ヒト
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しかし訓練すれば20-30mの水中に潜ることも可能であり、200mまで潜った記録もある[8]
生活史

他の多くのほ乳類と同じく有性生殖胎生である。妊娠期間は約266日、約2 - 4kg前後で生まれる。

新生児はサル目としては極めて無力な状態である。一般のサル類は、生まれてすぐに母親の体にしがみつく能力があるが、ヒトの場合、目もよく見えず、頭を上げる(首がすわる)ことすらできない状態である。これは直立歩行により骨盤が縮小したために、より未熟な状態で出産せざるを得なくなったためと考えられている。しかしながら、出産直後の新生児は自分の体を支えるだけの握力があることが知られ(数日で消える)、また、体毛も出産までは濃く、その後一旦抜けるなど、「裸で無力」なヒトの乳児の性質は二次的に獲得されたとする説もある。

約2年で、次第に這い、立ち歩き、言葉が操れるようになる。栄養の程度にもよるが、10年から20年までの間(思春期)に性的に成熟を完了する。体の成長はその前後に完成する。

だいたい12歳 - 15歳のころに生殖能力を得るようになる。11歳未満で生殖能力を得る個体も存在するが、雌の場合はまだ身体が成長途中であるために、妊娠には大きな危険が伴う。個体が成育する文化によるが、雌雄共に15歳を過ぎたあたりから生殖に対し活発になり、40歳くらいまでは盛んな時期が続く。雄の場合、その活動は次第に低下していき老齢に達しても生殖能力を持つものから50代程度で失うものがいるなど個体差がかなり大きい。それに対して雌では通常50 - 55歳くらいに閉経があり、それを期に生殖能力を失う。

老化が進むと骨格の収縮・筋力の低下・背骨の前屈・頭髪の代謝低下(一般に言う「白髪」や「禿げ」)などの変化を生じるが、これらには個体差がある。
多産多死

サル目の中で最も多産である[要出典]。

生物学上、一個体の雌が生涯で産む子の数は最大で15人前後であるが、双子、三つ子などの多胎児も多い(ヒト以外の霊長類では双子、三つ子は比較的珍しい)。

現在では経済的に恵まれた社会ほど少子化する傾向にあり、発展途上国や戦時では多子傾向が強くなる[要出典]。工業化以前の社会では多産多死であり、母子ともに死亡リスクが高かったが、医療の発展、農業技術の進歩、公衆衛生の普及などが大きく影響し、19世紀末以降、ヒトの個体数は著しく増加した。( → 詳細は「人口爆発」を参照)
寿命ヒトの平均寿命 ◆ 50歳未満
◆ 50歳以上
◆ 60歳以上
◆ 70歳以上
◆ 75歳以上
◆ 80歳以上

理想的な環境(長生きすることに適したヒトが、各種の寿命を縮める要因のない状態)でのヒトの最大寿命は120歳を少し超える程度と想像される(最も長く生きた個体の寿命が122歳であったことが確認されている)。だが実際には様々の要因により寿命はそれよりも短くなる。雌の方が5年から10年程度平均寿命が長くなるようである。かつてヒトの平均寿命ははるかに短く、35 - 50年程度だった。現在でも、栄養条件の劣悪な環境下(主に後発発展途上国及び未開社会)では、35 - 50年程度であることが多い。

また生殖可能な年齢を過ぎた後の生理的寿命が非常に長い。2013年の時点で平均寿命が最も長い国である日本では、女性の平均寿命が86.61歳、男性の平均寿命が80.21歳となっている[9]。右図にあるように地域によって平均寿命の値が大きく異なるのは乳児死亡率の違いが大きな原因である( → 詳細は「寿命(人間の場合)」を参照)。

生殖可能期以降の寿命が長いことの理由については、いくつかの説がある。たとえば、「お祖母さんのお陰」だという説では、母親が自分の経験に基づいて娘の子育ての手伝いを行なうことが子育ての成功率を大きく上げるためであろうとする( → 詳細は「おばあさん仮説」を参照)。
習性

ヒトの習性は、高度に発達した知能や集団内の情報伝達の発達によって、それ以外のすべての動物とは非常に異なった様相を見せる[要出典]。
文化との関連

一般に動物の行動や習性は本能行動学習行動、知能行動の3つに分けられる。本能行動は遺伝子レベルで確定され、生得的に身に付いているもので、昆虫などによく発達している。学習行動は、それぞれの個体が経験によって後天的に身に付けるものである。知能行動は、これに似るが、そのような学習を基礎に、初めての状況下で、推測などの判断をもとに行われるものである。人においては、本能行動はほとんど見られず、学習行動と知能行動が発達していると言える。

しかしながら、現実の人の行動がそれらによるものであるかと言えば、必ずしもそうではない。日常に見られる行動の多くは、個人が経験で獲得したものでも、推測などによって判断したものでもなく、その個体の属する集団に伝統的に継承されたものである。各々の個体は、親や周囲の他個体から見習う、あるいは積極的に指示されることで行動を身に付ける。これを何と呼ぶかは難しいが、広い意味での「文化」という語をこれに当てる考えもある。通常は文化と言えば、言語芸術、技術、あるいは社会的なものなどを指すが、その発達や伝達の形式だけを取れば、共通するものである。

このような広い意味で文化を考えれば、サルなどの動物にもその片鱗が見られる。しかし、人の場合には、他の動物に比すれば、文化的に決定される部分が非常に大きい。その内容は地理的にまとまった集団によってある程度までは共通する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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