラッシュメモリそのものの故障以外に、電子回路の他の部品(コントローラチップなどフラッシュメモリ以外の実装部品も含む)の故障の影響で使用不能に陥ることもある。
ハードディスクからの転換詳細は「ソリッドステートドライブ」を参照

パソコン用デバイスとしてのフラッシュメモリは、当初ユーザーの操作で書き換え可能なBIOSを持ったマザーボードへの利用など表面に出ない用途だった。やがてUSBメモリなどによるフロッピーディスクの代替としての利用が始まり、書き換えに対する耐久性の向上(ハード的な技術向上やソフト的に書き換える部分を集中しないようにする工夫 - ウェアレベリング)、大容量化・低価格化・高速化が進み、徐々に大容量記憶装置としての役割を担うようになっていった。

2004年には、小容量ながらパソコンに内蔵してハードディスク (HDD) 同様ドライブとして使用できるソリッドステートドライブ(SSD)が登場。自作派のユーザーたちに浸透していった。2006年には、HDDを搭載しないでSSDを搭載するメーカー製小型ノートパソコンが登場した。2007年発売の『Windows Vista』からは、USBメモリをHDDのキャッシュメモリとして使用するWindows ReadyBoost機能、2009年発売の『Windows 7』からはSSDはHDDとは別の種類のデバイスとしてサポートされるようになっている。

ノートパソコンには機器の小型化および軽量化、省電力化、衝撃に対する強さが要求される。フラッシュメモリはハードディスクと比較してこれらの要素で優れており、さらに物理的な動作がないので静音化ができ、また高速にアクセスできるという利点も持つ。ただし低価格化が進んだとは言え、容量単価の点では依然としてハードディスクが有利であり、フラッシュメモリ搭載ノートパソコンはハードディスク搭載モデルと比較して割高な価格設定になりやすいが、2019年現在、その物理的に可動部が無いことによる耐衝撃性とHDDに比べ圧倒的な速度性能を考慮すれば、十分考慮できる価格帯まで落ち着いている。
インタフェース

過去の経緯により、一般的にNOR型はSRAMインターフェース (搭載bit数が増えるとアドレスバス幅が増えていく)、NAND型はDRAMインターフェース (アドレスを複数回に時間分解するマルチプレクスを行う)である。また、組み込みシステム等の分野では、I2C等のシリアルバスを採用した素子(『シリアルフラッシュメモリ』と称されることもある)も用いられている。
商品パッケージ

主としてNAND型で補助記憶装置としてパッケージされている商品の例を挙げる。これらのような商品の他に、Fusion-io(現在はサンディスク傘下)のioDriveのように、フラッシュメモリの性能を最大限に発揮するようデザインされた製品などもある。

フラッシュATAメモリーカード[21]

USBメモリ

メモリーカード


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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