フェンダー・ジャパン
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レオ・フェンダーが去った後、楽器制作に精通したスタッフが乏しく技術力が低下していたため、1987年にフジゲンから杉本眞(現Sugi Guitars)らの技術指導チームを招き、ハイエンドを製造する前身の部署が設立された。またスタッフも外部からJohn Suhr、John Page、Larry L. Brooks、Michael Stevensら著名なビルダーを招き徐々に名声を広げていき、現在の形へとなった。あえて古い製法を復活させたり、レギュラーラインには使用されない銘木を使用したギター、長年の使用によって付いた傷や汚れ、錆などを再現し、使い込まれたような加工(エイジング加工)をする新たな技術を導入するなど、特別仕様となる。有名ギタリスト本人が使用しているアーティストモデル、及びユーザーから発注を受けた特注品、楽器ショーなどに展示されるワンオフ生産のギターはカスタムショップで製作されている。近年では、プロのアーティストが使用していたギターの傷や特徴などを細かく精査し、細密に再現した「トリビュートシリーズ」などがある。マスタービルダーが手がける製品にはそれぞれのビルダーならではの嗜好や個性が反映された物が多く、昇進や異動等で製造職から離れたビルダーや、退社後に独立して自身のブランドを立ち上げるビルダーも数多く存在する。

役職としては以下の通り

役職説明現在の就任者過去の就任者
ディレクターマーケティングなど経営面でのカスタムショップの最高責任者。トム・モンゴメリーマイク・エルドレッド、アレックス・ニコラス、ジョン・ペイジ
シニア・マスタービルダーキャリアの長いマスタービルダーが就任する役職。

自身のギター製作を行う一方で、次期マスタービルダーの養成や、フェンダー社全体の製品開発に取り組む。ユーリ・シスコフ、トッド・クラウス、ステファン・スターン、ジョン・クルーズマイケル・スティーブンス、J.W.ブラック、ジョン・イングリッシュ、マーク・ケンドリック、フレッド・スチュワート、クリス・フレミング
マスタービルダーフェンダー最高位の職人が就任する役職。

著名ミュージシャンへの楽器製作・修理調整、顧客からのオーダー受付を主な業務とする。デニス・ガルスカ、グレッグ・フェスラー、ジェイソン・スミス、ポール・ウォーラー、デイル・ウィルソンアラン・ハメル、アート・エスパーザ、ジェイソン・デイビス、ジーン・ベイカー
チームビルドマスタービルダー以外でカスタムショップ製品の製作に携わる役職。

中には次期マスタービルダー候補生として修行に励む職人も居る。

製品を大別すると以下の3種類

製品説明
チームビルド(TB)カタログ掲載モデルを中心とした、ほぼ全てのカスタムショップ製品の総称。

1950年代から続くフェンダーの分業制を現代に継承するラインナップ。
チームビルド・カスタム(TBC)カタログ外の仕様を持つセミ・オーダー・モデルの総称。

製作に従事するスタッフはチームビルドと同様。
マスタービルド(MBS)マスタービルダー、及びシニア・マスタービルダーによって製作される製品の総称。

フェンダー社の頂点に君臨する最高級ラインナップ。

主な量産シリーズ

フェンダーは現在メインの生産拠点であるカリフォルニア州のコロナ市の工場と廉価版製造が主であるメキシコのエンセナダ市に自社工場を構えている。日本の楽器店等ではコロナ工場製造のものをフェンダーUSA、エンセナダ工場生産のものをフェンダーメキシコと呼んでいるが、ユーザーが呼称しているだけで実際にはそういった名称は存在しない。

ブランド製造説明
Fender Selectコロナ工場2000年代になり加えられたフェンダーのハイエンドシリーズ。
Fender American Eliteコロナ工場American Deluxeのワンランク上として位置づけ生産されるシリーズ。アメエリの愛称で親しまれている。
Fender American Deluxeコロナ工場American standardのワンランク上として位置づけされる。アメデラの愛称。
Fender American Standardコロナ工場万人向けの低価格な量産シリーズ。アメスタの愛称で親しまれている。
Fender American Specialコロナ工場初心者やティーン向けのアメリカ製廉価版シリーズ。
Fender American Vintageコロナ工場過去の製品の復刻版シリーズ。
Fender Artistコロナ工場/ダイナ楽器アーティストシグニチャーモデルのシリーズ。
Fender Deluxeエンセナーダ工場Fender Standardのワンランク上の製品。
Fender Standardエンセナーダ工場輸出用の低コスト量産シリーズ。
Squier by Fender中国、インドネシア自社生産ではなく、サミックやコルトなどの韓国企業に発注して製造される新興国向けライン。


その他、傘下のブランドにはギルドグレッチジャクソンシャーベル、ビグスビー、タコマ、SWR、SUNN等がある。2014年にギルド・ギター・カンパニーがコルドバ・ミュージック・グループに、Gretsch Drums、TOCA Percussion、Latin Percussion、KAT Percussion、Ovation Guitars、Gibraltar HardwareをDW(Drum Workshop)に売却。(グレッチギターはフェンダーが所有のまま)

2015年にはKMC Music(Ovation Guitarを製造していた企業。2008年にフェンダーに買収され、子会社になっていた)はJam Industriesに売却されている。
フェンダー・ジャパン

1982年から2015年3月まで存在した、日本製造のフェンダー社ライセンス商品に冠されたブランド
フェンダー・ジャパン株式会社(1982年-1997年)1997年以前のシリアルナンバー1997年以降のシリアルナンバー

1970年代以降、日本の楽器市場でフェンダーギターのコピー商品が出回り始めた。フェンダー社はその主な製造先であった東海楽器製造に対して訴訟を起こし、製品の販売停止に追い込むなどの対抗手段が取られたが、価格の面でコピー商品を完全に駆逐することができなかった。そのため、最終手段として自身も日本に製造拠点をおいて低価格なギターを販売することにし、1982年に当時の国内代理店であり筆頭株主でもあった神田商会の仲介の元、アイバニーズグレコなどの下請け製造をしていた富士弦楽器製造(現フジゲン)とフェンダーの共同子会社のフェンダー・ジャパン株式会社を設立した。この時、当時の筆頭株主であった山野楽器と神田商会も共に共同出資を行い、ホテルグランドパレスにて設立発表も行われた。

設立後は富士弦楽器製造が製造担当となり、国内向け廉価版シリーズを「スクワイア(組み立てはダイナ楽器)」、ワンランク上の製品を「フェンダー・ジャパン」のブランドの元で販売開始[注釈 1]。設立当初のフェンダー社の計画は、日本国内のコピー品の駆逐とスクワイアブランドの廉価品をアメリカ国内を含む海外で販売を行うことを目的としたものだった[注釈 2]

しかし、1985年にCBSがフェンダー社を売却し、当時社長であったビル・シュルツが経営権を買収したが工場は含まれなかった為、製造拠点を失っている。その為、新工場が設立されるまでの間、日本のフジゲンが製造した製品がフェンダー製品として世界中で販売された。海外向けのスクワイア(1983年 - 1987年)および、Fender USA Vintage re-issue series(1987年まで)の製造は、フジゲンによるものである。バブル崩壊後には、フェンダー・メキシコなどの設備投資で大きな負債を抱えていたフジゲンが、1997年にフェンダーメキシコ社と共にフェンダー・ジャパン社を売却。完全子会社化したフェンダーはフェンダー・メキシコ社のみを残し、フェンダー・ジャパンはスクワイアへと統合され幕を閉じた。
神田商会ブランド(1997年-2015年3月)

フェンダー・ジャパンが解散後、代理店であり株主でもあった神田商会が新たなビジネスとして1997年中にフェンダーから商標のコピーライセンスの使用許諾を得て、『フェンダー・ジャパン』を自社のプライベートブランドとして再興させた。開業当初は東海楽器製造や寺田楽器、アトランシアなどの外注で木工などの製造を行い、当時自社ブランドなどの楽器組み立て工場として持っていた子会社のダイナ楽器で組み込みをし販売をするというスタイルであった[注釈 3]。その後、2007年にダイナ楽器が設備投資を行い木材加工も可能にし、自社生産のものを『Made in Japan』と刻印するようになった。2008年には完全に自社グループ内で製造するようになった[3]。両者を見分けるポイントはシリアルナンバーであり、フェンダー子会社時代のフジゲン製造のものは「MADE IN JAPAN」、神田商会ブランド以降は木材加工などの製造が外注で組み込みがダイナ楽器のものは「CRAFTED IN JAPAN」、完全にダイナ楽器が製造しているものは「MADE IN JAPAN」表示となっている[4]。アメリカの本家フェンダーには存在しないオリジナルモデルや生産が終了したモデル、マーカス・ミラーリッチー・コッツェンイングヴェイ・マルムスティーンなどのアーティストモデル、ムスタングスティールギター等のマニアックな復刻モデルの発売など、日本独自やニッチな市場にも向けた商品展開が特徴のひとつである。

2015年3月20日、同年4月にフェンダーが日本支社のフェンダーミュージック株式会社を立ち上げたのに伴い、神田商会とのライセンス契約を3月31日をもって終了し、同時に「Fender Japan」ブランドの終了が発表された。
フェンダーミュージック株式会社(2015年4月-)

以前からフェンダーの下請け会社でもあったダイナ楽器によるフェンダージャパンの生産ラインは、フェンダーのジャパン・エクスクルーシブ・シリーズとして組み込まれ、4月から販売が開始された。しかしこれは過去にギブソンの製品の輸入代理店が山野楽器からギブソンジャパンに移行された時期と同様に、地方部の販売店のように大量の仕入れが困難な店舗や、他社のコピーモデルを販売している店舗には商品を卸さないという事例が多発しており、問題となっている[要出典]。

同年7月22日、恵比寿ガーデンホールにて『Fender Launch Party』[5]が開催され、フェンダーの楽器を愛用するアーティストが集結し、今後は輸入代理店を介さずにアメリカから直接日本に届けることが可能になったことを披露した[6]
フェンダー・ライセンスド・ブランド

現在フェンダーは海賊版対策として自社製品の下請け会社や元下請け会社などに限定して、自社のコピー品の製造をライセンスを与えることで認可している。

主な企業は以下の通り。

ブランド製造説明
フェンダージャパンダイナ楽器筆頭株主である神田商会のプライベートブランド。ギターやベースの販売。


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