ヒハツ
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ヒハツの果実は乾燥させて香辛料として利用され、また生薬ともされる[11][12][13]。そのため、ヒハツはアジア南部で広く栽培されている (上記参照)。コショウとは異なり、多数の果実が軸(茎)についた状態のもの (果穂、果序) を乾燥して使用するため、ナガコショウ (長胡椒、英名も long pepper) とよばれる[3] (図3a)。類縁種のヒハツモドキもナガコショウとよばれ、実用的には分けないことも多い[14]。ヒハツはインドナガコショウ、ヒハツモドキはジャワナガコショウともよばれる[3]

香辛料としてはコショウに似ているが、より刺激的な風味をもち[7]、一方でシナモンのような甘く爽快な香りがあるとも表現される[5][15]。コショウと同様、果実はアルカロイドピペリンを含んでおり、これが刺激性の原因の一つとなっている[16]

肉料理やカレースパイスとして用いられる[15]。またモロッコミックススパイスであるラセラヌーに使われる[15]

日本では、ヒハツは血行改善に良いと紹介され、消費が伸びている[5][17]

ヒハツの (pippalimula, pipramol, ganthoda) も、薬用やハーブに用いられることがある[7][18] (図3b)。
歴史

インドではヒハツは古くから利用されており、紀元前1,000-500年頃のヤジュル・ヴェーダアタルヴァ・ヴェーダに記述がある[7]

ヒハツは紀元前6-5世紀頃、ヒポクラテスによってギリシアに紹介された。彼はヒハツについて初めて書物に記したが、香辛料としてではなく薬剤としてであった[19]。その後、ギリシャ人ローマ人にとって、ヒハツは重要かつ良く知られた香辛料となっていった。ただし、古代においてはヒハツ (ナガコショウ) とコショウはしばしば混同されていた[20]テオフラストゥス(紀元前4世紀)は、コショウには長コショウ(ヒハツ)と黒コショウ(コショウ)があるとしている[20][7]大プリニウス(1世紀)は長コショウと白コショウ、黒コショウを紹介しており、これらは同じ植物であり、未熟なさやが長コショウ、熟してさやからでたものが白コショウ、これを日干ししたものが黒コショウであるとした[20][7]。またそれぞれの1ポンド(約500グラム)あたりの値段は、長コショウが15デナリウス、白コショウは7デナリウス、黒コショウは4デナリウスと報告している[21][7]。また中国でも、4世紀にヒハツの記録がある[7]

ヨーロッパでは、ヒハツ (ナガコショウ) は中世にも利用されていたが、12世紀頃からコショウがヒハツと競合するようになり、14世紀にはより安価で供給が安定していたコショウが優先されるようになった[21]。コショウ供給源の探索は大航海時代に一気に盛んになり、また新世界唐辛子の発見によって、ヨーロッパにおけるヒハツの需要は低下していった[21]。今日、ヒハツがヨーロッパの一般市場に流通することは少ない[7]
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