フィリッピの戦い
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リベラトレス側では、クィントゥス・ホルテンシウス・ホルタルスの息子がアントニウスの弟ガイウス・アントニウス(英語版)を殺害した件の報復でアントニウスによって殺害され[22]マルクス・ポルキウス・カト・ウティケンシスの息子マルクスやルキウス・リキニウス・ルクッルスの息子マルクス、後にオクタウィアヌスの妻となるリウィア・ドルシッラの父マルクス・リウィウス・ドルスス・クラウディアヌス(英語版)が戦死するなど、多くの若い有力者がこの戦いで命を落とした[23][24]

ルキウス・カルプルニウス・ビブルスやマルクス・ウァレリウス・メッサッラ・コルウィヌスなどのリベラトレス側で逃れた人物は、恐らくは若く冷酷なオクタウィアヌスに対処されるのを望まなかったため、アントニウスへ降伏した[Note 2]

リベラトレス軍の残存兵士の内、約14,000名は三頭政治側の軍隊へ編入されたが、古参の兵士の多くがイタリア本土へ戻されて軍より除隊した。なお、古参兵士の一部はローマの植民都市となったフィリッピ(コロニア・ウィクトリクス・ピリッペンシウム、ラテン語: Colonia Victrix Philippensium)の町へ入植した。

オクタウィアヌスはこの戦いで退役した多くのベテラン兵士を入植させるという複雑な問題へ対処するためイタリア本土へ戻り、アントニウスはブルトゥスらが支配していた東方地区の治安維持のために同地へ留まった[26][Note 3]

セクストゥス・ポンペイウスシチリアを勢力圏に置き、ドミティウス・アヘノバルブスが海軍を握っていたが、リベラトレス側の抵抗はフィリッピでの敗北で終結した。なお、セクストゥスとドミティウスは連携しながら三頭政治側と争った[28] が、紀元前40年にドミティウスはガイウス・アシニウス・ポッリオの仲介によりアントニウスに降り[29]、セクストゥスは紀元前39年にオクタウィアヌスとミセヌムで停戦協定を結んだ[30]

フィリッピの戦いで勝利に最も貢献したアントニウスは生涯のキャリアで頂点を迎えた、第二回三頭政治の一頭として、かつローマで最も有名な将軍となり、アントニウスの人生はこの時に決定付けられた。
文献・著作からの引用『ブルトゥスとカエサルの亡霊』、Brutus and the Ghost of Caesar、Edward Scrivenによる1802年の作品

プルタルコスは「英雄伝」の中で、「フィリッピの戦いの数ヶ月前のある夜、ブルトゥスは目の前に巨大な亡霊が現れたため、ブルトゥスが「何のようだ?」と尋ねると、亡霊は「私はブルトゥス、お前の悪霊だ。フィリッピで会うことになるだろう」と答えた。ブルトゥスは戦闘の前夜に再び亡霊とあった」と記している[10][31]

この逸話はイングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』の作中で最も有名な場面の一つである[32]

カッシウス・ディオはブルトゥスがギリシアの悲劇より引用した最期の言葉を以下のように伝えている。「不運で高潔な人よ、私の名前は本当の人として崇拝されていたのに、今は運命の奴隷になってしまった」[33]

オクタウィアヌスは後に自著「レス・ゲスタエ」(Res Gestae)の中でフィリッピの戦いについて、「私は父(ユリウス・カエサル)の殺害者らを国外へ追放して裁判の場でその犯罪を断罪した。然る後に、共和国に対して彼らが起こした戦闘で2度戦い、勝利を収めた」と自ら振り返っている[34]
Notes^ カエサル暗殺後にカッシウスらはマケドニアを実効支配していたが、紀元前43年2月に元老院より正式にマケドニア属州総督の割り当てを受けた[2][3]
^ 降服したブルトゥス軍の将校に対するオクタウィアヌスの冷酷な対応により、ブルトゥス軍の将校はアントニウスに敬意を表した一方、オクタウィアヌスへは痛烈な罵倒を浴びせたとの事例をスエトニウスは紹介している。[25]
^ アントニウスは合戦でリベラトレス側で参戦したオリエント諸国へ渡って、各地の支配者と会談した。その中にはプトレマイオス朝クレオパトラ7世も含まれていた[27]

脚注^ プルタルコス「英雄伝」キケロ47
^ キケロ「ピリッピカ」10
^ ウェッレイウス 2.62
^ a b c ウェッレイウス 2.69
^ プルタルコス「英雄伝」アントニウス 25
^ a b ウェッレイウス 2.64
^ プルタルコス「英雄伝」アントニウス 21
^ a b プルタルコス「英雄伝」ブルトゥス 38
^ アッピアノス「Civil Wars」4.108
^ a b プルタルコス「英雄伝」カエサル69
^ a b プルタルコス「英雄伝」アントニウス 22
^ a b プルタルコス「英雄伝」ブルトゥス 42
^ a b c d ウェッレイウス 2.70
^ アッピアノス「Civil Wars」4.112
^ プルタルコス「英雄伝」ブルトゥス44
^ a b プルタルコス「英雄伝」ブルトゥス 47
^ プルタルコス「英雄伝」クラッスス 18
^ ウェッレイウス 2.46
^ a b プルタルコス「英雄伝」ブルトゥス 52
^ スエトニウス「皇帝伝」アウグストゥス13


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