ビリヤード
[Wikipedia|▼Menu]
補助器具などチョーク
チョーク

チョークはティップと手球の摩擦係数を増加させるために使用される道具のことである。チョークをティップへ塗り付けないとティップが手球表面を滑りやすくなり、ショットミス(キューミスという)を起こしやすくなる。十九世紀初頭、イギリス・ロンドンのバートレーという人が経営するバス・ビリヤードの主任ジャック・カーは、ショットミスを防ぐためにキュー先にチョークの粉を付けることを考え出した。これによってティップの滑りを防ぐことができるようになった[2]

一般にチョークの主成分は筆記用のチョークと同じ炭酸カルシウムであり、1辺2 - 3cm程度の立方体に固められた状態で販売されている。ビリヤードで使用するチョークには研磨剤も配合されており、これがティップの表面に食い込むような形で付着するようになっている。この研磨剤によりティップは少しずつではあるが摩耗していく。(筆記用のチョークには研磨剤が配合されていないため、ビリヤード用のチョークの代用品として使用してもティップにはあまり付着しない)

チョークを使用する際、指へチョークが付着しないように使用面を除いた5面が包装されており、使用面にはわずかに窪みがつけられているものが多い。青や緑、赤、ベージュなどに着色されているものが販売されているが、ラシャに付着してもあまり目立たない色を選んで使うことが推奨される。
その他


グローブ - ブリッジを作る側の手に装着する手袋で、親指、人差し指、中指のみを包む。手汗をよくかく人がキューの滑りをよくするために使用する。

パウダー - 同じく手汗の多い人がキューのすべりをよくするために用いる。

メカニカル・ブリッジ - 手球が遠い位置にあり、ブリッジを組むにも手が届かない場合に使用する。

エクステンション - 一時的にキューの長さを伸張することができる。

ラック - ポケット競技においてカラーボールを定位置に並べる時に使う。木製枠の他に「シートラック」と呼ばれる薄いフィルム状の物がある。

ビリヤードのプレイ

ビリヤードのゲームのほとんどは二人(それ以上のこともある)で行い、一方のプレイヤーがミスショットをすることによってプレイヤーが交代する。言い換えると相手が失敗しない限り自分がプレイすることはできないし、自分が失敗しない限り主導権を握り続けることができる。それはすなわちビリヤードとはいかにミスショットをしないゲームかということを表すともいえる(ここでいうミスショットとは、ファウルのほかに得点とならないショットを含む)。ナインボールで例えるならば、バンキングによって先攻を得た後、1番から9番までノーミスで突き切り、それを定められたセット数繰り返すことが一番確実な勝利方法といえる。

ミスショットをしないためには常に正確な狙い(エイミング)、ショットを毎回行う必要があるが、非常に強いプレッシャーのかかる場面においては普段どおりのショットができないことも多い。どのような局面であっても一定の精神状態を保ち続けることが安定したショットをする上で重要となることから、ビリヤードはメンタル・スポーツであるとされている。

またあるショットによって得点を上げたとしても、その次のショットを行うに当たってどの位置に手球を持っていくと自分にとって有利になるのかを考えておく必要があり、これをポジショニング・プレーと言う。ポケット競技では的球をポケットし、手球を次の的球を狙いやすい位置に持っていくことを「ネキストを出す」と表現する。ネキストとは「next」(ネクスト)がなまったものと考えられており、「ネキ」と省略することも多い。ポジショニング・プレイを「ネキ出し」と言うこともある。ポケットすることを「入れ」、ポジショニングプレーを「出し」と言うこともある。キャロム競技ではポケット競技と異なり、テーブルの上から的球が消えることはないため手球の止まる位置だけではなく、的球が止まる位置や、それぞれの球が走るコースなども考慮しなければならず、より高度なポジショニング・プレーが求められる。3つ球、4つ球競技において極力球の位置を動かさずに連続して得点を上げるセリー突きもポジショニング・プレーの一つといえる。
マナー

各ゲーム共通のマナーとして以下のようなものがあげられる。

くわえタバコでプレイしない。

テーブルに飲食物を置かない。
上記2点については
ビリヤードのラシャを参照。

空いているテーブルにもたれない。

プレイヤーの意識を引くような言動をしない。
大声で騒いだりしないことも当然であるが、他のプレイヤーの正面あたりに入り込まないように心がける、やむを得ず入ってしまった場合はむやみに動いたりしないことが推奨される。

道具を乱暴に扱わない。

カラーボールをキューで突かない。

体格差について

ビリヤードは非常に大きなテーブルを使用するため、どうしても手の届かないところに手球が行くことがある。身長の高い人間・手足の長い人間は小柄な人間・手足の短い人間よりもそういう場合は普段と同じフォームでプレイできる範囲が大きくなるため、若干有利になるといえる。また威力のあるブレイクや強い回転をかけるショットを求める場合は、ある程度の筋力と体重があったほうがのぞましいとされる。

しかしどれほど大柄な人間であっても手球と的球の位置によってはレスト(メカニカル・ブリッジ)を使わざるを得ない状況になるため[注 8]、大柄な人間が小柄な人間より圧倒的に有利であるとは言い切れない。また車椅子を使用するプレイヤーもいることから、プレイヤー自身の努力によって肉体の体格差をかなりのところまで跳ね返すことができると考えられる(これはプロのビリヤード選手をみても、体格などに統一性が見られないことからも推測できる)。

ビリヤードにおいては体格差よりも、正確なショット、プレッシャーに負けない精神力の方が重要といえる。

この節の加筆が望まれています。

キャロム・ビリヤードキャロムテーブル

キャロム・ビリヤード(俗にキャロム)はビリヤード競技のひとつ。手球を撞きワンショットで手球を2つ以上の異なる的球に当てるキャロム・ショット(英:キャノン・ショット)を行うことを競技の目的としている。キャロム・ショットが成立した場合は得点となり、競技者は続けて撞く事ができる。

キャロム・ゲームは白球2つと赤球1つ(競技によっては2つ)を用い、2人で行うものが多い。白球は競技者がそれぞれの球を自分の手球として保持し、他方の手球を的球として用いることができる。競技者が撞くことのできる手球はゲーム終了まで変更できない[注 9]。ふたつの手球は同色・同型で判別がつかなくなる場合もあるので一方の白球に黒い印を付けることもあった。この黒い印をつけた手球は俗に「黒球」と呼ばれた。日本ビリヤード協会が制定した統一ルールでは、一方の手球は黄色く着色されたものを利用することになっている[3]

キャロム・ショットが成立するまでに必要な条件を設ける事で競技にはバリエーションがあり、それぞれの競技ごとに難易度が異なっている。公式競技には四つ玉、ボークライン(カードル)、スリークッションバンドゲーム(ワンクッション)などがある。

キャロム・ビリヤードを行うテーブルはキャロム・テーブルと呼ばれ、球を落とすためのポケットはなく、四方が完全にクッションで囲われている。キャロム・テーブルには競技別にいくつかのサイズが存在する。

キャロムテーブルのサイズと行われる競技サイズ日本における俗称主に行われる競技
8フィート小台四つ玉
9フィート中台四つ玉、三つ玉、42cmボークライン、フリー競技
10フィート大台スリークッション、47cmボークライン、フリー競技

大台にはヒーターが内蔵されており常時保温されている。これはラシャを湿気から守りコンディションを一定に保つためである。ラシャは湿気が少なく乾燥しているほどボールが転がる距離が長くなるため、スリークッションなどで用いる重量のある手球を安定して長い距離走らせる必要が多い競技では外気に影響されないよう、ヒーターによる温度コントロールが必要となる。
ポケット・ビリヤード

ポケット・ビリヤード(pocket billiards)は種目ごとに定められたルールに従ってボールをポケットへ落としていく競技。ポケット・テーブルには四隅と両長辺中央の計6つのポケットが設けられており、ここへボールを落としていく。それぞれのポケットにはネットが張られているものがある。ボールが落ちるとこのネット内に溜まる(pool)ことからプール・ビリヤード(pool billiards)(俗にプール)とも呼ばれる。

アメリカでは「ビリヤード」と言えばキャロム・ビリヤードを指すことが多いため、ポケット・ビリヤードについてはプール[注 10]という呼び方がされることがある。日本においてはこのようなネットが張られたポケットはあまり見かけられず、ポケットへ落ちたボールがレール下に備え付けられたドレーンを伝って自動的に一箇所に集められるボール・リターン構造になっているものを見かけることができる。ロシアン・ピラミッド用のポケット

ポケットの形状は種目や国によって異なることがあり、ロシアン・ピラミッドで利用されるテーブルのポケットは逆ハの字、中国のポケットテーブルはスヌーカーのようにカーブ状になっているものが存在[4]している。また、2008年現在においてプロトーナメントで利用されるテーブルは9フィートが公式サイズ[注 11]となっている。

公式競技にはナインボールエイトボール、ローテーション・ゲーム、ストレートプール(14-1、フォーティーン・ワン)、ワンポケット・ゲームなどがある。ほか、日本人が考案した種目に、ボウリングの採点方式を取り入れたボウラード、サッカーのコンセプトを融合させたFUJIYAMAがある。ボウラードは日本プロポケットビリヤード連盟のプロ認定試験において実技種目として採用されている。FUJIYAMAは1998年頃に開発され歴史が短いものの、世界のトッププレイヤーであるエフレン・レイズがオープン戦に参加した。
ブレイクショット詳細は「ブレイクショット」を参照

スヌーカーも含め、ポケットビリヤードではセットの開始時に、複数の的球が決まった形に固めてセットされる。そのままでは的球をポケットすることが困難なため最初のショットはこれを崩す(散らす)ために行われる。これをブレイクショットと呼ぶ。1つの手球で複数の的球を散らす必要があるため、通常のショットよりも非常に大きなエネルギーを手球に与える必要があり、そのためキューやキュー先(ティップ、フェラル)へ大きな力が加わる。そのためティップの劣化が進むためにタッチが変わることを嫌い、ブレイクショットには専用のキュー(ブレイク・キュー)を用いるプレイヤーが多い。ブレイク・キューを個人で所有していないプレイヤーのなかには、ハウスキューで代用する人も多い。また場合によってはティップやシャフトを破損することもある。

ボウラードなどはできる限り毎回同じような配置にすることがスコアを伸ばす際有利に働くため、さほど強いショットを行わないことが多い。またナインボールなどでも同様の理由から毎回一定の強さのブレイクを行うプレイヤーもいる。こういったゲームをプレイする場合、あえてブレイク・キューを使用しない人もいる。

ジャンプ・ショット

ジャンプ・ショットとは手球が的球を飛び越えるように放つショットのことである。14-1やワンポケット、スヌーカー競技においてはジャンプショットは禁止されている。

ジャンプ・ショットはキューをやや上方より突き下ろすことで手球をラシャに叩きつけるようにショットし、手球の反発力を利用してジャンプさせる。キューを上から突き下ろすという独特のフォームを取るため、通常よりも若干短いキュー(ジャンプキュー)を使用することが多い。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:113 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef