フォークリフト
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パレット用フォーク以外にも様々なアタッチメント(荷役装置)が製造販売されており、それらを装着することで様々な荷物や作業に対応できる。

クローラ式フォークリフトでは、不整地でのパレチゼーションを可能にする。小型のものが多く、最大荷重は2000kg前後が多い。クローラの足回りは超信地旋回が可能なため、小回りが最も利く。太陽光発電所の建設や、農業でのパレット運搬に用いられるほか、屋外展示場のブース設営などにも使用される。不整地での荷役作業が可能なため、南極・昭和基地などにも配備されている。

カウンターバランス式フォークリフト前輪がトリプルタイヤのトップリフター

後部にカウンターウエイトを備える一般的な形状のフォークリフト。エンジンまたはバッテリーは車体中央部か運転士座席の下に搭載したものが一般的である。積載量は0.5 t - 40 tクラスまで存在する。トランスミッションマニュアル式またはトルコン式が選択可能。世界第2位の生産台数を誇るLinde MHはハイドロ・スタティク・トランスミッション (HST) を採用しているものもある。基本的に4輪(タイヤ4本)であるが、小型の機種では後輪を1個とした3輪タイプもある。横幅が広い荷物を扱う場合、荷物を高く持ち上げる場合など、左右安定度で許容荷重が制限される用途では前輪をダブルタイヤとして左右安定度を確保し、許容荷重を増加させている。また、特に横幅が広く、高積みが行われるISO(海上)コンテナを扱う車両には前輪トリプルタイヤのものもある。

カウンターバランス式の長所は、リーチ式より転倒安定度と車体強度が高いうえに走行速度やフォークの上昇速度が速く、安全性と作業効率が高いことが上げられる。また、リーチ式よりも高揚程かつ大荷重のものを製造可能である。反面、リーチ形のフォークリフトに比べて車体寸法が大きいので回転半径が大きく狭所作業性が劣る面がある。
リーチリフト

マストが前後に移動(リーチイン・リーチアウト)できることを大きな特徴とする、フォークリフトの種類の1つである。最小回転半径が小さく、倉庫内など狭隘な作業場所において広く用いられている。国内では、最大積載荷重が0.5 t - 3 tクラスが販売されている。カウンターバランス式と違い、基本的には立ち乗りであるが、なかには座って操作する製品も存在する(海外では座って運転するモデルが主流で座乗式ともいわれる)。

リーチ式の長所としては、先述のようにカウンターウエイト式より小回りが利く、動力方式がバッテリー式の為、騒音が小さく空気汚染が少ない点が挙げられるが、短所としては、カウンターバランス式よりも転倒安定度が低く、マスト剛性も低いので荷物を高く持ち上げた場合の揺動が大きく定置効率が悪く転倒しやすい。駆動輪が1輪かつ径が小さいので駆動力が小さく路面が濡れていたり凹凸が有ると走行性能が著しく低下する。水平かつ平滑に仕上げられた床面以外での走行は困難。構造上、傾斜地や雨中での使用は危険で屋外荷役には適さない。連続稼働時間が内燃機関式より短い。大きさやレイアウトの都合上、内燃機関式への対応が難しい。バッテリーには定期的な補水が必要、初期導入コストが高価であるなど。充電に要する電気料金は同能力のエンジン式フォークリフトの燃料費より安く済む場合が多いが、劣化したバッテリーの取替費用が高額になるので、運用状況によってはライフサイクルコストがエンジン式より高くなる。なお、「プラッター」と呼ばれることもあるが、これは日本で最初にリーチ式バッテリーフォークリフトを開発した三菱ロジスネクスト製品の商標である。

リーチ式の変種としてオーダーピッカーがある。運転席が車体上ではなく、フォークと一体化した構造でフォークと共に昇降する構造になっていて、運転者が手作業で高所に在る荷物をパレットに積み込んだりフォーク上パレットに積載した荷物を高所で積み替えたりできるものである。

マストを前出した状態(リーチアウト状態)

マストを引込んだ状態(リーチイン状態)

ショートマストを取り付けた床置荷役専用タイプ

操作系

一般的な自動車と同じハンドル、ペダルの他フォーク等を操作するためのレバーが存在する。ただし、ハンドルには片手で操作しやすいよう取っ手が付けられていることが多いほか、トルクコンバーター車でもインチングペダルというクラッチベダルのような物が存在し、ブレーキペダルが連動して押されるようになっているものが多い。操作レバーは長いものが数本並んでいるのが一般的だが、最近[いつ?]は運転者が手元で操作できるジョイスティックタイプも登場している。前者が制御バルブを直接操作するのに対し、後者は電気的に遠隔制御する。パーキングブレーキは古い車種にはレバー式、新しい車種にはペダル式のものがある。工場内で利用されることから古い車種が見られることも多く、照明に引きボタンスイッチであるものも未だに現役で稼働している。

製造企業による操作系統の違いを以下に記す。

ニチユトヨタでは、操作レバーの配置が異なる(前・後進レバーと、1・2速レバー配置が左右逆)。ニチユ式を採用しているメーカーが多いが、後発メーカーであるトヨタは独自の配列を標準仕様として開発した。

神鋼電機が製造していたモデルでも独自のレバー配列を採用しており、「神鋼式」といわれた。

日産のフォークリフトにはフォークの上下とチルトを1本のレバーにし、X字に操作する1本レバーモデルがあった。現在は日産、日立、ニチユ、三菱の統合会社、ロジスネクストの車両で採用されている。

従って違うメーカーのフォークリフトに乗りかえると、操作を間違うことがあるので注意が必要。事業所によっては改造して操作方法を変更している場合もあるので、乗り慣れたメーカーのものでも油断はできない。

動力源

フォークリフトの動力源は、「バッテリー式」・「ガソリンエンジン式」・「ディーゼルエンジン式」の3つが多く使われている。近年のエコ事情により、「燃料電池式」で動くフォークリフトも国内外で発売されつつある。
バッテリー式の普及

乗用車やトラックで電気自動車がなかなか普及しないのとは対照的に、小型フォークリフトでは以前からバッテリー車が普及しており、現在では3トン以下の小型フォークリフト需要の50 %以上がバッテリー車である。(日本産業車両協会調べ)

使用環境(換気が難しい、衛生環境に厳しいなど)によっては、排気ガスが出ないことが大きなアドバンテージとなる。

冷凍倉庫、食品加工場、精密部品の工場内など、排気を出せない空間に適している。

「ガソリンエンジン式」・「ディーゼルエンジン式」特有の排気ガスによる健康被害が全く出ない。


燃料油の運搬や保管などが不要なので、火災などの危険性が低く、危険物を取り扱う手間が掛からない。

電動機は騒音が非常に小さく静粛性が高いので、住宅地の事業所や深夜作業を行う事業所に適している。

事業所内の一定の範囲だけで使用されることが多く、長距離を走るわけではないので、万一バッテリー切れになっても、救援が容易である。

深夜電力の割引料金が適用される事業所では夜間充電を行えば、経済性、環境性が高い。


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