フィルメーション
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後年にはロートスコーピングが多用されるようになり (ターザン、フラッシュ・ゴードン作品陣に続く) 、さらに同じアニメーション映像を繰り返し再利用して、フィルメーションの表現法を一目でわかるように工夫したという。この一例は、シーラ姫とヒーマン王子の変身シーンで見ることができる。

1秒あたりの最大フレーム数 (fps) が、フィルムでは標準の24fps、ビデオでは25/30fps未満に限られているため、アニメ映画ではクオリティが低いように見えることが頻繁にあった。この欠陥を補正するためにコマを繰り返すと、不自然で低予算のような仕上がりになってしまうためである。なお、映像素材を頻繁に使うことで制作費を節約できたが、継続性が失われることもあった。これは場面を置くのに十分な長さだが、眼では説明できないようなミスに気がつかないうちに、わずか1秒か2秒でストック・ショットから別の形へ切り替えることで対応された。アクション向けアニメ作品でみられるような高速ジャンプするシーンとは異なり、フィルメーションのもう1つの特徴としては、撮影時に静止画を何度も長く使うことによって特大の背景画をカメラでパンを少しずつ動かすことで、通常では不可能なシーンを埋めることができる。

フィルメーションは、他のアニメ技術の先駆者でもあり、特に『フラッシュ・ゴードン』では、エネルギー・フィールドを表現するためのモアレ効果 この技術は(後に『ヒーマン王子』や『シーラ』で使われた) など、アメリカのアニメで初めてバックライト効果が採用された、ただし日本では既に使われている。

同社はまた、デジタル化されたカメラの動作制御装置と高解像度フィルムを使って、黒色の背景に白い輪郭の小さな黒い絵を撮影し、そのネガを1コマずつアセテートフィルムに転写した上でアニメのセル画を手作業で描くという独自の3Dアニメ製作手法も生み出した。これは、現代における2Dアニメ作品が3DCGアニメとして利用される前から存在する。これを採用することで立体感が生まれ、ディズニーはこれまでにも『101匹わんちゃん』などの長編映画で採用してきた。しかし、細かい部分を動かす度に一部の線が見えなくなったりすることから、絵のちらつきが目立ってしまうこともある。多数のアメリカの映画製作会社とは異なり、フィルメーションは多くの作品をアメリカ以外の映画製作会社に依頼することはなかった。『ゴースト・バスターズ』と『ブレイブスター』は、どのエンディングでも「made entirely in the U.S.A.」と表記している(意味は「アメリカ合衆国で制作された作品」)。本社のライバル企業であるハンナ・バーベラでは、最終作品のクレジット (制作ロゴが出る前) では 「ハンナ・バーベラ・プロダクション」 と表記せず、台湾にあるワン・フィルム・プロダクション/カッコウズ・ネスト・スタジオ (H-B社の傘下であるフィリピン・フィル・カートゥーンズ) との共同制作となる。しかし、ハンナ・バーベラが怪傑ゾロのアニメ版『快傑ゾロ』を制作する際、フィルメーションは外部委託に1回だけ就任し、東京映画新社によってアニメ化されたが、絵コンテや作画を担当したのはフィルメーション自身だった。前述した通り、フィルメーションは基準を越えるために色々と努力してきた。同社のアニメに使われている効果音はハンナ・バーベラから再利用されているため、視聴者でもよく耳にすることがあり、同社が1966年から1967年まで製作していたDCコミックスのアニメ作品では、リアル感たっぷりな効果音を採用している。

フィルメーションは、長年に渡って制作された実写映画『ラッシー』のアニメ版『Lassie's Rescue Rangers』でも特に厳しい指摘を受けた。フィルメーションは、長年に渡って制作された実写映画『ラッシー』シリーズのアニメ版『Lassie's Rescue Rangers』でも特に厳しい指摘を受けた。ラッシーの生みの親であり、トレーナーでもあるラッド・ウェザーワックス氏は、この作品に対し「こんなのラッシーじゃない、全くの別物だ!」 と語った。全米放送事業者協会は、フィルメーションが『ラッシー』の作品を「暴力、犯罪、暴言」で台無しにしたと強く訴えた。[17]
主な作品[ソースを編集]
テレビ番組[ソースを編集]
1960年代[ソースを編集]

作品名年放送局備考共同製作全話数
ロッド・ロケット1963年番組販売SIBプロダクション全65話
スーパーマン新冒険1966年 ? 1970年CBSDCコミックス作品「スーパーマン」をベースとしたアニメ作品DCコミックス全68話
The Adventures of Superboy(英語版)1966年 ? 1969年全34話
Journey to the Center of the Earth(英語版)1967年 ? 1969年ABC20世紀フォックステレビジョン全17話
The Superman/Aquaman Hour of Adventure(英語版)

アクアマン

スーパーボーイ

スーパーマン

ティーン・タイタンズ

ザ・フラッシュ

ザ・アトム

グリーン・ランタン

ホークマン

ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ
1967年 ? 1968年CBSDCコミックス作品「スーパーマン」と「アクアマン」をベースとしたアニメ作品ドゥカヴニー・プロダクション
DCコミックスDCヒーローのエピソードを交互に放送
ミクロ決死隊1968年 - 1969年ABC1966年の映画「ミクロの決死圏」をベースとしたアニメ作品20世紀フォックステレビジョン全17話
アクアマン1968年 ? 1970年CBSDCコミックス作品「アクアマン」をベースとしたアニメ作品DCコミックス全68話
アーチーでなくっちゃ!1968年 ? 1969年アーチー・コミック原作のテレビアニメアーチー・カンパニー全17話
The Batman/Superman Hour(英語版)

まんがバットマン

スーパーマン

スーパーボーイ
1968年 - 1969年DCコミックス作品「スーパーマン」と「バットマン」をベースとしたアニメ作品ドゥカヴニー・プロダクション
DCコミックス
まんがバットマン1968年 ? 1970年DCコミックス作品「バットマン」をベースとしたアニメ作品全17話
The Archie Comedy Hour

かわいい魔女サブリナ
1969年 ? 1970年アーチー・コミック原作のテレビアニメアーチー・カンパニー
The Hardy Boys(英語版)1969年 ? 1971年ABC「The Hardy Boys」原作のアニメ作品全17話

1970年代[ソースを編集]

作品名年放送局備考共同製作全話数
Archie's Funhouse1970年 - 1971年CBSアーチー・コミック原作のテレビアニメ全23話
Will the Real Jerry Lewis Please Sit Down1970年 ? 1972年ABCジェリー・ルイスの映画「The Family Jewels」に登場するキャラクターをベースに製作されたアニメ作品全18話
Sabrina and the Groovie Goolies

かわいい魔女サブリナ

幽霊城のドボチョン一家
1970年 ? 1974年CBSアーチー・コミック原作のテレビアニメザ・サブリナ・カンパニー全16話
まんがファニー1971年 ? 1973年全16話
Fat Albert and the Cosby Kids1972年 ? 1976年全36話
The Brady Kids1972年 ? 1974年ABCゆかいなブレディー家のアニメ版パラマウント・テレビジョン全22話
Lassie's Rescue Rangers1973年 ? 1975年名犬ラッシーのアニメ版ラッシー・テレビジョン全15話


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