フィリピンプレート
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この変動帯の北端である台湾では、台湾西部からユーラシアプレートが西から衝突・沈み込み、台湾山脈を形成している。一方、台湾東部では左横ずれ成分含む逆断層である花東縦谷断層(英語版)が発達する。台湾の南では、マニラ海溝を介してユーラシアプレートが西から沈み込み、ルソン島弧(英語版)を形成している。このルソン島弧のバタネス付近では、マニラ海溝の斜め沈み込みに伴い、北東?南西走向の雁行山脈群が発達している。マニラ島北東沖付近では、東ルソン海溝(英語版)を介してフィリピン海プレートが東から沈み込み、マドレ山脈を形成している。ルソン島中部付近で、メインの沈み込み帯が南シナ海側のマニラ海溝からフィリピン海側のフィリピン海溝に偏移する。この偏移で、ルソン島側は西へ、ビサヤ諸島は東へ相対的に移動する運動が生じるため、ルバン断層(英語版)、レガスピ断層(英語版)などの左横ずれ断層が形成されている。また、フィリピン海溝が南南東に伸びるのに対し、相対運動は北西?南東方向で、斜めに沈み込んでいる。そのため、横ずれ成分を解消するためにフィリピン海溝の島弧である東フィリピン弧では、海溝に並行して左横ずれ断層であるフィリピン断層(英語版)が発達し、ブロック運動をしている。その一方で、マニラ海溝の南方延長上にも、ネグロス海溝(英語版)・スールー海溝(英語版)・コタバト海溝(英語版)など介してユーラシアプレートが西から衝突・沈み込んでいる。フィリピンの南では、タラウド諸島からモルッカ海中軸にかけて、モルッカ海衝突帯が南北に伸びている。このモルッカ衝突帯は、モルッカ海プレートが西のユーラシアプレートと、東のフィリピン海プレートの両側に沈み込み、海溝同士が衝突して形成された。そのため、地表には既にモルッカ海プレートは存在しておらず、スラブとして地下に存在している。

モルッカ海南部から東西走向の左横ずれ断層であるソロン断層(英語版)が西パプア州へ伸び、マノクワリトラフに並行する形で合流する。インドネシア西部では、フィリピン海プレート・ユーラシアプレート・オーストラリアプレートの3つのプレートが衝突しあっており、複数のマイクロプレートが形成されている[8]
主な災害リスク

フィリピン海プレートのプレート境界付近には、東京大阪台北マニラなどの大都市が存在しており、東京では相模トラフ巨大地震、大阪では南海トラフ巨大地震上町断層、台北では山脚断層(中国語版)、マニラではマニラ海溝の巨大地震やマリキナバレー断層系(英語版)による地震で大きな震災のリスクを抱える。マニラ海溝の巨大地震では、津波によって香港澳門ダナンにも震災のリスクを抱える[9]。また、東京では富士山、マニラではタール湖など、噴火災害リスクも抱える。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 30Ma - 15Maにおける背弧海盆活動は、オホーツク海日本海南シナ海などでも同時に発生している。東シナ海でも地殻の展張が発生した。
^ 海溝同士の衝突。現在のモルッカ衝突帯に近い状態。Wu (2016)は台湾-宍道褶曲帯がこの時形成されたではと考察されている。
^ 古琉球弧のフィリピン海プレート側への沈み込みは終了し、この時のスラブが現在のフィリピン海プレート側に残存する。

出典^ 日本経済新聞 2010年7月9日
^日本地震学会ニュースレター VOL.22 No.5 表紙 日本地震学会、2010年1月10日発行。
^ a b Wu et al. (2016). ⇒“Philippine Sea and East Asian plate tectonics since 52?Ma constrained by new subducted slab reconstruction methods”. Journal of Geophysical Research 121 (6): 4670-4741. doi:10.1002/2016JB012923. ⇒http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2016JB012923/full 2017年12月28日閲覧。. 
^ 天野一男; 松原典孝; 田切美智雄 (2007). ⇒“富士山の基盤:丹沢山地の地質 ?衝突付加した古海洋性島弧?” (PDF). 富士火山: 59-68. ⇒http://www.mfri.pref.yamanashi.jp/fujikazan/original/P59-68.pdf 2017年12月28日閲覧。. 
^ 井上卓彦 (2007). “東シナ海における地質構造発達史 ?研究レビュー?” (PDF). 地質ニュース 633: 37-44. https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/07_05_08.pdf 2019年2月20日閲覧。. 
^ Suzanna H.A. van de Lagemaat; Douwe J.J. van Hinsbergen (2023). “Plate tectonic cross-roads: Reconstructing the Panthalassa-Neotethys Junction Region from Philippine Sea Plate and Australasian oceans and orogens”. Gondwana Research. doi:10.1016/j.gr.2023.09.013. 
^ 「関東・伊豆小笠原」, 貝塚ほか, 東京大学出版会 (2000), p.6
^ Claude Rangin (1991). “The Philippine Mobile Belt: a complex plate boundary”. Journal of Southeast Asian Earth Sciences 6 (3-4): 209-220. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0743954791900689 2019年9月21日閲覧。. 
^ Wu, T; Huang, H (2009). “Modeling tsunami hazards from Manila trench to Taiwan”. Journal of Asian Earth Sciences 36 (1): 21?28. Bibcode: 2009JAESc..36...21W. doi:10.1016/j.jseaes.2008.12.006. 

参考文献

伊豆半島をめぐる現在の地学的状況
小山真人、伊豆半島の火山―その生い立ち・現在・未来

「伊豆の衝突と神奈川県西部の地震・火山テクトニクス」講演要旨集 石橋克彦

台湾の地質構造

地学II 2-2-2 日本列島の歴史 啓林館

関連項目

マリアナプレート - フィリピン海プレートに属する小プレート

日本列島

伊豆・小笠原海溝

伊豆・小笠原・マリアナ島弧

相模トラフ

駿河トラフ

南海トラフ

琉球海溝

フィリピン海溝

西日本火山帯

外部リンク

丹沢皆瀬川フィールドワーク(神奈川県立生命の星・地球博物館主催観察会)
- ウェイバックマシン(2012年5月19日アーカイブ分) - 神縄断層の写真と解説










プレートテクトニクス

理論

大陸移動説

アイソスタシー

マントル対流説

海洋底拡大説

プルームテクトニクス

地球の構造

地殻

マントル(上部マントル・下部マントル)

コア外核内核) // リソスフェアプレート

アセノスフェア

メソスフェア

プレート境界

発散型 : 海嶺 // 収束型 : 沈み込み帯海溝 - トラフ) // トランスフォーム型 : トランスフォーム断層


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