フィンランドの国旗
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しかし、この布告がフィンランドの反ロシア勢力に伝わると、その旗は「奴隷の旗 (Orjalippu)」と呼ばれ、フィン人達はその旗を掲げることを拒否した。その代わりに、この修正を行っていない三角形のペナントが掲げられ、それによって、この旗に関する布告を回避した。

この布告から7年後の1917年、フィンランドはロシア革命と同時期にフィンランド大公国が倒され、フィンランド王国が建国され、ロシアから完全に独立する。この時は、フィンランド国旗が定まっていなかったため、フィンランドの国章を中央に置いた赤い旗が暫定的な国旗として使用された。そして、フィンランド国旗のデザインを競うコンペティションが開かれた。様々なデザインの旗が出品された。この際、出品された旗は、色使いから主に2つに分けられる。1つ目が、赤と黄色を主に使用した旗が挙げられる。これは、フィンランドの国章に由来していた。そして、もう一方が現在の青と白を用いた旗である。

これらの旗の中のある旗は、デンマークの国旗(ダンネブロ)に酷似しており、赤色の下地に黄色のスカンディナヴィア十字を用いていた。出品された他の旗では、青と白の対角線方向のストライプ模様のものも有った。しかし、この旗は、新たに独立した国家の旗よりも、床屋の旗にふさわしいと酷評された。この中には、フィンランドの著名な画家であるアクセリ・ガッレン=カッレラのデザインした旗も出品された。この旗は、現在のフィンランドの国旗と似た旗であるが、現在の旗と比較すると青と白の色が反転しており、青地に白いスカンディナヴィア十字が描かれたものであった。しかし、このデザインの旗は、スウェーデンの国旗や、特に当時のギリシャの国旗と似すぎていると考えられた[注釈 1]。最終的に、芸術家のエーロ・スネルマンとブルノ・トゥーッカネンがその旗から最終的な旗のデザインを行った。そして、現在の国旗とほぼ同じデザインの旗[注釈 2]が国旗として使用されることになり、1918年5月25日に暫定的に使用されていた国旗に代わり、そちらの国旗が正式な国旗として採用された。

スカンディナヴィア十字の交点に国章の入る政府公用旗や軍旗は、1922年にフィンランド国章の上の王冠を削除する修正が入り、1978年には国章の形を盾形から四角形に変更する修正が入っている。
公式な決まり
大きさ

フィンランドの法律において、フィンランド国旗の比率は黄金比に非常に近い11:18と定められている。ただし、旗尾が燕尾型となる形式の軍旗や大統領旗では、旗尾が長くなり11:19となる。また、スカンディナヴィア十字の部分は、白地と青地の3部分の比率を、4:3:4(垂直方向)、5:3:10(水平方向)とするように定められている。また、旗柱に掲揚する場合は、旗柱の高さの6分の1の幅の旗を使用することが推奨されている。
使用ヘルシンキのフィンランド政府庁舎。政府公用旗がはためいている。

フィンランド国旗は3つの異なる場面で使用される。通常の国旗は、市民や組織、自治体などで広く使われている。更には、掲揚する本人たちが、掲揚するのに適していると考えるのであれば、いつでも国旗を掲揚することが許可されている[4]。また、長方形の政府公用旗は、フィンランドの中央政府および州政府の組織[注釈 3]や、フィンランドの2つの国教教会フィンランド福音ルター派教会フィンランド正教会)、そして軍艦を除く公用の船舶で使用される[5]

旗尾が燕尾型となった旗は、フィンランド国防軍軍旗として使用され、軍艦旗としても利用される。更に、大統領旗やフィンランド防衛大臣(英語版)旗とフィンランド国防軍司令官旗、そしてフィンランド海軍司令官旗が存在し、それぞれ使用されている。

全ての公的機関は、大多数の一般市民や企業と同様に、公式の旗日には国旗を掲揚する。この公的な旗日に加えて、10日ほど非公式の旗日が存在するが、一般的にはこれらの日も公的な旗日として認識されている。

フィンランドの旗は、午前8時に掲揚され、日没と共に下げられる。ただし、日没が午後9時以降となる場合は、それまでに下げられる。ただし、独立記念日(12月6日)には、日没時間に関わらず午後8時までは掲揚される。また、国家的惨事などが起こった際は、フィンランド内務省は、国家全体で半旗を掲げることを推奨している。

フィンランドの特別税関では、夏至祭においては、国旗を夏至祭前日の午後6時から夏至祭当日の午後9時まで掲揚している。これは、夏至祭の夜は、フィンランドの一部地域では白夜となり、暗くならないことを象徴している。この夏至祭は、フィンランド国旗の日としても祝われる[6]

フィンランド国旗で使用される色は、CIE 1931 色空間CIE 1976 色空間双方、スウェーデンの標準であるSS 01 91 22やパントンの色見本帳それぞれで定められている。

SchemeblueRedYellow
CIE (x, y, Y)0.1856, 0.1696, 5.860.576, 0.312, 10.90.486, 0.457, 45.7
CIE (L*, a*, b*)29.06, 7.24, -36.9839.4, 59.0, 29.673.4, 14.8, 79.0
SS 01 91 224060-R90B1090-Y90R0080-Y20R
パントン294 C186 C123 C
*Section 3 of the source gives for the CIE values illuminant D65 and measurement geometry d/2°.
*Source: ⇒http://www.finlex.fi/fi/laki/alkup/1993/19930827 Government Decision 827/1993 (in Finnish)
ヘルシンキのフィンランド大統領官邸で掲げられている大統領旗キャンベラオーストラリア)のフィンランド大使館で掲げられたフィンランド政府旗

この表のRGB値は、色域が狭すぎるため公式な値ではない。CIE (L*, a*, b*)を基にした非公式なsRGBでの値は、青:R=24、G=68、B=181、赤:R=181, G=28, B=49、そして黄色:R=237, G=167, B=0である。この黄色は、実際はsRGB色空間の外側に及んでしまう。


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