19世紀初頭、供給が減少したビーバーの毛皮の代わりに、表面をけば立たせて毛皮風に仕立てたシルクを用いた「シルク・ハット」がイタリアで考案されると、トップ・ハットの主流はシルクに移ったため、ビーバーの需要は衰え、アメリカやカナダで保護法が成立したこともあって、ビーバーの乱獲時代は終了した。
1940年代、アルゼンチン政府は、毛皮を目的として 50 頭のアメリカビーバーを南アメリカ大陸南端に位置するフエゴ諸島に移入した。天敵がいない土地に棲み着いたビーバーは2008年までにおよそ10万頭に増加し、フエゴ諸島固有の木々を大量に噛み倒し森林破壊の原因となっている。2008年現在、アルゼンチンおよびチリ政府は、フエゴ諸島でのビーバーの大規模な駆除を計画している。反対に、スコットランドでは、400年前に絶滅したヨーロッパビーバーを再移入して、生態系を回復させようとする計画が進行している[25]。
また、ビーバーの肉は食用にされた。最も有名なビーバーの毛皮の供給元は、アラスカ中部のユーコン川に面したビーバー村であった。味については佐藤垢石はエッセイ「香熊」において、ニホンアナグマがビーバーに似ていると記述している。特に魚肉の一種とみなされ食肉が禁止されていた修道院に需要があった[26][27](同様に日本の江戸時代食肉禁止文化でもウサギが鶏肉と見なされ需要があった[28][29])。
ビーバーの毛皮を求める行動が、欧州の北米進出を加速させた面があり、このことからカナダでは国獣としてビーバーが指定されている[30]。
ビーバーは警戒心の強い野生動物であるため不用意に近づくと襲われることがある。木を噛み切るビーバーの歯は人間にひどい怪我を負わせることが可能で、動脈を傷つけるなどして死に至らしめることもある[31]。 ビーバーが主たるモチーフであったり、主役として活躍するもの。
モチーフにした作品
絵本『ベントリー・ビーバーのものがたり』 (文/マージョリー・W・シャーマット
アニメ『ドン・チャック物語』
映画『それでも、愛してる』(原題 The Beaver、監督/ジョディ・フォスター)ビーバー人形がうつ病の主人公を救う。
映画『ゾンビーバー』(en:Zombeavers) ゾンビと化したビーバーが人間を襲うホラー映画。
小説 『ビーバーの小枝』小川洋子 著(「いつも彼らはどこかに」集録 初版2015/12/23新潮社 )
ゲーム『Timberborn』Mechanistry
雑学
そのダム作りの様子から、ビーバーはしばしば勤勉の象徴とされる。英語には work like a beaver (ビーバーのように働く)という言葉がある。世界的に有名な名門ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのマスコットがビーバーである。
日本のボーイスカウトでは、最少年代(幼稚園・保育園の年長から小学2年生)の隊をビーバースカウト(通称・ビーバー隊)と呼ぶ。
三菱重工業の家庭用ルームエアコンのブランド名はビーバーエアコンである。
カナダ海軍のハリファックス級フリゲート「オタワ」のマスコットはビーバーである。
戸田競艇場のマスコットキャラクター「ウインビー」「ウインク」のモチーフはビーバーである。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 海生であるとの誤解を与えやすいこともあり、現在ではほとんど使われない。
出典^ a b Kristofer M. Helgen, " ⇒Family Castoridae". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 2, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 842-843.
^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・横畑泰志ほか 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
^ ビーバーとは
^ a b c d e f g Richard A. Lancia, Harry E. Hodgdon「ビーバー」今泉吉晴訳『動物大百科5 小型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、18-21頁。
^ The Beaver Restoration Guidebook サイト:合衆国魚類野生生物局 出版日:March 23, 2023
^ ⇒http://www.imaident.com/beaver1.htm ビーバーの頭蓋骨についての考察
^ “Beavers Have Metal Teeth” (英語). Office for Science and Society. 2023年12月13日閲覧。
^ Van Nostrand, F. C. (1964年). “Age Determination for Beavers by Tooth Development”. The Journal of Wildlife Management. pp. 430?434. doi:10.2307/3798194. 2023年12月14日閲覧。
^ 長谷川政美『系統樹をさかのぼって見えてくる進化の歴史』ベレ出版、2014年10月25日発行、50ページ。
^ “Beaver” (英語). Smithsonian's National Zoo(英語版) and Conservation Biology Institute. 2023年12月13日閲覧。
^ ヘルムート・F・カプラン『死体の晩餐』同時代社、2005年。
^ Aleksiuk, Michael (1970). “The Seasonal Food Regime of Arctic Beavers”. Ecology 51 (2): 264?270. doi:10.2307/1933662. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0012-9658. https://www.jstor.org/stable/1933662.
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