漢字で「河豚」と表記するが、「河」と書くのは中国で食用とされるメフグが河川など淡水域に生息する種であるためで[18]、また、このメフグが豚のような鳴き声を発することから「豚」の文字があてられているとされる[18]。
中国語では「河豚」「河豚魚」「河?」という表記を使っている。『山海経』などの古典では「鮭」の字を当てている場合がある[19]。 以下のような別称・地方名がある。 天然のフグを漁獲する方法は定置網、はえ縄、一本釣りなど多種多様である[2]。天然物のトラフグは尻鰭が白く[22]、しっかりとした尾鰭を持っている[23](尾鰭は黒色)。トラフグの代用食材となるカラスフグの場合には尻鰭も黒いため区別できる[22]。 日本における食用フグの産地としては山口県下関市が有名であるが、下関はフグの産地というよりは集積地である。下関近海でもフグは獲れるが、それ以上の数のフグが天然物も養殖物も、日本全国や中国や韓国などの海外からも下関に集められる。下関がフグの本場と言われる理由として、明治期に全国で最初にフグ食が解禁になった地が下関であり(ふぐ料理公許第1号店は下関市の春帆楼。その後、山口県のみフグ食解禁の時期がしばらく続いた。)、それ以降の下関には多くのフグ料理店ができ、現在のフグ料理の多くが下関で考え出されたことなどが背景にある。これらに加え、フグは猛毒を蓄えているため、水揚げ後の加工が重要であるが、この加工業者や加工場が前述の歴史的背景などから下関に集積している点が大きい。 最近では水揚げ漁港の側で加工場などの整備を行い、地場の名産品とすべく独自ブランドを立ち上げるなどの努力も行われている。大阪府大阪市は消費で有名であり、愛知県日間賀島などもフグを観光として取り上げている。しかし、加工業者や加工場の質、数の問題もあり、漁獲されたフグの多くが下関に集中するという傾向にある。
呼称
ふく
下関や北九州などでは「ふく」と呼ばれる[7][2]。「不遇」あるいは「不具」につながる「ふぐ」ではなく、縁起をかついで「福」につながる「ふく」と呼ぶ。
てっぽう[20]
大阪では「たまに(偶に)当たる」を「弾に当たる」「当たると死ぬ」に掛けた洒落から「てっぽう(鉄砲)」と呼ぶ[20]。「てっさ(てっぽうのさしみ)」「てっちり(てっぽうのちり鍋)」という料理名はここから来ている[18][2]。フグ食禁止令のために「テツ」の暗号が用いられたともいわれる[2]。
がんば
長崎県島原地方でフグを指す方言「がんば」は、「がんば置いてでん食わんば(棺桶を置いてでも食わねば)」の略といわれている。
ナゴヤフグ(名古屋フグ)
瀬戸内海地方におけるナシフグ、コモンフグ、ヒガンフグ等の別称。「当たれば身の終わり(美濃・尾張)になる」→「尾張といえば名古屋」の連想から「ナゴヤフグ」となったとされる[21]。
輪島フグ
フグを食べる文化があまりなかった石川県輪島市が、ブランド化を図り始めたフグ。市内の料理店で3240円の統一料金でフグ料理を含むメニューを味わえるほか、輪島朝市では唐揚げを挟んだ「フグバーガー」が販売されている。輪島でのフグの地方名は「デブク」である[24]。
讃岐でんぶく
香川県で水揚げされるナシフグに対し、香川県漁連が認定しているブランド。2010年3月に商標登録が認められた[25]。
玄海とらふぐ
福岡県宗像市の漁港で、従来は下関漁港に水揚げしていたフグの一部をブランド化を目指して売り出したもの。