フィオナ・アップル
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両親は法的には結婚せず事実婚の関係で、アップルが4歳の頃に別れた[2]

幼年期は引っ込み思案の傾向があり、同時に強迫性障害でもあった。5年生の頃には、姉のアンバーと心中すると友人に冗談を言ったことがきっかけでセラピーの世話になった[2]。彼女自身が信頼できるセラピーを見つけるまでの道のりは長く、いくつもの診察を受けることになった。

フィオナ・アップルは12歳の時、感謝祭の前日に学校から母のアパートへ帰る途中レイプの被害に遭う[2]。このレイプ体験についてはいくつかの作品(“Sullen Girl”等)で言及されているが、必ずしも彼女の作品の主たるテーマとなってはいない。メディアはフィオナ・アップルの暗い過去をクローズアップしがちであるが、彼女自身は自分がインタビュアーにレイプ体験の話をしたのはそれが恥ずべき類いの経験だと考えてほしくなかったからだと語っている。彼女がトーリ・エイモスのことを「レイプの看板娘(poster girl for rape)」と呼んだという噂があるが、これは彼女がインタビューでエイモスの楽曲「Me and a Gun」に影響を受けたと語ったことと、レイプ被害体験をもつ人々に対して歌が強いメッセージを持っていると語ったことの2つがねじ曲げられて発生したものである。
経歴
1994年 - 1998年 : タイダルライブで歌うフィオナ・アップル(2012年)

フィオナ・アップルが音楽業界に飛び込むきっかけとなったのは、1994年にレコード会社の重役のもとでベビーシッターをしていた友人にデモテープを手渡したことだった。フィオナ・アップルのメゾ・ソプラノの声、ピアノ演奏、そして歌詞はソニー・ミュージックの重役アンディ・スレイターの気をひき、彼女をレコード契約へと導いた。

1996年、フィオナ・アップルのデビューアルバム『タイダル』(Tidal)がソニー傘下のレーベルからリリースされる。このアルバムは290万枚を売り上げてアメリカではプラチナディスクとして認定され、3枚目のシングル「クリミナル」(Criminal)がヒットしブレイクする。この曲は全米チャートBillboard Hot 100でトップ40にランクインし、物議を醸したマーク・ロマネク監督によるミュージック・ビデオを中心に大きな注目を集めた。マネージャーのスレイターはこのビデオを「ロマネクが映画監督グレッグ・アラキと写真家ナン・ゴールディンに捧げたもの」と語っており、人々は「セックスを想起させる」と指摘した。

後年、フィオナ・アップルは「あれが私を有名にしたけど、私自身は誇りに思っていない…私はビデオに出てきたような女の子になりたいとは思わないし、困惑している。でもあの曲が彼らが犯した過ちを神に告白する内容になっていることは認めるわ…だけど物事がねじ曲げられて解釈されることがいかに恐ろしいかを思い知った経験だった」と語っている。さらに後年、彼女はそのビデオと曲のマッチングについて聞かれ「beautiful」と答えてもいる。

『タイダル』からは他に「シャドウボクサー」「スロウ・ライク・ハニー(アメリカでのみラジオ曲向けシングルとしてリリース)」「スリープ・トゥ・ドリーム」「ザ・ファースト・テイスト」「ネヴァー・イズ・ア・プロミス」がリリースされた。

フィオナ・アップルは盛んなメディア露出の中で形成されていった自分のパブリックイメージにアップルは苦しむことになる。最も良く知られているのが1997年のMTV Video Music Awardsにて“Best New Artist”を受賞したときのことで、彼女は「この業界は腐りきっている。この業界の人間がクールだと決めたこと、ファッション、考え方に影響されて自分たちの生き方を変えるなんて馬鹿げている」とメインストリームの音楽業界を批判した。彼女はマヤ・アンジェロウの“Go with yourself”という言葉を引き合いに出してもいる。彼女の発言は授賞式の場では拍手と喝采をもって賞賛されたものの、メディアからはすぐに総スカンを喰らい、クリス・ロックなどはそのスピーチに関して嘲笑ともとれるコメントを残している。

下着だけをつけてきわどいミュージックビデオに登場する彼女と、若い女性たちにセレブリティ・カルチャーへの批判を説く彼女に矛盾を感じ、あの発言は偽善的だという意見もあった。彼女は弁解こそしなかったが、「何か言うことがあるとしたら、そうね、ああゆうことを言ったら爽快だろうな、ってとこかしら」という言葉を残している。スタンドアップ・コメディアンのデニス・リアリーはアルバム『Lock 'N Load』に「アップルの本からの朗読」と題した皮肉たっぷりのスピーチを収録している。

コメディアンジャニーン・ガラファローはアップルの痩せ細った外見を物まねしてみせた。ガラファローのファンでもあったフィオナ・アップルはこれに憤慨し、その主な理由は、ガラファローが「彼女は痩せることに必死」とトークし、アップルの体重についてからかうガラファローを偽善と感じたからだった。伝えられるところによるとガラファローは「あれはコメディよ。軽く流してよ」と応じたという。この時期にアップルはビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」とパーシー・メイフィールドの「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」の2つのカバー曲を映画『カラー・オブ・ハート』のサウンドトラック盤に提供している。


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