日本のファッション雑誌では、1990年代以降ストリートの流行をすばやくキャッチし制作コストを下げる目的もあり、ストリート系のファッション誌を中心に、プロのモデルではなく街頭スナップや読者モデルを多く取り入れる傾向にある。このためモデルは出演料の低下に悩むことになり、プロフェッショナルモデルの減少に繋がった。
ブランドのコレクションショーなどに出演するモデルは、通常175cm以上の高身長である。雑誌に関しては身体のバランスがよければ特別な身長の高さは求められないが、170cm前後を満たしているモデルが多い。また、雑誌、CMのモデルなどにはカメラの前での動きのよさや、いわゆるフォトジェニックであることも要求される。日本国外においていわゆるハイファッションの仕事をこなすモデル達は、ほとんどの場合これらの条件をクリアしている。
パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのファッション・ウィークのモデルは現地モデル事務所に所属しオーディションを受けるが、現地ブランドにモデル採用されるまでの交通費・宿泊費・食事代はモデル個人の持ち出しなので、それに見合うギャランティーが稼げないモデルは淘汰される。
パーツモデルの場合は身体の一部分にのみに特別な美しさが要求されるため、全体的な身長やプロポーションは全く問われない。ただし、モデルとなるパーツに傷をつけたり怪我をしないように、日常生活においての細心の注意を払っている。「手タレ」「足タレ」などという呼称は彼、彼女らがタレントではなくモデルであることから、ふさわしい呼称とは言い難く、本人達もこれを嫌う傾向がある。シャネル・イマンなどと並び立つ「極細モデル」としての言及をしばしば受けてきたスネジャナ・オノプカは、いわゆるコーカソイドとしては異例の14.6というBMIを一時的ながらも計上し高い人気と需要を維持してきた。 2006年の暮れにアナ・カロリナ・レストンというブラジル人モデルが拒食症を原因として死亡。この事件が発端となって「痩せ過ぎ」のモデルについての議論が過熱した。これを受けてスペインおよびイタリア政府は「痩せ過ぎモデルは少女達に誤った美の観念を与える危険性がある」として、BMIが18未満のファッションモデルのファッションショー出演を禁止。[5] 米国、フランスおよびイギリスにあっては、規制ではなく啓蒙という形でこの問題に取り組んでゆくとの発表が行われた。[6] この事件をきっかけに、痩せすぎが原因で死亡したモデルの事例が次々に発覚し、痩せ過ぎを不健康であるとする指摘が強まった。 2009年には、ラルフローレンの起用したフィリッパ・ハミルトンというモデルの日本向けの広告写真が、細く見せるための過剰なデジタル修正を施されていたことが話題となり、多くのマスメディアによって取り上げられるに至っている[7]。 痩せ過ぎモデルの出演禁止には、出演するモデル達の間でも賛否両論がある。生来の代謝能力の高さなどで自然状態で痩せ身というモデルもいることから、全てを規制することは難しく、基準を作ったとしても、痩せ過ぎ自体がすぐに改善されるわけではないという声が多い。 西洋ファッション界随一の有力者で“ファッションの帝王”の異名を持つカール・ラガーフェルドは、こうした論争の流れのなかで次のような発言を行い、賛否両論を受ける結果となった[8]。 「まああれだね。ポテトチップの袋を抱えてテレビの前にでーんと陣取っとる太ったおっかさん方だよ。あれらがぶつくさ文句を言っとるわけだ。やれ細いモデルは醜いと。 2010年度の一時期にあっては、ファッション界における「ふっくら体型」の許容という現象が報告されもした。しかしながらこれはあくまで表面的な「見せ掛け」に過ぎないもので、「本音」はやはり痩身の礼賛にあるとする見方が示されている。メインストリームにおける需要は相変わらず痩せ身のモデルに集中しているからである[9]。 イタリア フランス アメリカ 日本
痩せ過ぎモデル
夢と幻想の世界なのだよファッションは。丸々とした女なんぞ誰が見たいものか。」
各国の反応と対応
16歳以下のモデルはファッションショーの出演禁止。
BMI値が18以下のモデルは出演禁止。
モデルは事前に健康診断書を提出しなければならない。
最終判断は医師に任す。
10代 - 80歳までの女性8000人のサイズを測定し、「平均サイズ」の見直しを行った。
BMI値が18.5以上。
大きなファッション市場を持つ国の1つであるが、規制はまだされていない模様。
各デザイナーに判断が任されており、厳密な基準は定まっていない。日本でも痩せ過ぎモデルに関するニュースは大々的に取り上げられているが、それが視聴者、ファッション業界に直接影響を与えているとはいえない。
用語・その他
ブックとコンポジット
ブックとはモデルにとって営業用の資料ファイルと言ってよい。自身がこれまでに出演したショーや雑誌、又はイメージ資料としての写真をファイルしているもので、仕事に行く時には必ず携帯している。新しい現場やオーディションなどで、相手に自分がどのようなセンス、イメージ、モデルとしての能力を持っているかをひと目で簡単に理解してもらうために、とても重要なものである。他には、名刺代わりとしてコンポジットと呼ばれる、これも同じくこれまでの仕事に関する資料をプリント印刷して、更に身体のサイズを記載したカードがある。この2点は世界中のモデルに共通する重要仕事アイテムである。
スーパーモデル
世界的に有名なファッションショーに出演し、世界的な知名度、人気を得ているモデルのことを言う。アメリカでは1990年代にスーパーモデルブームが起り、数々の人気スーパーモデルが輩出された。普段のファッション私服は勿論のこと言動、私生活にまで関心を集め、時に、その言動は世の中の社会現象を起すこともありうる。
プラスサイズモデル
標準サイズよりも太ったモデルのことを言う。太さは三段腹程度から完全に腹が出ている者まで様々。
モグラ女子
2016年ごろから日本で使われるようになった造語。グラビアアイドルとしてもファッションモデルとしても活躍する人物を指す。馬場ふみか、久松郁実、内田理央、大川藍、泉里香、武田玲奈、石川恋、朝比奈彩、松元絵里花、武田あやな、松本愛、大澤玲美らが活躍している[10][11]。
脚注[脚注の使い方]
出典^ 常木暎生、「ブランド広告の特徴とイメージ ?雑誌広告の内容分析と印象評定から?
^ ⇒World's Top Fashion Weeks Nearly 90% White.
^ ⇒vogue.co.jp:ランウェイや雑誌の表紙では約8割、広告では約9割を、今も白人のモデルが占めている
^ 目鼻立ちの整った顔をもつ白人は世界的にみても“理想の女性”とされ、ブランドの広告塔としても起用されやすい
^ AFP BB:マドリードファッションウィークはやせ過ぎモデル出場を禁止 - スペイン 2007年1月15日