そして、これらの神話伝説を素材として編まれた数々の文学作品がファンタジーの源流となり、また、ファンタジーの系譜にはイソップ童話のような童話から児童文学につながる流れもある[要出典]。
近代文学におけるファンタジーは、19世紀から20世紀初頭にかけて隆盛を誇ったリアリズム文学に対するアンチテーゼとして出発している[要検証 – ノート]。すなわち、小説世界のルールは現実世界に準じ現実の一コマとして存在しうる物語であるというリアリズム文学に対し、小説世界のルールを小説世界で規定し現実にはありえない物語をファンタジー文学と呼んだのである[誰?]。
最初期のファンタジーは、主に児童文学の領域にみられる。すなわちチャールズ・キングスレー『水の子 陸の子のためのおとぎばなし』(1863年)やルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865年)などである。これらは、すでに単に子供向けではない大人向けの含蓄が含まれる点で、初期ファンタジー文学としての特質を有している。その後の流れとしては、ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』(1900年)、ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パンとウェンディ』(1911年)、パメラ・トラバース『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(1934年)などが挙げられる。これらもファンタジー文学、児童文学両方の扱いがなされる。
やがてファンタジーは児童文学の一分野として扱われながらも、次第に対象(読者)を大人にも広げていき、またサイエンス・フィクションとも相互に影響しあって発展していく。児童文学に分類されない、大人向けのファンタジーとしてはロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』(1939年)や、ジャック・フィニイ『ゲイルズバーグの春を愛す』(1963年)などが代表作として挙げられる。ただしこの両作品はサイエンス・フィクションの時間テーマものの傑作としても扱われており、ファンタジー文学、SFの両方の扱いがなされる作品でもある。
近代ファンタジーの形成エドガー・ライス・バローズ『火星のプリンセス』表紙(1917年)
児童文学に分類されない近代ファンタジーの形成は、ファンタジーの定義の解釈によって諸説はあるものの、狭義のファンタジーとしては1920年代から1940年代にかけて隆盛を誇ったパルプ・マガジンを嚆矢とすることができる。特に通常はSFとファンタジーとの境界ともいえ、そのどちらにも分類されるエドガー・ライス・バローズの火星シリーズ(第1作『火星のプリンセス』は1912年に原型が発表され1917年に完成)、ロバート・E・ハワードによるヒロイック・ファンタジーの最初の完成型とも言われる英雄コナンシリーズ(1932年に第一作発表)がこの時代の代表作であり、同時にJ・R・R・トールキン以前の近代ファンタジー文学の1つの典型と言える。
なお、ハワードは多数の模倣者を生み出したことでも知られ、ハワードとその有象無象の模倣者たちはヒロイック・ファンタジーや同時代に隆盛を誇ったスペースオペラなどの形成に大きな役割を果たしている。