フェラーリ・458イタリア
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フェラーリのコルセ・クリエンティ部門の主催で世界各国で開催されるワンメイクレースである「フェラーリ・チャレンジ」仕様の「458チャレンジ」(2011年-2013年)とその進化版の「458チャレンジEvo」(2014年-2017年)、コルセ・クリエンティ部門より「ミケロット」に委託され開発された、LM-GTE仕様の「458 GT」(GT2/GTC/GTEと呼ばれることもある)とグループGT3仕様の「458 GT3」が存在する。

2012年、458 GTがル・マン24時間レースにおいてGTE-PROクラスで優勝した[6]。日本では458 GTが2011年度SUPER GTGAINERから参戦していた。優勝こそしていないが手堅い走りで表彰台獲得を連発し、最終戦を迎えた時点でGT300クラスのポイントランキング1位[7]となっていたものの逆転され2位で終了した。TEAM MACHはGT3仕様で参戦する予定だったものの、2011年はフェラーリ側の意向で見送られたが、その後2012年度から2013年度途中までGT3仕様で参戦している。

なおこれらのレース専用車輌は、ナンバー取得(=一般道での走行)ができないサーキット専用車輌であるが、当初は購入を希望する一般ユーザーに対しても新車で販売されていた。しかしその後「458チャレンジ」はフェラーリ・チャレンジに参戦する意向のオーナーのみに、また「458 GT3/GT」はレーシングカーの整備施設が整えられ、かつレース参加の実績のあるレーシングチームにしか行わないこととなった。

458チャレンジEvo

458 GT / SUPER GT 2011 第5戦 富士

458 GT3 / SUPER GT 2012 第4戦 菅生

ワンオフモデル
SP12 ECSP12 EC

2012年3月、458イタリアをベースに512BBのモチーフを取り入れたスペシャルデザインのモデル「SP12 EC」がイギリスのディーラーからデリバリーされた[8]。当初、フェラーリは守秘義務のため注文主を明らかにしていなかったが、5月に発行された「Ferrari Magazine」16号に登場し、大のフェラーリファンである[9]エリック・クラプトンがオーダーしたものと正式に認めた。名称の“SP”はSpecial Programを、“12”はクラプトンが数多く乗り継いだ[注 2]12気筒ベルリネッタへの憧憬を、“EC”はクラプトン(Eric Clapton)のイニシャルを表しているとされる。また、スクープ時には“SP12 EPC”という名称[注 3]で、V12エンジンを搭載していると報じられていた
458イタリア・ディドゥケイティド・トゥ・ラウダ

2013年11月15日に発表されたワンオフモデルで、458イタリアがベース。ニキ・ラウダが運転した往年のF1マシンがモチーフになっている。ボディカラーは赤でルーフは白にイタリア国旗のトリコロールが入っている。リアスポイラーやサイドスカートの一部も白手塗装されている。アルミホイールはゴールドで、シートやセンターコンソールにもトリコロールがあしらわれる。フェラーリは、映画『ラッシュ/プライドと友情』にも触発され、製造された意味合いも持っていると述べた。[10]
2016年にはフェラーリカンヌにて約2900万円で販売された。[11]
458 MMスペチアーレ

2016年5月に発表されたワンオフモデル。同年6月23日にはイギリスの「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にてワールドプレミアされた。458スペチアーレがベースで、イギリスの顧客のオーダーで作られた。エクステリアは、スポーティーラインと顧客の強い希望があり、またガラス部分にはサンバイザーの効果が要求された。フロントピラーを黒にすることで、フロントガラスとリアドアガラスが一体に見え、継ぎ目がないような滑らかな表面となっているのが特徴。ボディカラーら3層塗装のビアンコイタリアで、ボディ中央にはイタリア国旗のトリコロールが入っている。室内は、チョコレート色の革シートにホワイトステッチの組み合わせ。[12]また、ボディだけでなくホイールや前後ライトもオリジナルになっている[13]
メカニズムエンジンルームF136、V型8気筒ンジン.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}Ferrari 458 Italia at Goodwood Festival of Speed 2010この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

エンジンは90度V型8気筒NA。燃料噴射機構はボッシュコモンレール式高圧直噴システム(GDI)でMRとして初めての採用となる。着火システムもボッシュ製でエンジン上死点付近で複数回にわたって精密に制御され着火される。このシステムを採用したことによって圧縮比を12.5:1(スペチアーレは14:1)に高めることができた。

クランクシャフトは伝統のフラットプレーン形式をとる。片バンク4気筒は等間隔爆発となるため、排気脈動効果によって充填効率が向上する。このためNAの4.5 Lエンジンにもかかわらず、9,000rpmで570馬力を発生する。またフラットプレーンクランクシャフトのカウンターウェイトは軽量なため、エンジンのピックアップ特性が優れており、アクセルレスポンスが良い。

フェラーリの公式データでは、0-100km/h加速3.35秒、最高速度325km/h、燃費13.7L/100km、二酸化炭素排出量320g/km。3,250rpm時に最大トルクの約80%を得られるトルク特性だが、クランクシャフトやフライホイールマスが軽量なために1,000rpm以下で若干ギクシャクするので街中をスムーズに走行するにはコツが必要であるという意見もある。

潤滑方式はドライサンプで、純正指定オイルはShellウルトラヒリックス。容量は10L。オイル交換の際はアンダーカバーを取り外してドレンプラグを外すために車両をリフトアップすることになる。このため街中のガソリンスタンドでオイルを交換するのは困難である。また純正指定以外のオイルを注入するとフェラーリ社による車両保証が終了する。ちなみに保証は初車検までの走行距離は不問だが、以後2年間の保証継続をする場合の走行距離は9万Km未満の車両が対象となる。新車登録5年目の車検時に走行距離が9万km未満であれば以後2年間(合計7年間)の保証が受けられる。

トランスミッションは、カリフォルニアに続きゲトラグ製7速デュアルクラッチ式F1マチック(ATポジション装備パドルシフトMT)が採用された。操作方法は従来のF1マチックと同様だが、DCTになり変速時のショックが減少し瞬間的な変速が可能となった。パドルシフトはハンドル操作と連動しない固定式で、クラッチペダルやシフトレバーはない。リバースギアはコンソール中央のRボタンを押すことで選択、パーキングブレーキはハンドル下の小型レバーを引く。

シャーシボディはアルコア社製アルミ素材を用いた新設計であり、F430対比で15%のボディのロール剛性が向上している。サスペンションはBWI社製マグネライド磁性流体ダンパーを用いた第2世代の電子制御方式。高速コーナーでは踏ん張り、高速道路舗装の継ぎ目などを走行する際には突き上げ感の少ない優れた乗り心地を両立。

ステアリングコラム右下には「マネッティーノ」と呼ばれる走行特性可変スイッチが装備され、走行場面に応じてエンジン・サスペンション特性の変更が可能となっている。マネッティーノのSPORTモードでは3,000rpm以下の低回転時の排気音も小さくなるほか、若干乗り心地がソフトになる。RACEモードを選択すると排気バルブが開き、豪快な排気音と共に勢いのある走行特性となる。両モードを選択時にステアリングコラム左下のバンピーノボタンを押すとダンパーの減衰特性が緩やかになり、凸凹道での突き上げ感が少なくなり乗り心地が向上する。雨天時にWETを選択するとアクセルを踏んだ場合の車輪のスリップを抑制する走行特性になる。

2012年初頭にはサスペンション及びトランスミッションのセッティングの改良を受けた。なおこの改良版については、既存の車輌も正規ディーラーでレトロフィットを受けることが可能である。
デザイン
エクステリア高速走行時の空気抵抗を減らす弾性ウィングレット

過去のモデルとは一線を画しており、空気力学上高度なものである。フロントグリルに一つの開口部、両サイドにエアインテークが配される。これは、車体周囲に流れる空気をエアインテークから直接ラジエーターやアンダーボディに送りダウンフォースを発生させるためのもので、ノーズ開口部の弾性ウィングレットは高速走行時に変形、空気抵抗を低減しダウンフォースをより効率的に発生させる構造となっている。これらの空力処理により200km/h走行時では140kgのダウンフォースを実現する。


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