ピーナッツ
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花は咲いたが何も実を結ばないので「こんなもの」と足蹴りしたら地中から鞘(殻)が出てきて、地下結実性であることが判明した[12]。経済栽培に向けて、販売先の確保のため、地元旅館に試食を依頼したが「客は喜んだが、座敷が汚されて困る」と断られた逸話が残っている。その後、明治10年に0.4リットル袋入りにて横浜の駄菓子屋に売り込んだところ盛況となり、採算がとれる商業生産への見通しがたった[13]。千葉県においては1876年より栽培が開始されている。

18世紀以前の北アメリカでは、ラッカセイは家畜の餌か黒人奴隷向け食糧として栽培されていた。アメリカ合衆国における南北戦争による食糧事情の悪化により白人もラッカセイを食べるようになり、「ピーナツ」と呼ばれ愛されるようになった[14]

1895年に、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグピーナッツバターの特許を申請。1921年には、ジョゼフ・ローズフィールドが「部分水素化」によりピーナッツバターの油脂分離問題を解決。1932年には、有名ブランドとなる「スキッピー」が発売。栄養価の高いピーナッツバターは、食料不足の折の肉類の代わりとなり、第一次世界大戦第二次世界大戦を経て、アメリカの食卓に欠かせないスプレッドとなった。そのため、2020年現在、アメリカにおけるピーナッツの消費量は世界トップクラスである。

ラッカセイの花

種子部分

掘り出した殻付きラッカセイ

利用

品種はさまざまあるが、主にラッカセイそのものを味わう大粒種と、チョコレートなどの加工用にする小粒種がある[4]。食材としての主なは9 - 10月といわれ、サヤが固く締まっているものが市場価値の高い良品とされる[4]。生のラッカセイは日持ちしないため、当日分を茹でて食べるのがよく、食べきれない分は小分けにして冷凍保存するとよいと言われている[4]。完熟したラッカセイは収穫したらサヤごと乾燥保存して、ピーナッツとして利用が楽しめる[2]。薄皮の黒いラッカセイは「黒ラッカセイ」とよばれ、薄皮にアントシアニンが含まれているので、茹でたら薄皮ごと食べるとよい[2]
食用

ラッカセイの実を食べる時は、殻(莢、豆果)のまま炒るか殻からむいたものを炒ることが多い。炒りラッカセイは、生ラッカセイを殻から取り出し、フライパンに油をひかずに弱火で20分ほど焦がさないように乾煎りしたものである[5]。サヤから取り出して香ばしく炒ったピーナッツは、薄皮がついているものや薄皮を剥いたものがあり、塩やバターパーム油などを絡めて風味づけして市販もされている[15]

また、殻のまま塩茹でにしたものは「茹でピー」とも呼ばれる[13][注 2]。塩茹でラッカセイは、殻の表面を洗ってから被るぐらいの塩を加えた水で1時間ほど茹で上げ、ザルに上げて冷ましたものである[15]。日本で市販されているラッカセイは、産地で乾燥させたもので、カリッとした食感を楽しむことができる[15]。日本では、北海道東北地方千葉県の一部では節分の豆まきで殻付きで炒った落花生を用いる地域もある。

中国台湾では殻ごと八角などの香辛料を加えた湯で茹でる調理や、蒸篭で蒸すことも多い。茹で落花生は日本でも静岡県、鹿児島県などでは一般的である。長崎県大村市ではがめ煮に落花生を入れる習慣がある。

中国では皮付きの種を油で揚げてから塩をまぶす方法も一般的である。これは朝食に食べるの具としても使う。
栄養

らっかせい(乾、大粒種)[16]100 gあたりの栄養価
エネルギー2,351 kJ (562 kcal)

炭水化物18.8 g
食物繊維7.4 g

脂肪47.5 g
飽和脂肪酸8.33 g
一価不飽和22.76 g
多価不飽和13.74 g

タンパク質25.4 g

ビタミン
ビタミンA相当量(0%) 1 μg
チアミン (B1)(74%) 0.85 mg
リボフラビン (B2)(8%) 0.10 mg
ナイアシン (B3)(113%) 17.0 mg
パントテン酸 (B5)(51%) 2.56 mg
ビタミンB6(35%) 0.46 mg
葉酸 (B9)(19%) 76 μg
ビタミンE(67%) 10.1 mg

ミネラル
ナトリウム(0%) 2 mg
カリウム(16%) 740 mg
カルシウム(5%) 50 mg
マグネシウム(48%) 170 mg
リン(54%) 380 mg
鉄分(12%) 1.6 mg
亜鉛(24%) 2.3 mg
(30%) 0.59 mg
セレン(29%) 20 μg

他の成分
水分6.0 g
水溶性食物繊維0.4 g
不溶性食物繊維7.0 g
ビオチン(B7)92.3 μg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[17]


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。

ラッカセイ100g中の主な脂肪酸の種類[18]項目分量(g)
脂肪49.24
飽和脂肪酸6.834
14:0(ミリスチン酸)0.025
16:0(パルミチン酸)5.154
18:0(ステアリン酸)1.1
一価不飽和脂肪酸24.429
16:1(パルミトレイン酸)0.009
18:1(オレイン酸)23.756
20:10.661
多価不飽和脂肪酸15.559
18:2(リノール酸)15.555
18:3(α-リノレン酸)0.003

栄養価が非常に高いことで知られ、可食部100グラム (g) あたり約295キロカロリー (kcal) あり、30粒ほどで米飯1杯分のカロリーとほぼ同じといわれている[4]ビタミンB群や老化防止に欠かせないビタミンE、脳を活性化するレシチンミネラルを豊富に含んでいる[4][5]タンパク質脂質も多く、ラッカセイに含まれる脂肪の多くはオレイン酸リノール酸などの不飽和脂肪酸で、悪玉コレステロールを抑制する作用から生活習慣病予防に役立つといわれている[4][5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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