ヒマラヤ山脈
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ヒマーラヤ(??????、him?laya)は、サンスクリット語で、hima(ヒマ「雪」)+ ?laya(ア?ラヤ「すみか」)から「雪の住みか」の意[1]

エベレスト(8,848メートル)、カンチェンジュンガ(8,586メートル)、ナンガ・パルバット(8,125メートル)をはじめ、世界でも有数の標高の高い山が数多く属している。

プレートテクトニクスによると、ヒマラヤ山脈は、インド亜大陸ユーラシア大陸への衝突により形成された。インド亜大陸の北上は続いており、ヒマラヤ山脈の成長も続いている。

各山々の標高には数説あり、エベレストは、ネパールと中国が共同発表した8,848.86メートルが最新データである。測量技術の向上と地殻変動による推移が関係している。注として、上記のデータには山頂の積雪3.5メートルは含まれない。
地理シッキムのユムタン渓谷(英語版)

ヒマラヤ山脈の全長は西のナンガ・パルバット(パキスタン)から、東のナムチャバルワまで実に2,400キロに及ぶ。地理学的には、ヒマラヤ山脈は標高と地質によって平行に走る3つの山脈に分類される。3つのうちでもっとも後に形成された山脈は外ヒマラヤ(シワリク山地)と呼ばれ、およそ1,200メートルほどの高さの山で構成されている。この山脈はヒマラヤ山脈の成長にともなって発生した土砂の流出物によって形成されたと考えられている。

この山脈の北隣に平行に走る形で、小ヒマラヤがある。小ヒマラヤは2,000メートルから5,000メートルの標高の山々で形成され、マハーバーラト山脈とも呼ばれる。小ヒマラヤと大ヒマラヤの間にはカシミール盆地およびカトマンズ盆地という2つの肥沃な盆地があり、ここでは古くから高い文明が栄えていた。もっとも北にあるのが大ヒマラヤで、3つの山脈の中でもっとも古い山脈である。6,000メートル以上のピークを多数有し、世界でもっとも高いエベレスト、3番目に高いカンチェンジュンガがこの山脈に属している。

ヒマラヤは、東西にはおよそ5つに区分される。もっとも西寄りに位置するのがパンジャーブ・ヒマラヤであり、インダス川からサトレジ川までのインダス水系に属する山々である。行政的にはインドのジャンム・カシミール州ヒマーチャル・プラデーシュ州パキスタンギルギット・バルティスタンとなる。次いでその東に位置するのがガルワール・ヒマラヤ(クマオン・ヒマラヤ)である。インドのウッタラーカンド州に属する区域で、ガンジス川本流の源流域にあたる。ガンジス本流の源流とされるガンゴートリー氷河もここに属する。その東には、ネパール・ヒマラヤが広がる。行政的にはネパールに属する区域で、エベレストやダウラギリ、マナスルなど、ヒマラヤでもっとも高い山々がそびえる区域である。その東はシッキム・ブータン・ヒマラヤで、行政的にはインドのシッキム州ブータン王国の区域となる。もっとも東に位置するのがアッサム・ヒマラヤであり、行政的にはインドのアルナーチャル・プラデーシュ州となる。なお、この行政区域はすべてヒマラヤ南麓のものであり、ヒマラヤ北麓はすべて行政的には中国チベット自治区に属する[2]

ネパールとブータンの国土のほとんどがヒマラヤ山脈である。パキスタンのバルティスターン、インドのジャンムー・カシミール州などの北部の地域がヒマラヤ山脈の中にある。チベット高原の南東部もヒマラヤ山脈に接しているが、チベット高原そのものは地理学的にはヒマラヤ山脈とは別の山系に分類される。
自然ヒンドスタン平野西ヒマラヤ亜高山帯針葉樹林(インドヒマーチャル・プラデーシュ州)

ヒマラヤ山脈の植物相と動物相は、気候、雨量、高度と地質によって分類することができる。気候は山脈の麓にある熱帯から始まり、氷床と雪に覆われた高山帯まで変化する一方、年間降水量は西より東の地域の方が多い傾向がある。気候、高度、雨量と地質の複雑な変化が多様な生態系を育んでいる。
低地森林帯

ヒマラヤ山脈とデカン高原の間にはインダス川とガンジス川が流れる広い平野がある。この平野はヒンドゥスターン平野(またはインダス-ガンジス平原(en:Indo-Gangetic plain))と呼ばれ、森林地帯が広がっている。この平原の西部は乾燥しているが東部は雨量が豊富であるため、東西で植生が異なっている。北西部のパキスタンとインドにまたがるパンジャブ平野は有刺低木林に覆われている。インド東部のウッタル・プラデーシュ州のガンジス上流域にはガンジス上流域湿性落葉樹林帯(英語版)、ビハール州西ベンガル州にまたがるガンジス平原にはガンジス下流域湿性落葉樹林帯(英語版)が広がっている。これらのモンスーン気候の落葉樹林は乾季になると落葉する。アッサム平野は湿性のブラマプトラ流域半常緑樹林(英語版)に覆われている。
テライ・ベルト(Terai belt)

粘土からなる沖積平野にはテライ・ベルトと呼ばれる湿地帯が広がっている。テライ(英語版)とは季節的に湿性になる草地のことである。テライ・ベルトはモンスーンになると冠水し、肥沃な土砂が堆積する。乾季には水が引くが、ヒマラヤから流れてくる地下水で高い地下水位がある。テライ・ベルトの中心部にはテライ-デュアサバンナ・大草原地帯(英語版)がある。ここには世界でもっとも背の高い草で覆われた草原と、サバンナ、落葉樹林、および常緑樹林がモザイク状に広がっている。またテライ・ベルトはインドサイの生息域である。
ババール・ベルト(Bhabhar belt)

テライベルトの標高の高い地域には、ヒマラヤ山脈から流れてきた岩石が堆積してできたババール(英語版)・ベルトと呼ばれる地域がある。ババールと低シワリク山脈は亜熱帯気候に属しており、この亜熱帯地域の最西部にはおもにヒマラヤマツ(英語版)(Chir Pine)を主植生とするヒマラヤ亜熱帯針葉樹林(英語版)がある。低シワリク山脈の中央部にはサラノキを主植生とするヒマラヤ亜熱帯広葉樹林(英語版)が広がっている。
山地森林帯(Montane forests)

ヒマラヤ山脈の中高度の地域には亜熱帯の森に代わって温帯性混交広葉樹林(英語版)がある。この地域の西部は西ヒマラヤ落葉樹林(英語版)と呼ばれ、東部のアッサム州およびアルナーチャル・プラデーシュ州の森は東ヒマラヤ落葉樹林(英語版)と呼ばれる。これらの広葉樹林より標高の高い地域には西ヒマラヤ亜高山帯針葉樹林(英語版)および東ヒマラヤ亜高山帯針葉樹林(英語版)が広がっている。
高山帯(Alpine shrub and grasslands)

森林限界より標高の高い地域には北西ヒマラヤ高山灌木草原帯(英語版)と西ヒマラヤ高山灌木草原帯(英語版)、および東ヒマラヤ高山灌木草原帯(英語版)がある。この地域より標高が高くなるとツンドラ地帯となる。高山草原地帯は絶滅の危機にあるユキヒョウの夏の生息域となっている。ヒマラヤ山脈の最上部は万年雪に覆われている。
プレートテクトニクスインド大陸は6,000キロ以上を移動し、4,000万年から5,000万年前にユーラシアプレートと衝突した

ヒマラヤ山脈は地球上で最も若い山脈の一つである。現代のプレートテクトニクス理論によると、ヒマラヤ山脈はインド・オーストラリアプレートユーラシアプレートの間の沈み込みで起きた大陸同士の衝突による造山運動から生じた。

衝突はおよそ7,000万年前後期白亜紀に始まった。そのころ、インド・オーストラリアプレートは年間15センチの速度で北上し、ユーラシアプレートと衝突した。

約5,000万年前、このインド・オーストラリアプレートの速い動きによって海底の堆積層が隆起し、周縁部には火山が発生してインド亜大陸とユーラシア大陸の間にあったテチス海を完全に閉ざした。これらの堆積岩は軽かったため、プレートの下には沈まずにヒマラヤ山脈を形成した。今もインド・オーストラリアプレートはチベット高地の下で水平に動いており、その動きは高地にさらに押し上げている。ミャンマーアラカン山脈ベンガル湾アンダマン・ニコバル諸島もこの衝突の結果として形成された。かつて海だった証拠として、高山地帯でなどの化石が発見される。

今もインド・オーストラリアプレートは年間67ミリの速度で北上しており、今後1,000万年の間でアジア大陸に向かって1,500キロ移動するだろうと考えられている。この動きのうち約20ミリは、ヒマラヤの南の正面を圧縮することによって吸収される。結果として年に約5ミリの造山運動が発生し、ヒマラヤ山脈を地質学的に活発にしている。このインド亜大陸の動きにより、この地域は地震の多発地帯となっている。


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