果期は10 - 12月[9]。花が終わると大型の豆果が垂れ下がる[9]。豆果(さや)は長さ10 - 19 cm、幅2 - 2.5 cmもあり、狭倒卵形で扁平になっており、表面にはビロード状の短い毛を密生している。その果皮は厚く、熟すると木質化してかたくなり[11]、冬になって乾燥すると左右の2片に裂け、それぞれがねじれて種子を飛び散らせる形で散布する[9]。種子は円形で扁平、径11 - 12 mm、褐色で光沢がある。
冬芽は鱗芽で互生し、長卵形で赤褐色をしており2 - 3枚の芽鱗に包まれている[14]。冬芽の基部は横に膨らむ[14]。短枝には多数の冬芽がつく[14]。葉痕は半円形で、維管束痕は3個つく[14]。 つるは木に巻きついて登り、樹冠に広がる。直射日光の差す場所を好む、好日性植物である。花序は長くしだれて、20 cmから80 cmに達する。他のマメ科植物同様、夜間は葉をすぼめる。 本種は高木に巻き付いて登り、その樹幹に葉を広げる[8]。その枝葉は高木の葉を被って日光を遮り、また幹は樹木の幹を締め付けて肥大成長を阻害するので、樹木は生長を阻害され、時に枯死する。 種子散布に関しては、上述の通りに乾燥すると鞘が二つに裂開し、それぞれがよじれることで種子を飛ばすが、この際の種子の飛ぶ力は大変なもので、当たって怪我をした人が実在するという[22]。また寺田寅彦は、種子が莢から飛び出して障子に当たったことから興味を持ち、実験によって初速を計算し、秒速10 mで飛んでいくこと割り出している[9]。また、それについて随筆[23]を書いているとのこと[6]。 フジの所属するフジ属には日本、中国と北アメリカに合わせて6種が知られ[24]、そのうちで日本に自生するのは本種の他に以下の種がある[25]。 フジとヤマフジは蔓の巻き方が異なるほか、違いは以下の通り。 なおヤマフジは京都や奈良県、滋賀県には見られないので、古代にフジとされるものにはヤマフジはほぼ含まれない[26]。
樹皮
葉
花
種
生態など
近縁種・類似種など
W. brachybotrys ヤマフジ
ヤマフジは葉の側小葉が4?6対と、フジ(5?9対)よりかなり少ない。
ヤマフジの葉裏には毛がある。フジでは成熟時に無毛となる。
ヤマフジの花序は長さが10?20 cmにしかならず、フジ(20-90 cm)より遙かに短い。そこに花の柄が同じかやや長いので、花序の形は細長い紐状でなく、まとまった房のようになる。
ヤマフジの苞は卵形、フジでは狭卵形。
ヤマフジは種子が黒褐色(フジは褐色)。
ヤマフジは蔓が左巻き(Z巻き)で、右巻き(S巻き)のフジと逆。