用心深く付き合いづらい性格といわれ、言語戦争とも呼ばれる国内の分離独立運動に対しては、寛大で友好的だった父アルベール2世のような政治的手腕を発揮できないのではという指摘もある[1]。アルベール2世が譲位に踏み切った背景には、国王としての年齢的な理由もさることながら、まだ自身の目の黒いうちに政治に関する経験の浅いフィリップに少しでも多くの政治経験を積ませるための配慮があり、2014年に予定されている次の総選挙の1年前というタイミングを選ぶに至ったとみる向きもある[4]。
2020年、アメリカで発生したジョージ・フロイトの事件を契機に人種差別への批判が世界的な高まりを見せると、ベルギーでも植民地であったコンゴ自由国における迫害行為が注目されるようになり、当時の国王であるレオポルド2世の像が破壊されたり撤去に向けた請願運動が起こされるなどした[5]。
こうした動きを背景にフィリップはコンゴ民主共和国のフェリックス・チセケディ大統領に書簡を送り、過去の植民地支配について「遺憾の極み」を伝えるとともに2022年にはコンゴ民主共和国を訪問。演説の中で植民地支配により同国に与えた「苦痛と屈辱」に対し、改めて遺憾の意を表明した[6]。 ブリュッセルで行われた1999年12月の成婚式には、日本から皇太子徳仁親王(当時)と同雅子妃(当時)が参列している。 2002年6月には夫妻で来日し、FIFAワールドカップの日本代表対ベルギー代表戦(埼玉スタジアム2002)を皇太子夫妻とともに観戦した[7]。 2012年6月に300人のベルギー人ビジネスマンを連れて夫妻で来日、日本とベルギーの経済関係の強化の働きかけを行ったほか、マティルド妃は東日本大震災の被災地宮城県を訪問した[9]。 2016年10月11日から14日まで、マティルド王妃とともに国王として初来日(国賓)[10]。 2019年10月22日の即位礼正殿の儀に参列し、同日中に迎賓館赤坂離宮で安倍晋三内閣総理大臣と会談を行った[11]。 フィリップ父: (ザクセン=コーブルク=ゴータ家)
日本との関係
子女
エリザベート王女(2001年 - )ブラバント女公
ガブリエル王子(2003年 - )
エマニュエル王子(2005年 - )
エレオノール王女(2008年 - )
系譜
アルベール2世祖父:
レオポルド3世曾祖父:
アルベール1世
曾祖母:
バイエルン公女
エリザベート[1]
祖母:
アストリッド[4]曾祖父:
ヴェステルイェートランド公
カール[2]
曾祖母:
デンマーク王女
インゲボー[3]
母:
パオラ祖父:
フルコ8世曾祖父:
ルッフォ・ディ・カラブリア公
フルコ
曾祖母:
ローラ
祖母:
ルイーザ(オランダ語版)曾祖父:
ロッサーナ伯
アウグスト
曾祖母:
リニョン伯女
マリーア・クリスティーナ
バイエルン公カール・テオドールとマリア・ジョゼ(ポルトガルの廃王ミゲル1世の娘)の次女。オーストリア皇后エリーザベトの姪にあたり、同ツィタとは母方の従姉妹同士となる。
スウェーデン国王オスカル2世の三男。
デンマーク国王フレゼリク8世の次女。長兄はデンマーク国王クリスチャン10世、次兄はノルウェー国王ホーコン7世。
[4]の次姉、[2]と[3]の次女が、ノルウェー国王オーラヴ5世妃マッタ。
系図
レオポルド1世
レオポルド2世(フランドル伯)フィリップ
アルベール1世
レオポルド3世(フランドル伯)シャルル
ボードゥアン1世アルベール2世
フィリップ