ピラミッド
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また、ドイツの考古学者であるメンデルスゾーンが提唱した「農民救済の公共事業説」のように、物証を伴わない説は反証されることもないが、同じく実証を伴わないアイディアに留まる傾向が強く、主たる論とはなっていない。そのため、ピラミッドは「王墓」であるという説明が続けられていることが多い。また、王墓であるかどうかとは別に、葬祭殿や付随する墓地群などから見て、ピラミッドが葬礼と関連があること自体は確実視されている。
語源

ギリシア語で三角形のパンを指すピューラミス(πυραμ??; pyramis; ピラミス、ピラムスとも)に由来するという説が最も有力。古代エジプト語ではギザのピラミッドに「昇る」という意味の「メル(ミル、ムルとも。ヒエログリフでは△と書く)」という言葉を当てていた。
形態の形成

現在我々が見るようなピラミッドの形態はある時点で突発的に形成されたわけではなく、何世代もかけて練り上げられてきたものである(ただし、それぞれのピラミッドはその形状で完成形態であるとする研究も出てきている)。
階段ピラミッドジェセル王の階段ピラミッド

階段ピラミッドはピラミッドの最初の形態で、紀元前27世紀第3王朝時代サッカラに、宰相イムホテプが設計し、ジェセル王が築いたジェゼル王のピラミッドがその始まりである。

当初は日干し煉瓦による方形のマスタバとして建立され、ピラミッド状とすることは想定されていなかったと考えられているが、幾度もの試行錯誤の末、次々と上部に煉瓦を積み上げて最終的には階段状の巨石建造物と成した[3]。一度、階段形態が完成した後も、追加して拡張が成された。

完成時の寸法は東西約121m、南北約109m、高さ約60m。このピラミッドは後世に巨大な影響を及ぼし、以後はそれまでのマスタバにかわり、ピラミッドが王墓の主流の形式となった。
屈折ピラミッドスネフェル王の屈折ピラミッド

第4王朝期に入ると、スネフェル王が既存のピラミッドを基調に、メイドゥームに51度の勾配を持つピラミッドを造り上げた。このメイドゥームのピラミッドは最初に四角錐の形状を採用しており、その意味では画期的な建造物であった。ただし、これは後に(あるいは建設途中に)崩壊した。このピラミッド(崩壊ピラミッド、偽ピラミッドとも呼ばれる)はそもそも四角錐を目指していなかったとする説もある。また、このピラミッドをスネフェルのものとして数えない場合もある。

スネフェル王はまた、屈折ピラミッドと称されることになるピラミッドも築いた。これは建設途中に(地上から49m地点で)勾配を約54度から約43度に変更していて、高さは約101mであった。屈折ピラミッドの形状の理由としては、

勾配が急過ぎて危険なため(崩壊の危険、玄室にかかる重量過多)角度を途中で変更した。

建造中に王が病気になったので、完成を急ぐため高さの目標を下げた。

これが完成形であり、下エジプト・上エジプトの合一を象徴している。

などの説がある。
真正ピラミッド赤いピラミッド

スネフェルは更にダハシュールにおいて、勾配約43度で、側面が二等辺三角形赤いピラミッドを建造。これによっていわゆる真正(しんせい)ピラミッドの外形が完成した。スネフェルが1人で3つもピラミッドを築いている点から導かれる王墓説否定論に対しては、メイドゥームのピラミッドは勾配がきつすぎて崩壊、同様に屈折ピラミッドは一定の高さ以上にできなかったので挫折した妥協の産物でしかなく、最終的に43度のピラミッドが誕生した、という反論がなされてきた。

世界一高いピラミッドは、スネフェルの次のクフ王によって紀元前2560年頃にギザに築かれたギザの大ピラミッドで、勾配は53度53分。底辺は各辺231m、高さ146mに達する。またこれは14世紀にリンカン大聖堂の中央塔が建てられるまで世界で最も高い建築物であった。第2位のカフラー王のピラミッドもこれに匹敵する、底辺215m、高さ143.5mである。この2つに隣接するメンカウラー王のピラミッドは何故か規模が縮小し、底辺108m、高さ66.5mである。この王の威光が前二代の王と比してさほど劣るものではなかったと伝えられることから、縮小の理由は謎とされている。

3つはギザの三大ピラミッドと呼ばれ、世界有数の観光地となっている。これらのピラミッドはもともとは表面に石灰岩の化粧板が施されており、(現在のような段状ではなく)傾斜のある滑らかな面でできた四角錐で、全体が白色に輝いていたのだが、遺跡を保護するという概念がなかった時代に、その化粧板が剥がされてカイロ市街地の舗装に使われてしまい、現在のような姿となった。化粧板は現在ではカフラー王のピラミッドの頂上辺りとギザのピラミッドの土台元に僅かに残っているのみである。また、ピラミッドの頂点にはベンベン石(キャップストーン)と呼ばれる四角錐状の石が置かれた。オリオン座(図示)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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