ピタゴラス
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ピタゴラスと音楽音程を研究するピタゴラス
左上:重さの違う鎚の響きを調べている
右上:大きさが比になった鐘、いろいろな水量のコップを叩いている
左下:重さの違う錘を吊るした弦を弾いている
右下:大きさの違う笛の音を試している

ピタゴラスは音階の主要な音程に対応する数比を発見したとされている[12]。彼はオクターヴを2:1、完全五度を3:2、完全四度を4:3、そして完全五度と完全四度の差としての全音を9:8と定義した[12]

ボエティウスは著書の『音楽教程』の冒頭にピタゴラスが音程と数比の関係を発見した経緯を記している。ある日鍛冶屋の前を通ったピタゴラスは、作業場の何人かの職人が打っているハンマーの音が共鳴して、快い協和音を発していることに気が付いた。中に入って調べてみると、ハンマーの音程は、その重量と関係があった。そこには五本のハンマーがあったが、四本の鎚の重さは「12 : 9 : 8 : 6」の単純な数比の関係にあることが解ったのである。単純な比になっていない他の1本のハンマーだけは、鳴らすと不協和音がした(しかし実際にはこの原理は楽器の弦の長さの比率においては正しいが、金槌の重さには当てはまらない)。

ピタゴラスはさらに弦楽器や笛で実験し、弦の長さの比が弦の振動数の比、つまり音程の関係を支配することを発見した。ピタゴラスは発見した音程の法則を確認するために、モノコードと呼ばれる1本のガットと自在に動かせる駒で構成される調律道具を発明したといわれる[11]

ピタゴラスに由来するとされるもう一つの音楽に関する学説は、「天球の音楽」の理論である。これは各惑星がある楽音に対応し、それらがハーモニーを形成しているというものである[12]

ピタゴラスの死後、彼の信奉者は音楽理論に関する学派を形成するが、ピタゴラスの学説が古代ギリシアの音楽の実践に影響を及ぼした可能性はほとんどない[12]

ピタゴラス音律周波数の比率が3:2の音程の積み重ねに基づく音律である。これは中国の三分損益法と同様である。ピタゴラスコンマはピタゴラス音律における異名同音の差である。
ピタゴラスと豆豆から顔をそむけるピタゴラス

ピタゴラスはなぜか、豆をたいへんに嫌った。そのためピタゴラス教団は、豆を食べない規則を全員に強制した。この奇癖は迷信の多かった当時でも異様に思われ、理由についての色々な憶測があり、アリストテレスは「豆は性器に似ている、あるいはまた地獄の門に似ているから」と書いている。また「食べない方が胃によく安眠が出来るから」という単なる健康上の理由であるともいい、さらに「選挙のときの籤に使われるから」という、政治的理由であったともいう[13][14]ディオゲネス・ラエルティオスは『ギリシア哲学者列伝』の中でピタゴラスの最期に関する4つの説を紹介している[15]が、それによると彼は豆畑を通って逃げるより、追っ手に捕まって殺されることを選んでいる[14]
クロトンで暴徒に家に放火され、逃げ出したが豆畑のふちに追いつめられ、咽喉を切られて殺された。

メタポンティオンのムゥサの女神たちの神殿に逃げ込み、40日間の断食をした後で死んだ。 - ディカイアルコスの説

メタポンティオンに退き、断食をして死んだ。 - ヘラクレイトスの説

アクラガス人とシュラクサイ人との戦闘で、アクラガス側に参加して戦った。しかしアクラガス軍が敗走し、ピタゴラスは豆畑を避けて廻り道をしたためシュラクサイ軍に追いつかれて殺された。 - ヘルミッポスの説

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 史料によっては、この事件を次のように伝える。無理数の存在を知ったピタゴラス教団は動揺し、この発見を口外しない誓いを立てあい、無理数の存在を隠蔽しようとした。しかしヒッパソスという名の男が反発し、あくまで事実を公表しようとしたため、教団は彼を海に突き落とした[10]

出典^ 「サモス島のピュータゴラース」古代ギリシャ語: Πυθαγ?ρα? ? Σ?μιο?、P?thagor?s ho Samios、また単純にΠυθαγ?ρα?、P?thagor?s、イオニア方言形: Πυθαγ?ρη?、P?thagor?s
^ a b ジェイムス 1998, pp. 38?49.
^ アレクサンドリアのクレメンス: Stromata I 62, 2?3, cit. Eugene V. Afonasin, John M. Dillon, John Finamore, ed (2012). Iamblichus and the Foundations of Late Platonism. Leiden and Boston: Brill. p. 15. https://books.google.com/books?id=teoyAQAAQBAJ&lpg=PA20&dq=neanthes%20of%20cyzicus%20pythagoras%20tyre&pg=PA15#v=onepage&q&f=false 
^ Joost-Gaugier, Christiane (2007). Measuring Heaven: Pythagoras and his influence in thought and Art. Ithaca and London: Cornell University Press. p. 21. https://books.google.com/books?id=Cf9Rj_ADZU4C&lpg=PA21&dq=neanthes%20of%20cyzicus%20pythagoras%20tyre&pg=PA21#v=onepage&q&f=false 
^ ジェイムス 1998, pp. 38?48.


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