ビデオデッキ
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初期のビデオデッキは全て地上アナログチューナーのみ内蔵。BSアナログ放送開始後はBSアナログチューナー内蔵モデルも併売されていた[注 3](初期のBSアナログ内蔵機はBSアンテナ端子が入力のみで、BSアナログチューナー内蔵テレビと接続する場合は分配器が必要だったが、のちにBS-IF出力端子が標準装備されたので分配器は不要となった[注 4])。

さらに1992年以降製造のBSアナログ内蔵ビデオでは、BSアナログハイビジョン放送を簡易的に視聴可能な「M-Nコンバータ」を接続するための「AFC入力端子」が標準装備されていたが(一部のメーカーからは、M-Nコンバータ内蔵VTRも発売された)、2000年以降製造のBSアナログ内蔵ビデオはAFC入力端子を廃止し、(WOWOW視聴用BSデコーダーを繋ぐための)「検波&ビットストリーム入出力端子」のみ搭載となっていた(のちにBSアナログハイビジョン放送は2007年9月30日をもって終了)[注 5]

地上アナログアンテナ端子は初期はVHFUHF別々入出力(VHF端子は初期がケーブル直ネジ止め式で後期はプラグ式。UHF端子はネジ止め式)だったが、1990年以降発売の機種はプラグ式VU混合入出力が標準規格となった。

チャンネル設定の場合、アナログVHFとアナログBSの各チャンネルは工場出荷時に設定済み。アナログUHFチャンネルを初期の機種では1局ずつ手動選局して合わせていたが、地域や機種によっては自動微調整では調整し切れないことも多くユーザーの目で映像を観ながらダイヤルやボタンで手動調整する煩わしさを解消するため1990年以降製造機種では設定画面を見ながら数字を書き換え、画面も書き換えた数字に連動して変わる方式へ変更。1993年以降の機種では画面での手動設定に加え、居住地の市外局番或いは各メーカーが独自に指定した居住地地域番号を入力すると居住地で視聴可能なチャンネルが自動設定される方式も登場した。なおGコード予約機能搭載機種の場合、「ガイドチャンネル」を正しく設定しないと目的のチャンネル・番組のGコードによる予約録画が出来ない[注 6](NHKは全国共通で総合「80」・教育「90」。民放はアナログ親局番号をガイドチャンネルとして割り当てている[注 7])。加えて1990年以降製造の機種ではNHK教育テレビの正午(午後0時)の時報に合わせてビデオ本体時計のズレを自動修正する「自動時刻合わせ(ジャストクロック、※又はぴったり時計)」機能が加わり、時刻合わせ時に自動時刻修正チャンネルを居住地のNHK教育テレビに合わせるとこの機能が動作する[注 8]。ただし地上デジタルが始まってからNHK教育テレビは(タイムラグが発生する関係で)時報放送を廃止したので、この「ぴったり時計」機能は現在使用不可となった[注 9]

BSデジタルが開始された2000年以降もVTR単体機に(地上・BS・110度CS)デジタルチューナーが搭載されることはなく、アナログチューナーのみ搭載のVTR単体機およびS-VHS・W-VHS・D-VHS機は2007年頃までに生産終了[注 10]。現在はBDレコーダーおよびDVDレコーダーの中にVHS一体型機が存在するのみとなっている(発売当初はWチューナー機もあったが、現在発売中の機種は全てシングルチューナーで裏録およびVHSへの直接録画は不可、ただし「SQPB」機能によりS-VHSソフトは簡易再生可、D-VHSソフトは再生不可[注 11])。

かつては各メーカーが(一部上位機にのみ)テレビ受像機との連動録再機能(「システムコントロール」、「コンピュリンク」など)を搭載しており、特にBSアナログチューナー非搭載機とBSアナログチューナー内蔵テレビとの組み合わせではテレビ側のBS予約情報が接続したビデオに(システムコントロールコード経由で)転送される「BSタイマーコントロール」機能搭載の機種が販売されていた。現在の連動録再機能は「Irシステム」やHDMI連動(「ビエラリンク」など)が主役になっている(ただしビデオ機能に対しての連動録再は「Irシステム」のみ)[注 12]

ただしこれら連動録再機能は全て「(原則として)連動録再機能を搭載した同一メーカー同士の機種をメーカー指定の専用連動ケーブルで繋がないと動作しない」仕組みとなっており、同じ連動録再機能を有する機種でも組み合わせメーカーが異なる場合は正常に動作しなかったり誤動作する場合がある。さらにIrシステムおよびHDMI連動はデジタルテレビと組み合わせ録画機のメーカーおよび年式により使える機能数が異なる。
DVDレコーダー登場後

デジタル放送が始まると録画媒体は従来のビデオテープからDVD、そしてHDDBDへ移行。これら記録媒体のほうがビデオテープより省スペースで保管でき、かつ操作性・画質・音質も従来のビデオデッキより格段に向上したことから、ビデオデッキ単体機は2007年頃までに生産終了、S-VHSソフトは全て「SQPB」による簡易再生のみ可能(画質はVHSと同じ)。S-VHS機の生産も2007年頃までに完全終了した(VHS一体型BD/DVDレコーダーにおけるW-VHS・D-VHSソフトの再生は不可)。
参考文献

ジェームズ ラードナー(著)、西岡幸一(翻訳):「ファースト・フォワード アメリカを変えてしまったVTR」、パーソナルメディア刊、
ISBN 978-4893620392(1988年8月)。

中川靖造(著):「ドキュメント日本の磁気記録開発 オーディオとビデオに賭けた男たち」、ダイヤモンド社刊、ISBN 978-4478380055(1984年1月)。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ : video cassette recorder
^ 日本円に換算すると、1971年時点(1ドル=360円)では約50万円、2005年時点(1ドル=105円で計算)では約67万円。
^ 1990年代後半には「(BSアナログあるいはBSデジタル内蔵テレビでなく地上アナログのみ内蔵のテレビと組み合わせている場合でも)地上アナログ放送を録画中にBSアナログ放送をビデオチューナーで視聴可能な“BSモニター機能”」を搭載したBSアナログビデオが一時期発売されていた(BSアナログ放送を録画中にビデオチューナーで別のBSアナログチャンネル視聴は不可)。
^ ただしBS・110度CSデジタル内蔵テレビとBSアナログ内蔵録画機を組み合わせる場合、BSアナログ内蔵録画機の「BS-IF出力端子」は110度CSデジタル(2150MHz)に非対応であるため、そちらからテレビの「BS・110度CSデジタルアンテナ入力」端子に繋ぐとBS・110度CSデジタルが映らない場合がある。よって(BSアナログ内蔵録画機とBS・110度CS内蔵テレビを組み合わせる場合は)市販の110度CSデジタル対応分配器を用い、直接テレビの110度CSデジタル端子へ接続するのが望ましい。なおデジタルチューナー内蔵録画機のBSアンテナ入出力は全て110度CS対応なので、地上・BS・110度CSデジタルテレビとは従来のBSアナログ録画機と同様の方法でアンテナ接続可。


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