フォーミュラ1
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また、走行中のマナーなどの取り決め(スポーティングレギュレーション)もあり、違反した場合にはレース中のピットレーン通過強制やスターティンググリッド(レース開始時の順番)降格などのペナルティを課せられる。ヨーロッパアジア南アメリカ大陸北アメリカ大陸を中心に世界各国を転戦し、各レース毎の順位によって与えられる点数「チャンピオンシップ・ポイント」の総計によってチャンピオンを決定する[注 3]

F1は戦間期にヨーロッパ各地で盛んに行われていたグランプリ・モーターレーシングをその起源とする[2]。(F1世界選手権の歴史#F1誕生)F1ドライバーズ選手権の構想は1930年代末にはすでに話し合われていたが、第二次世界大戦の勃発によってその実現は見送られた[2]。戦後、1950年イギリスシルバーストン・サーキットでF1世界選手権の最初のレースが開催された[3]
グランプリF1レースの開催状況を示した世界地図。
緑色 - 現在F1レースを開催している国
濃灰色 - 過去にF1レースを開催していた国

F1世界選手権はグランプリと呼ばれる複数のレースによって構成されるシリーズである。国々を転戦する興行一座という例えから、F1は「グランプリ・サーカス(Grand Prix circus)」の異名で呼ばれることもある[4]。F1初年度である1950年シーズンには、全7戦のうち6戦がヨーロッパで開催された。唯一のヨーロッパ域外のレースはアメリカでのインディアナポリス500(インディ500)であったが、これは世界選手権としての体裁を整えるためにF1シーズンに組み込まれていた側面が強かった[注 4]。その後、1957年までレースの大半がヨーロッパ地域でのレースで行われていた。1960年をもってインディ500はF1から除外され、1959年から並行開催されていたアメリカGPに一本化された[注 5]

初年度のカレンダーに含まれていたイギリスグランプリイタリアグランプリの2レースは、1950年から2022年現在まで毎年継続して開催され[5][注 6]、同じく含まれていたフランスとベルギーも休止を挟みつつも、2022年も開催されている(フランスは2023年のグランプリカレンダーから除外された)。またハンガリーグランプリは、1986年の初開催から休止や開催地変更もなく30年以上継続開催されている稀有な例となっている。

1999年マレーシアGPが新規開催されると、それに続く形でいくつかの国家がF1GPの誘致に動き、2004年以降新規開催国でのレースが増加した。しかし、2008年にF1史上初のナイトレースとして開催されたシンガポールGP[6] のように長期開催国の1つになった例もあった一方、長期開催の契約を結びながらも中途での休止や打ち切りを強いられたレースもあった。2010年初開催の韓国GPは2016年までの開催契約を結んでいたものの[7]、資金難を克服できず2013年のレースをもって撤退した[8]。同様に、2011年初開催のインドGPにも金銭的問題が浮上し、2年間の開催契約を残したまま2013年を最後に休止され、以後復活していない[9][10]

エンジンがV6ハイブリッドターボとなった2014年以降の時代には、権威主義的政治体制を有する国家(アゼルバイジャンロシアベトナム等)の政府が潤沢な公的資金でレースを誘致・開催する例が多く見られる[11]。また、F1はアジア地域への関心を高めており[12]、その背景としてアジアではレース開催料が高額となり多くの収入が得られることや、未開拓のファン層が存在することなどが指摘されている[11]モナコGPはF1にとって重要な存在であり、主催者がF1側に支払うレース開催料の減額など様々な優遇を受けている[13][14]

だが、V6ハイブリッドターボの時代に長期開催していた国が中止や開催継続が危ぶまれる例が出現している。F1全体での観客動員数が増加傾向にある一方で[15][16][注 7]FOMが要求するレース開催料が依然として高額であるため、一部の主催者は財政的に苦しんでいる。その動きの象徴となったのがイギリスGPであり、2016年2017年に3日間で約35万人を集客したにもかかわらず[15]、サーキット側が公的援助なしで高額の開催費用を負担する必要があり存続の危機に立たされていた[17]。そのため、2017年シーズン中にイギリスGPとイタリアGPは開催料の減額を求める姿勢の一環として契約破棄条項を発動し、再交渉が不発に終われば、2019年を以て両国でのF1開催が終了する予定にまで追い込まれていた[18][19]。最終的にはイギリス(シルバーストン)側の利益を保護する内容の契約が成立[20]したため、継続となったが、この時の運営者であるリバティメディアはロンドンでの市街地コースとしての開催や新規開催国の存在を根拠に契約の終了も辞さない構えであったため、一時はイギリスGP終了が最も現実的になった時期でもあった。一方でかつて1国で2つのGPを開催するほどの人気を博していたドイツでは、資金難であったうえ、外部からの支援を得られなかったため、2015年と2017年にF1が開催されない事態に陥った[8]。また、開催数ではイギリスとイタリアに次ぐフランスグランプリ[注 8]2008年を最後に開催が中止され、その後2018年まで復活しなかった[8]。このうち、1999年から継続開催され、長期開催国の一つとなっていたマレーシアGPは、2017年をもって開催を終了した[21][注 9]。また、契約更新を何年するかの交渉や判断の予定を念頭に開催しているGPも少なくない[注 10]。実際に、2018年に復活したドイツGPは同年7月の時点では後述のマイアミGPが開催される予定であったため、開催に関する交渉が失敗したことも影響し、2019年の開催は行われない予定[22] となっていたが、マイアミGPが2019年は開催されないこととなったため、再交渉を経て9月に2019年のみの開催契約が結ばれることとなった[23]

その一方でコース運営者の負担が仮に解決したとしても、2018年などの全21戦という数字はすでに限界というチームの声も少なくなく、むしろ開催数の方に課題が生じつつある。1960年代には年間10戦前後だったF1世界選手権レースの開催数は、1970年代には平均で年間14戦前後に増加[注 11]1980年代から1990年代にかけては年間16戦前後で安定して推移した[24][注 12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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