とはいえ、当楽曲の初演は不評に終わり、その影響からかベートーヴェンの存命中に二度と演奏されることは無く、更に新たにピアノ協奏曲を自身の存命中に書き上げることは無かった[9][12][注 3]。後年、フランツ・リストが好んで演奏したところから、当楽曲は名曲の一つに数えられるに至っている[11]。
なお当楽曲は、完成後最初に行われたロプコヴィツ侯爵宮殿に於ける非公開初演の場でピアノ独奏を務めたルドルフ大公に献呈されている[8]。 当楽曲に付されている「皇帝」という通称は、ベートーヴェンとほぼ同世代の作曲家兼ピアニストであり楽譜出版などの事業も手がけていたヨハン・バプティスト・クラーマーが、雄渾壮大とか威風堂々といった当楽曲で抱いた印象から付与したものといわれ、ベートーヴェンの死後、主として英語圏で定着した[11][6][7][9][注 4]。 尤もこの「皇帝」という通称を巡っては、フランス軍に攻め込まれ、オーストリア皇帝やベートーヴェンの支援者たる貴族たちが疎開していった状況下で、不自由な生活を強いられていたベートーヴェン自身が「皇帝」を想起しつつ作曲を進めていたとは考えがたく、たとえ当楽曲の曲想が「皇帝」のイメージと結びついているとしても、作曲当時の状況から考えれば不相応といわざるを得ない、との指摘も一部の専門家から為されている[7]。 独奏ピアノに加え、下表に示す必要楽器類から構成される管弦楽を要する。 編成表木管金管打弦 第1楽章 第1主題第3楽章 主題 音楽・音声外部リンク 音楽・音声外部リンク 全3楽章構成となっており、第2楽章と第3楽章は続けて演奏される。演奏時間は39?40分で[6][16]、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では最大規模を誇る[11]。
「皇帝」という通称の由来
楽器編成
Fl.2Hr.Es管×2Timp.1対(B、Es)Vn.1●
Ob.2Trp.Es管×2他Vn.2●
Cl.B管×2Trb.Va.●
Fg.2他Vc.●
他Cb.●
曲の構成
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第1楽章を試聴する
「皇帝」Op_73・第1楽章
第2?3楽章を試聴する
「皇帝」Op_73・第2-3楽章
第1楽章 Allegro
独奏協奏曲式ソナタ形式。慣例に反して、いきなりピアノの独奏で始まるがこの部分は序奏に相当する。提示部は伝統的な独奏協奏曲の様式に従い、まずオーケストラで提示してからピアノが加わる。