フォード・モーター
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また、日本車や西ドイツ車を徹底的に研究し、テンポやサンダーバードと同じく空力を意識したエクステリアをまとい、1985年に発売された中型前輪駆動車のトーラスが大ヒットし[4]、久々にフォードブランドのモデルがアメリカのベストセラーの座[注釈 1]を得るという快挙を成し遂げた。
1990年代2代目プローブ(1993年)

1990年代には株式市場の盛況とガソリン安で、ピックアップトラックSUVなど収益性の高い多くの車種の販売が好調で、安定した経営を続けていた。良好な経営状態を受けて、1989年に経営不振に陥っていたイギリスのジャガーアストンマーティンBMWによるローバー・グループの解体で引き受けて先を探していたランドローバーを買収し、傘下に収めた。後にスウェーデンボルボ・カーズも買収する。これらのヨーロッパの高級車ブランドは「プレミア・オートモーティブ・グループ」(PAG)の名のもとにまとめられることとなる。

なお、1990年にはハロルド・ポーリングが、1993年にはアレックス・トロットマンが、1998年にはジャック・ナッソーが会長兼CEOになった。ナッソーの攻撃的な経営は関係企業や社内の不興を買い、2001年解任された。
2000年代2代目クラウンビクトリア(2007年)2代目エクスカーション
(2005年)

2001年には久しぶりにフォード家のウィリアム・クレイ・フォード・ジュニアが会長兼CEOになっている。2006年にはフォード再建を期待されてアラン・ムラーリーボーイングよりフォード入りし社長となった。

しかしナッソー時代の技術停滞と他業種参入、当時の業界再編に対抗するための買収路線のマイナスな影響は2000年代に入っても打開できず、さらに2001年9月のアメリカ同時多発テロ以降の原油価格の高騰によるガソリン値上げなどの影響で、アメリカ国内市場における主力商品のフルサイズSUVピックアップトラックが燃費の悪さから敬遠される傾向にあり、同様の戦略をとっていたGMと共に経営不振に陥っている。

2007年3月には、PAGアストンマーティンデビッド・リチャーズクウェート投資会社などで構成される投資家グループに8億4800万ドルで売却されたことが発表された。これによりアストンマーティンはフォード・グループから離脱。ただしフォードモーターは引き続き7700万ドルの資本は持ち続ける。

そして2008年3月26日付でPAGのジャガーランドローバーが、インドタタ・モーターズへ23億ドルで売却されたことが発表され、フォード・グループより離脱した[注釈 2]。売却項目にはデイムラーローバーの商標も含まれている。

さらに2007年以降、アメリカ発の世界金融危機以後ますます深刻化する業績悪化を受け、2008年11月にフォード・モーターは、長年株式を保有し傘下に置いていたマツダの株式33.4%のうち約20%を、マツダや広島銀行などに売却した[6][7]

さらに2010年3月には、PAGに属していたボルボ・カーズを売却することで、中華人民共和国浙江吉利控股集団との間で最終合意し[8]、同年8月に売却を完了した。これによりPAGは消滅した。
One Ford戦略

大苦境に陥ったフォードを再生させるべく、CEOのアラン・ムラーリーは新経営戦略「One Ford」を策定した。

これまでは各地域で独自に商品開発・生産を行ってきたが、世界的に体制を一本化し、重要なセグメントに対してモデルを絞り込み「Quality (品質)」「Green (環境性能)」「Smart (洗練度)」「Safety (安全性)」の4項目を世界トップレベルに向上させて、世界中に流通可能な本格的グローバルプロダクトを開発・販売するという戦略である。
現在14代目 F-150のスペシャルモデル、ラプタ?(2021年)

同時多発テロ以降の原油価格高騰と世界金融危機を受けて、北米自動車業界では低燃費車を求める消費者の意向を受け、車のダウンサイジングが進んだ。

フォードも例外ではなく、2010年にはBセグメント車・フィエスタを北米で販売開始、欧州フォードとの車種統合、ビッグ3では唯一V8エンジンDOHC化、フルサイズ車の象徴とされたクラウンビクトリアの生産終了、エクスプローラーのFF乗用車ベース化、ダウンサイジングコンセプトの小排気量過給エンジン「エコブースト」の採用など合理化を進めている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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