フェロー諸島
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自治領であるためオリンピックへ出場する際はデンマーク選手団に含まれるが、パラリンピックには単独での代表選手派遣が認められている[4]

諸島では1781年を最後に麻疹が報告されていなかったが、1846年にコペンハーゲンから訪れた旅行客により、島民約8000人中約6000人が罹患する大流行が発生した。この際、1781年の流行を経験した65歳以上の島民は感染しなかったことから、麻疹は一度感染すると再感染しないという発見に繋がった[5]
政治詳細は「フェロー諸島の政治(英語版)」を参照

国家元首デンマーク国王であるが、域内行政は自治政府によって行われている。行政の長は首相(Logmenn)であり、議会により選出される。フェロー諸島議会(レクティング)は33名の議員で構成されており、4年ごとに選挙が行われる。これとは別に、フェロー諸島はデンマークの国会であるフォルケティングにも2議席を有しており別途、選挙により議員を選出している[6]。高等弁務官(英語版)はデンマーク政府の代表としてレクティングに議席を持つが、投票権は持たない[7]

デンマーク本土から距離があることや、第二次世界大戦中の自治経験より独立運動があり、2000年代においては独立派が多数となっている[8]
地理衛星写真地図詳細は「フェロー諸島の地理(英語版)」を参照

フェロー諸島は北欧の沖、ノルウェー海と北大西洋の間、アイスランドとノルウェーの中間付近に浮かぶ。座標は.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯62度 西経7度 / 北緯62度 西経7度 / 62; -7。海岸線は1399km。涼しいと温暖ながある。冬は曇天で、と強い風の日が多い。島は多少の起伏がある荒涼とした岩場で、海岸は崖が多い。Slattaratindurの海抜882mが最高地点[9]フェロー語には、霧の表現が30以上あると言われる[10]

フェロー諸島は次の18の島々からなっている[9]

名称ラテン文字表記面積(km2)人口人口密度主な市町村県(Syssel)
ストレイモイ島Streymoy373.52190058.6トースハウン, VestmannaStreymoy
エストゥロイ島Eysturoy286.31081037.8Fuglafjordur, RunavikEysturoy
ヴォーアル島Vagar177.6294916.6Midvagur, SorvagurVagar
スヴロイ島Suduroy166.0494029.8Tvoroyri, VagurSuduroy
サンドイ島Sandoy112.1140712.6SandurSandoy
ボルウォイ島Bordoy95.0500252.6クラクスヴィークNordoyar
ヴィウォイ島Vidoy41.059614.5VidareidiNordoyar
クノイ島Kunoy35.51574.4KunoyNordoyar
ケァルソイ島Kalsoy30.91294.8Mikladalur, HusarNordoyar
スヴイノイ島Svinoy27.4521.9SvinoyNordoyar
フグロイ島Fugloy11.0444.0KirkjaNordoyar
ネルソイ島Nolsoy10.325224.5NolsoyStreymoy
ミキネス島Mykines10.3191.8MykinesVagar
スキューヴォイ島Skuvoy10.0505.0SkuvoySandoy
ヘストゥル島Hestur6.1345.6HesturStreymoy
大ドゥイムン島Stora Dimun2.772.6DimunSandoy
コルトゥル島Koltur2.520.8KolturStreymoy
小ドゥイムン島Litla Dimun0.800.0-Suduroy
合計-13964835034.6--

経済フェロー諸島の羊漁船漁師詳細は「フェロー諸島の経済(英語版)」を参照

中世から放牧が行なわれ、諸島内には羊が9万頭いると言われる。フェロー諸島の「フェロー」とは「」の意味という説が有力。また、ヤギなどの放牧、養鶏なども盛んである。牧草の栽培は諸島の至る所で行われている。ただし、高緯度、冷涼な気候のため、牧草以外の農耕には適していない。

伝統的な放牧と並行して、古くから水産業も盛んであった。現在は漁業が産業の中心となっている[11]。漁獲された魚介類や水産加工品の多くは、日本の水産会社などが買い付けて、最終的に日本国内へ運ばれる。フェロー諸島産のサケや白身魚の冷凍フライなどが代表的である。サケ(サーモン)は養殖が行われている。また白身魚のうちタラフィッシュアンドチップスなどとして食される。さらにトースハウンには寿司店もある[10]。こうした豊富な水産資源が、経済面で独立志向の裏付けとなっている。イギリスとは、イギリスの欧州連合離脱後に発効する条件で自由貿易協定を締結している[10]

また、捕鯨国の日本、アイスランド、ノルウェーと同様に捕鯨が行われる。伝統的な捕鯨の手法が残り、地域住民が共同してクジラ捕りに参加する習慣は今でも残る。フェロー諸島がEUに加盟しない大きな理由は、捕鯨政策の違いにあるとされる。2018年1月、クラクスヴィークは日本で捕鯨の伝統を持つ和歌山県太地町姉妹都市提携した[12]。2023年現在、イルカについても漁船で入江に追い込んで漁獲する伝統的な漁が行われ続けている[13]

牧畜や水産業に加えて、現在のフェロー諸島で注目される産業は、北海油田のフェロー諸島領海域の石油開発である。これは地域経済を支える収入源として期待されている。
文化フェロー・ダンスを描いた切手詳細は「フェロー諸島の文化(英語版)」を参照

フェロー諸島は、音楽伝承の宝庫である。いずれも、古い北欧の文化を残すもので、ノルウェーやアイスランドともまた違う。フェロー諸島の人々にとって祭りクリスマスなど時季折々に欠かせないのが、チェーンダンスである。このチェーンダンスは、バイキング時代には北欧で広く行われたようであるが、キリスト教化の過程の中で徐々に失われ、現在ではフェロー諸島にしか残っていない。

踊りは東ヨーロッパポルカに似ており、先導役に合わせて島の古謡(クヴェアイ)を大合唱しながら足を踏み鳴らす。これがフェロー諸島の最重要行事であるオラフ祭のときには、国会議事堂前の広場は国中から集まってきた人々によって巨大なチェーンダンスが深夜から朝まで続けられる[14]。もちろん、指揮を執るのは首相。これは、バイキング時代の集会の名残で、直接民主制に付随するように形式的に現代まで引き継がれている。ほぼ国民総出の熱狂的なチェーンダンスが終わっても、町内単位で朝までチェーンダンスが続けられる[3]
スポーツ
サッカー詳細は「フェロー諸島のサッカー(英語版)」を参照

フェロー諸島ではサッカーが最も人気のスポーツとなっており、1942年にサッカーリーグのフェロー諸島プレミアリーグが創設された。フェロー諸島サッカー協会(FSF)によって構成されるサッカーフェロー諸島代表は、FIFAワールドカップおよびUEFA欧州選手権への出場経験はない。


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