ビーチクルーザー
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これらは後のBMXや、ローライダー・バイシクルの原型である[2]

1970年代初頭には自然回帰志向や環境保護意識の高揚により、アメリカ国内においてバイコロジー(bikecology)と呼ばれた自転車ブームが起きた。しかしその需要の中心は、「10スピード」(ten speed)と呼ばれたヨーロッパ風のスポーツ車であり、伝統的なクルーザーバイシクルの勢力は衰えを見せていた。

一方、1950年代から60年代にかけて広く普及し、70年代にはガレージや庭先で眠っていたクルーザーバイシクルに、カリフォルニア州などの海岸地帯のサーファーたちが目をつけ、ビーチまでの気軽な移動手段として愛用するようになる。サーファーたちは、錆び付き、凹み、ゆがんだ泥よけやアクセサリー類を撤去し、色褪せたフレームにペイントをほどこすという簡単な改造を施したが、それがクルーザーバイシクルが元々持っていた、凝った曲線の造形を持つフレームなどの美しさを引き立たせるという思いがけない効果を生み、時代遅れになろうとしていたクルーザーバイシクルに新たな息吹を吹き込んだ。これを見た自転車メーカーでは、初めから泥よけなどを持たないシンプルな製品を供給するようになり、これらを指して海岸を走るクルーザー=ビーチクルーザーという名称が一般的に使用されるようになった。

また1970年代には、新たな自転車の誕生を促した。バイコロジー・ブームでロードバイクが流行する中、アメリカカリフォルニア州の若者たちはこの忘れ去られつつあった自転車を山で遊ぶ装具やシクロクロス競技の機材として再発見する。すなわちマウンテンバイクの誕生である。頑丈であるという理由から第二次世界大戦前に作られたシュウィン社の「エクセルシオール」が使われ、このフレーム設計が初期のマウンテンバイクのフレームに採用されている。

1995年にSchwinn社は創業100周年を記念して、同社が1949年に発売しヒット作となった「Black Phantom」の復刻版を発売。これが刺激となってノスタルジックなクルーザーバイシクルの市場が復興し、一部は日本にも輸入されている。

2004年にSchwinn社は「Sting-ray」の名を継ぎつつ、全く新しいスタイルを持つ新製品「Sting-ray 20"」を発売する。これは、映画イージー・ライダーなどで知られる「チョッパーバイク」を模した、低く長いフォルムを特徴とし、またもや多くの追随者、模倣者を生むヒット作となり、Schwinn社自身もいくつものバリエーションを追加するに至った。これらは「チョッパー・バイシクル」(Chopper Bicycle)または「オーバーサイズ」とも呼ばれる。
特徴

前記のようなモーターサイクルを意識したストリームラインの頑丈なフレームに大きめのハンドル、太めのバルーンタイヤを装備しており、さらにサスペンションや大型のヘッドライト、燃料タンクを模した部品などで装飾されているものもある。3?5速程度の内装式変速機を装備している場合もあるが、大抵は変速機構を持たない。どちらかと言えば安価な自転車と言えるが高価格のものも存在する。

制動装置は前・後輪の両方にキャリパーブレーキがあるものと、前輪がキャリパーブレーキで後輪にコースターブレーキが装備されているものとに分かれる。前者は一般的な自転車と同様だが、コースターブレーキを装備したものはブレーキレバーはハンドル右側の前輪用のみとなり、後輪はペダルを逆回転するとブレーキ機能が働く仕組みである。なお、アメリカ国内向けの製品には前輪ブレーキが装備されていない場合が多い。ごく稀にトラックレーサーと同じ固定ギアの、ブレーキが無いものも存在する。

コースターブレーキは日本の一般的な自転車(所謂、ママチャリなど)には馴染みが薄く、うっかり逆回転させるとブレーキ機能が働くため、慣れるまでは乗りにくいなどの評価もあるが、幼児や老人でも握力を必要とせず足で効率良く制動できるため、欧米では一般的なブレーキ機構である。

日本では「サーファーが浜辺まで移動するための自転車」として紹介され、持ち込まれたため、サーファーの集まる浜辺周辺では、サーフボードを積載する部品である「ボードキャリア」を車体に取り付けての使用例が多く見られる。

車体デザインに特徴があり、日本では主にファッションにこだわる若者が好んで使っていることが多い。現在では色々なカラーが出ているが、サーファーファッションと共に日本に持ち込まれ始めた当時は、アメリカ的雰囲気を高める仕上げとして、フレームを含む鉄製部品をくまなくクロムめっきとしたものが多く見られた。

なお普通自転車の寸法規定をオーバーするものは、歩道上を走行することは出来ない(法令では「普通自転車」は全長190cm、車体幅60cm以内)。
^ 日本において一般市場に流通した順序が、1970年代末から80年代初頭にかけてのサーファーファッションの流行に伴ったビーチクルーザーに対して、クルーザーバイシクルは1990年代なかば、アメリカ発のリバイバルブーム以降と、アメリカ本国とは逆になったことが影響している。
^joe kid on a STING-RAY -the HISTORY Sting-rayからBMXへの歴史をまとめたドキュメンタリー JAN:4544466002841 ASIN: B000MZHRBS

関連項目

ローライダー・バイシクル

外部リンク

schwin社日本向けHPより「ヒストリー」(リンク切れ)

Dave's Vintage Bicycles. ビンテージバイシクルに関するアメリカのサイト

Beach cruiser Copacabana Bikes


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