『フェイブルマンズ』(原題:The Fabelmans)は、2022年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はスティーヴン・スピルバーグ、出演はミシェル・ウィリアムズとポール・ダノなど。スピルバーグ監督が自身の子ども時代にインスパイアを受けて制作した作品で、スピルバーグの母リアと父アーノルドに捧げられている。
第47回トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞した[5][6]。 第二次世界大戦直後の1952年。ニュージャージーに住むユダヤ人の一家・フェイブルマン家の長男サミーは、小学校低学年にして両親と共に初の映画鑑賞を体験した。映画館に響き渡る列車の激突シーン(『地上最大のショウ』)に夢中になったサミーは、父の8ミリカメラで撮影する映画少年に成長して行く。 サミーの父バートは最新技術であるコンピューターの優秀なエンジニアだが、生活は厳しく、元ピアニストの母ミッツィはサミーや妹たちの世話に忙殺される専業主婦として生活していた。やがて時代がコンピューターを認知すると、父バートは大企業に引き抜かれ、一家はアリゾナに転居することになった。助手は招かれていないと聞き激怒するミッツィ。助手のベニーは父バートの親友であり、サミーたちにとっても家族同然の独身男だったのだ。 ベニーも共に就職する形でアリゾナに移る一家。その地で高校生になったサミーは撮影の腕を磨き、映画監督になる夢を膨らませて行った。だが、家族のファミリーキャンプの映像を編集したサミーは、母ミッツィと助手ベニーのキスシーンが写り込んでいることに気が付いた。予期せぬものを撮影してしまい、一時は映画への情熱まで失いかけるサミー。 父バートは滅多に怒らず、母ミッツィを深く愛する優しい男だが、感情を表すことが苦手で、人の話しを黙って受け止めるタイプだった。芸術家で感性が人一倍豊かなミッツィは、喜怒哀楽を表に出すベニーに惹かれてしまったのだ。そんな時に父バートの更なる転職が決まり、一家はベニーを残してカリフォルニアに引っ越した。 1964年、カリフォルニアで高校3年の最後の数ヶ月を過ごすサミー。新しい高校にはユダヤ嫌いを公言するローガンら男子がいて、いじめられるサミー。たが、サミーにキリストを信じさせたいクリスチャンのモニカと恋仲になり、高校の行事である「おサボり日」(卒業学年の海岸への遠足)の撮影も任された。 母ミッツィはついにベニーと暮らしたいと口にし、父バートは静かに離婚を受け入れた。妹たちは母と去ることになり、サミーは高卒で映像の仕事を探す決心をした。高校最後のプロムの夜に、モニカに一緒にハリウッドへとプロポーズするサミー。だが、大学進学が決まっているモニカは断った。 プロムの出し物として「おサボり日」の記録映画を上映しながら涙するサミー。その映画の主役は、いじめっ子のローガンだった。美男子な上に逞しいスポーツマンで、見るからに主役タイプのローガンを、サミーは作品の要として使わずにいられなかったのだ。 映画は大好評だったが不機嫌そうなローガンは、無人の校舎で座り込むサミーを見つけて「いじめのし返しか!」と詰め寄った。自分の足の速さは努力して身に付けたと叫ぶローガン。だが周囲の人々はヒーローだから当然としか見ず、正当に認められない事がローガンの悩みだったのだ。泣いて本心を吐露したローガンは、映画のためなら大嫌いな反ユダヤ主義者とも友達になると言うサミーを少し見直し、立ち去った。 一年後、父の許しを得て大学を中退したサミーは、ハリウッドで就職活動に励み、テレビ映画制作の下っ端の仕事にありついた。撮影スタジオでサミーを面接し、熱心な彼を向いのオフィスに連れて行くプロデューサー。そこで巨匠のジョン・フォード監督に会ったサミーは、ほんの数分の会話だったが、将来への希望に包まれた。 ※括弧内は日本語吹替。
ストーリー
キャスト
サミー・フェイブルマン - ガブリエル・ラベル
主人公。スティーヴン・スピルバーグ本人をモデルとしている。正式名称はサミュエル。
幼少期のサミー - マテオ・ゾリアン・フランシス=フォード(釘宮理恵)
ミッツィ・フェイブルマン - ミシェル・ウィリアムズ(小林さやか)
サミーの母。ピアニスト。スティーヴンの母親リア・アドラーがモデル。
バート・フェイブルマン - ポール・ダノ(内田夕夜)
サミーの父。エンジニア。スティーヴンの父親アーノルド・スピルバーグがモデル。
ジョン・フォード - デイヴィッド・リンチ(糸博)