ビタミンC
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また、酸化型の黒色メラニンを還元型の淡色メラニンにするため、黒色メラニンの脱色効果も期待できる[12]。 また、?濃度ビタミンC療法では、過剰な皮脂の分泌を抑えてニキビを発生しにくくしたり、皮脂腺の働きを抑えることで毛穴を引き締めたりする効果もあるとされる[13]
免疫力の向上

免疫をつかさどったり、体内に侵入したウイルスや細菌と戦ったりする白血球やリンパ球を活性化させる働きがある[14]。 風邪をひきにくくする身体を作り、免疫力の強化とともに、ウイルスを撃退して治癒を早める働きがあるとされる[15]
ストレスに対する抵抗力の向上

人間がストレスを感じると、副腎からストレスに対抗するホルモンが生成される。ビタミンCはこのホルモンの生成に使われるため、定期的にビタミンC を摂取することで、ストレスが与える精神的・身体的な影響の予防に役?つとされる[16]
抗がん作用

ハムやソーセージ、練り製品などの食肉・魚肉製品の食品添加物として使われる亜硝酸ナトリウムが、肉や魚などのたんぱく質食品を食べると体内で生成されるアミンと結合すると、体内で発がん性物質「ニトロソアミン」が形成される。ビタミンCはニトロソアミンの形成を抑えたり、発がん性を弱めたりするとの報告があり、抗がん作用が期待されている[17]
壊血病の防止

ビタミンCは皮膚や骨、血管に多く含まれるコラーゲン繊維の構築に必要であり、それぞれの強度を保つ働きを持つ[18]。 ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成されずに血管がもろくなって出血を起こすようになる(壊血病)。出血のほかにも、イライラや貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難などを引き起こすおそれがあり、適切なビタミンCの摂取で壊血病を防止することが重要になる[19]
適応
壊血病詳細は「壊血病」を参照

壊血病の予防・治療に用いられる[5][20]。ビタミンCを含まない食事を約60 - 90日間続けた場合、体内のビタミンCの蓄積総量が300 mg以下になり[21]、軽度の欠乏症状である疲労、倦怠感や筋肉痛を感じ、易怒性を呈し数カ月後に出血性の障害をもたらす重度の欠乏症である壊血病を発症する[7]
風邪「風邪#予防」および「風邪#治療」も参照

ノーベル化学賞を受賞したライナス・ポーリングが、1970年代に、毎日100mg以上のビタミンCの摂取によって、風邪の発生率と期間を意味する「風邪の総負担」の減少が、4件のランダム化比較試験 (RCT) を分析した「統合された罹患率」よって裏付けられているとした[22]。その後、予防、治療、対象集団を変えて賛否両論のある形で研究が続いてきた[4]。ポーリングによって一般大衆にまで興味を引き、1972年から1979年まで約8400人が参加した29件のRCTが実施されたが、その後、関心は薄れ1985年以降にはわずかにしか実施されず参加者の数も小規模となっている[23]。2008年の世界保健機関 (WHO) の処方薬一覧の簡単な記載には、風邪の治療効果には証拠が確認されていないと記されているが、この記載には証拠の引用はない[20]

アメリカ国立衛生研究所 (NIH) の医療向けサプリメントの解説ページでは、2018年時点で、2007年のコクランレビューやそれ以外の研究も引用し、総合的には、風邪をひいてからではおそらく効果はないが、毎日200mgの定期的なビタミンCでは一般集団の風邪の発生率には影響しないが、風邪の期間や重症度を下げ、寒冷地や激しい運動、高齢者や喫煙者のようにビタミンCが少なくなっている人では予防効果があるかもしれないとしている[4]

米国家庭医学会 (AAFP) の2012年ガイドラインでは、ビタミンCの200mgから2グラムは小児の風邪の予防に効果ありとし、成人の風邪治療にはビタミンCは効果を示さないということを効果なしの研究一覧にも、効果ありの研究一覧にも、同じ2007年のコクランレビューを記載している[24]。なおこのガイドラインは医薬品にも効果なしを判定しており厳格なものとなっている。

2013年に改訂されたコクランレビューでは同じような内容だが、31研究の合計9745人から定期的にビタミンCを200mg摂取することで、一般集団では発症率の低下はないが、重症度を下げ、回復までの日数は成人8%、小児14%減少し、スポーツ選手や寒冷地の兵士では発症率は半減していた[6]。治療薬としてビタミンCを投与した場合、7件のランダム化比較試験があったが結果は一貫しておらず、回復までの期間減少も再現されていないが、日常的な服用で効果があることとビタミンCが安全で安いことから、治療薬としてのビタミンCの研究も実施すべきだとしている[6]。それまでの治療薬としてのビタミンCの研究は、定期摂取で有望な小児での研究は実施されておらず、成人では初日に5グラムや、2-3日間に2-4グラムなど一貫したものではない[23]

2018年の9件のRCTを分析したメタアナリシスでは、発症時にのみ高用量のビタミンCを摂取した場合には効果はなく、定期的なビタミンCの摂取があり、風邪の発症後に毎日1グラムから6グラムを追加して服用したグループでは、胸痛、発熱、悪寒の減少、平均10時間の風邪の期間の短縮がみられた[25]

2013年のコクランレビューは、肺炎を予防したという3件のRCT、治療したという2件のRCTを発見している[23]

重症の敗血症では、比較群の治療による約40%の死亡率よりも、静脈内ビタミンCでは8.5%と生存率を大きく向上させ、重症化も防いでいる[26]
がん(癌)

食品中のビタミンC摂取は多くのコホート研究で様々ながんの発症の減少と関連しており、ビタミンCサプリメントは様々なランダム化比較試験でがんの発生率と無関係だとされている[4]

1976年にライナス・ポーリングとキャメロンは、様々な末期がん患者に100名に対し10日間ビタミンC10グラムを「静脈注射」し、その後経口摂取したことで、生存期間を延長すると報告した[27]。また、1974年には分子矯正医学研究所のキャメロン・キャンベルらは様々ながん患者50名に対し最初10日間ビタミンC10グラムを静注し、それから経口のビタミンCを摂取したことで、標準的な治療法を補助する手段だと報告した[28]。1985年にはメイヨークリニックのMoertelらが、「経口」のビタミンCを使った偽薬対照のランダム化比較試験を実施し、進行性の結腸直腸がん患者で効果が見られなかったと報告した[29]。前者の肯定的研究は静注であり、後者のような否定的研究は経口投与したものだったが、人々の注目は小さくなり、しかし静注の方が血中濃度が高くなるという事実から後に再び関心を集めることになる[4][30]

アメリカ国立がん研究所の公開情報では、静脈投与では経口投与よりも血中ビタミンCが高くなり、副作用は非常に少なくQOLの向上が見られ、がん治療の副作用を軽減させる効果も見られるとされている[31]。2019年のレビューでは、経口・静脈含め症例報告などを除外し、既に紹介した1980年代の研究から、2010年代までの賛否両方の合計19件の試験があり、そのうち偽薬対照が設けられていたのは4件で、これら全研究から非常に軽い副作用しか害はなさそうだが、効果を裏付けるには研究は足りていないので、続くランダム化比較試験が計画されているとした[30]

その4件のRCT

1970年と1985年の経口摂取によって効果がなかった2研究がある[29][32]

2014年の有意ではないが比較群の約17か月に比較しビタミンC静脈注射では25.5か月と長い生存期間だったという研究と[33]、2018年の高濃度ビタミンCの静脈投与によって完全治癒率の上昇・生存期間の延長が見られた研究がある[34]

Yun J, Mullarky E ら(2015)[35]は高濃度のビタミンCは、がん細胞のアポトーシスを引き起こすとする研究結果を発表しているが、作用機序は未解明であるため臨床応用が可能かは不明である[35][36]
皮膚「#外用」も参照

日本でも戦後の1940年代には、栄養欠乏によってビタミンC欠乏による色素沈着になる人も多く、ビタミンCが使われ、医薬品の「ハイシー」には以下の効能がある:ビタミンCの欠乏の関与が推定される、肝斑雀卵斑・炎症後の色素沈着[37]。1950年代になると栄養状態は改善され、同じく肝斑・雀卵斑や日焼け後の色素沈着の予防について報告されるようになった[37]。RCTで、紫外線照射後の色素沈着は、ビタミンCを600mgを単独で摂取するよりもパントテン酸 (9mg) を併用した方が抑制された[38]


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