ファースト・マン
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いくつかのシーンはIMAX 70mmカメラで撮影された[26][27]

監督はフィルム撮影と極力CGIに頼らないVFXシーンを希望し、本来CGI効果主体のVFXプロダクションであるDNEGは進化したスクリーン・プロセスを採用した。ジェミニやアポロ宇宙船のモックアップ(実物大模型)を湾曲した巨大な液晶パネルの前に設置し撮影する事で、CGIで製作出来ない自然な状態で気密服のフードや船体の反射を機体の激しい揺れまで含めて現場で表現し、修正や効果の追加は最低限にとどめる事が出来る。のちに『マンダロリアン (テレビドラマ)』でも採用され、ロケ撮影の時間と経費節約に寄与。日本でも大河ドラマいだてん?東京オリムピック噺?』で近似した手法が用いられている。サターンロケットの打ち上げシーンは当時の撮影フィルムを修復し、CGIで煙と噴射を付加する方法で解決した。

本作は2018年8月29日にヴェネツィア国際映画祭においてワールド・プレミアを迎え、2018年9月にはテルライド映画祭で、2018年9月9日にはトロント国際映画祭(英語版)で上映された。アメリカ合衆国においては2018年10月12日にユニバーサル・ピクチャーズより公開された[28]
騒動

ヴェネツィアでのプレミア上映後、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面に星条旗を立てるシーンが存在しないことが物議を醸した。また、同日に行われた記者会見で、ライアン・ゴズリング(カナダ人)が「アームストロングが成し遂げた偉業はアメリカの偉業ではなく人類の偉業だと思っています」と発言したため[29]、アメリカの保守層の反感を買うことになった。ついには、マルコ・ルビオ上院議員が自身のTwitterで「これは全く以てふざけた話です。(中略)。アポロ計画に必要だった費用はアメリカ国民の血税で賄われました。宇宙船はアメリカ人の手で建造されましたし、アメリカ人が生み出した技術によって生み出されたものです。また、搭乗していた宇宙飛行士もアメリカ人です。アポロ計画は国連のミッションではありません。」とツイートするに至った[30]

なお、原作者のジェームズ・R・ハンセンとアームストロングの息子2人が本作を擁護するコメントを出している[31][32]

こうした指摘に対し、チャゼル監督は「驚いている」と前置きした上で、「ストーリーの性質上、細かいエピソードをすべて盛り込むことはできなかった」「この作品ではアームストロング船長の内面や知られざる一面を描き出したかった。船長が月面に星条旗を立てるシーンはあまりにも有名で、知られざる一面ではない。」「船長が月面に星条旗を立てるシーンこそないが、月面に星条旗が立っているシーンはある」という主旨の釈明をした[33][34]
評価

映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは12件のレビューに基づき、批評家支持率は92%、平均評価は10点満点中8.4点となっている[35]Metacriticでは、10件のレビューに基づき100点満点中81点が付けられ、「世界的な大絶賛」(: "universal acclaim")と紹介されている[36]
科学的事実との相違点

X-15の飛行中にエンジン音など聞こえてきますが、実際のコックピット内では音は聞こえてきません。またコックピットが振動しているが、実際はロケットモーター搭載で弾丸のように飛ぶので、振動はごくわずかとなる。

雲を出たり入ったりしてますが、上空14キロに通常は雲はなく、あったとしたら嵐の雲なので、X-15は避けて通るはず。

高度に達すると映画では暗い青から明るい青に変わってますが、実際は光を屈折させる空気が薄くなるので、明るい青から暗い青に変わる。

高高度でX-15の機首が熱で赤くなりますが、この時点では摩擦の熱で金属が変色するには空気分子が足りなくて、赤くはならない。

原作本

『ファーストマン: ニール・アームストロングの人生
(英語版)』(上・下)著作:ジェームズ・R・ハンセン(英語版)、翻訳:日暮雅道・水谷淳、SBクリエイティブ(2007年5月29日発売)

関連書籍

『ファースト・マン オフィシャル・メイキング・ブック ビジュアル&スクリプトで読み解くデイミアン・チャゼルの世界
』(限定2,000部)、DU BOOKS

脚注^ a b c d e “Film releases”. Variety Insight. Variety Media. 2018年7月12日閲覧。
^ “Film Review: ‘First Man’”. ヴァラエティ (2018年8月29日). 2019年5月3日閲覧。
^ a b c “first man”. Box Office mojo. 2019年2月11日閲覧。
^ 『キネマ旬報』2020年3月下旬特別号 60頁
^ Anderson, Ariston (2018年7月25日). “Venice to Kick Off Awards Season With New Films From Coen Brothers, Luca Guadagnino and Alfonso Cuaron”. The Hollywood Reporter. Prometheus Global Media. 2018年7月25日閲覧。
^ Vivarelli, Nick (2018年7月25日). “Venice Film Festival Lineup: Heavy on Award Hopefuls, Netflix and Star Power”. Variety. Penske Business Media. 2018年7月25日閲覧。


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