イタリアの田舎町の春の夜、15歳の少年チッタは家族と共に「春の訪れを祝う祭り」の輪の中にいる。ガラクタを積み上げ、冬の女神の人形を燃やして歌い踊り騒ぐ、誰にとっても素晴らしい夜だ。夏になると、豪華定期船レックス号が沖合を通り、町中が船団を組んで歓声を上げる。レックス号の勇姿はイタリアの誇りであり、町の人々にとっても誇りである。この当時のイタリアは、全土にムッソリーニのファシズム旋風が吹き荒れていて、少しでも反抗的な態度をとると、たちまちファシスト本部に連行され拷問を受ける。チッタの父も、事件の容疑者として疑われ、拷問を受けた。秋になると、精神病院に入院しているおじさんが外出許可を得たので、それに同行するが、やはり奇行が目立って再び病院に連れ戻される。大きな木に登り「女が欲しい」と叫ぶおじさんの姿を見て、誰しも欲望は同じはずなのに叶わない願い、そこに切なさと割り切れないものを感じる。そんなチッタには大人の女性、グラディスカという憧れの女性がいたが、全く相手にされない。冬には記録的な大雪が降り、一羽の孔雀が雪上に見事な羽根を広げて見せたが、孔雀は不幸の前兆と言われ、その冬、チッタの母が病気でこの世を去る。そしてまた春、町中の人々に祝福されてグラディスカの結婚式が行われる。チッタは最も大切な二人の女性を失い、生涯忘れ得ぬ一年になった。そんな体験を経て、少年チッタは少しずつ大人の階段を昇り始めている。 役名俳優日本語吹替
キャスト
フジテレビ版
チッタブルーノ・ザニン
賞・映画祭部門対象結果
1974年度
アカデミー賞[1]外国語映画賞『フェリーニのアマルコルド』( イタリア)受賞
ゴールデングローブ賞[2]外国語映画賞『フェリーニのアマルコルド』( イタリア)ノミネート
ニューヨーク映画批評家協会賞[3]作品賞『フェリーニのアマルコルド』受賞
監督賞フェデリコ・フェリーニ受賞
1975年度
アカデミー賞[4]監督賞フェデリコ・フェリーニノミネート
脚本賞フェデリコ・フェリーニ、トニーノ・グエッラノミネート