ビッグデータ
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この数字は一日あたり5垓(5×1020)バイトで、世界すべての情報源を合計した数値の約200倍である。
科学研究

スローン・デジタル・スカイサーベイ (SDSS)は2000年に天文データを収集し始めたが、最初の数週間で天文学の歴史の中で収集したすべてのデータよりも、多くのデータを蓄積した。SDSSは、1晩約200GBの割合で継続して、140テラバイト以上の情報を集めている。SDSSの後継である、大型シノプティック・サーベイ望遠鏡は、2016年に運用開始後、同じ量のデータを5日おきに取得すると期待されている[7]

ヒトゲノム計画は当初その処理に10年かかったが、今では一週間も経たないうちに達成することができる。DNAシーケンサは、過去10年間でシーケンシングのコストを1万分の1に削減した。これはムーアの法則の100倍である[32]

計算機社会科学 ? Tobias Preis et al. はGoogle Trendsデータを使用し、高いGDPを持つ国のインターネットユーザは、過去よりも将来の情報を検索することを示した。調査結果により、インターネット上の行動と現実世界の経済指標との間に関連性が存在することが示唆された[33][34] [35]。著者らは、2010年に45の異なる国でインターネットユーザーによるGoogleのクエリのログを調べ、前年の検索のボリューム(2009年)と来年(2011年)の検索のボリュームを比較し、「将来期待指数」と呼んでいる[36]。著者らは、それぞれの国の1人当たりGDPと将来期待指数を比較し、将来についてより検索が多いGoogleユーザは高いGDPを持つ傾向があることを発見した。

NASA気候シミュレーションセンター(NCCS)[37]は32ペタバイトの気象観測、シミュレーションデータをDiscoverスーパーコンピューティングクラスタ上に格納している[38]

Tobias Preisと共同研究者のHelen Susannah Moat、ユージン・スタンレーは、Google Trendsにより提供される検索ボリュームデータに基づく取引戦略を用いて、インターネット上の株価の動きを予測する方法を紹介した[39]。金融に関連した98の用語のGoogle検索ボリュームの分析はScientific Reportsに掲載され[40]、金融に関連した検索語は、金融市場の大きな損失より前に出ていることを示した[41][42][43][44][45][46][47][48]

政府機関

2012年、オバマ政権は政府が直面する重要問題への対処に利用できるかを探るため、「ビッグ・データ・リサーチ・イニシアティブ」を発表した
[49]。イニシアティブは、6つの部門にまたがって84の異なるプログラムから構成されていた[50]

ビッグデータ分析は、 バラク・オバマの2012年の再選運動に大きな貢献を果たした[51]

米国連邦政府は、世界Top10のスーパーコンピュータのうち6台を所有している[52]

ユタ・データ・センターは、現在、米国国家安全保障局(NSA)によって建築中のデータセンターである。建設後は、インターネット上でPRISMによって収集されたヨタバイトの情報を扱うことができるようになる[53][54]

民商事分野の判決のビッグデータ活用は、法律家の支援ツール開発などにつながり、紛争解決の迅速化や紛争予防に資するとの展望から、政府裁判所から判決文の提供を受け、AI技術による匿名処理を施した上でDB化する計画が進められている[55][56]

福岡県警察は、ビッグデータを活用して、指定暴力団工藤會による襲撃から証人情報提供者を警護するため、組員らの行動パターンを基に襲撃の予兆を把握するシステムを開発。捜査員が尾行で確認した組員らの動向や車両の使用状況といったデータをコンピュータ解析し、襲撃時期や地域を予測する。組員や車両が襲撃の予兆となる特異な動きを見せると検知し、危険度に応じて、最重要対象者を24時間態勢で警護する[57][58]

民間部門

Googleは、Google マップにおいて、スマートフォンGPSおよびジャイロセンサーにより測定された位置および移動速度[59]を、多数の端末から匿名情報として収集して分析し、マップ上に道路の混雑状況を表示する。さらに、Google マップナビにおいて、目的地までの経路の混雑状況に応じた通過速度を計算し、最適経路をユーザーにナビゲーションする[60]

ウォルマートは1時間あたり百万以上のトランザクションを処理し、2.5ペタバイトのデータを保持する。これはアメリカ議会図書館に所蔵されているすべての書籍の167倍の情報量である[7]

Facebookは、ユーザーの500億枚の写真を処理している[61]

FICOファルコンクレジットカード詐欺検知システムは、世界全体で21億のアクティブなアカウントを保護している[62]

ウィンダミア不動産は約1億の匿名のGPS信号を使用し、新しく家を買う人に1日の時間帯毎の通勤時間を提供している[63]

ソフトバンクは、月間約10億件(2014年3月現在)の携帯電話のログ情報を処理して、電波の接続率の改善に役立てている[64]

トヨタは、車載通信機(データ・コミュニケーション・モジュール:DCM)から車両データを送信し、トヨタスマートセンター内のトヨタビッグデータセンター(TBDC)に蓄積する。収集したデータを解析し、各種サービスへの展開に利用するとしている[65]

途上国の開発

ここ数十年で情報通信技術開発 (ICT4D)の分野で研究が進み, ビッグ・データが途上国の開発にも有用であることが示唆された[66][67]。ビッグデータの出現は、医療雇用、生産性、犯罪や公衆安全、自然災害や資源管理などの重要な開発分野の意思決定を改善する[68]。その一方でビッグデータのよく知られた問題、例えば、プライバシー、相互運用性、不完全アルゴリズムを全知全能にする問題は、技術インフラの不足、経済および人的資源の不足のような未解決課題を悪化させている。これは新たな情報格差、意思決定の格差に繋がる[68]
市場性

ストレージコストの継続的な低下、データマイニングおよびビジネスインテリジェンス(BI)ツールの成熟、組織に大量の備蓄を引き起こした政府の規制や裁判など、多くの要因が「ビッグデータ」とビジネスネットワークの統合に貢献している[4]

ビッグデータの専門家の需要は増加しておりSoftware AG、オラクルIBMマイクロソフトSAP、EMCHPといった企業は、データ管理と分析だけを専門とするソフトウェア会社に150億ドル以上を費やしている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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