ヒトラー暗殺計画
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この程度の距離なら狙撃銃で射殺できるとして、マクファーレンは本国イギリスに射殺許可を願い出たが、却下された[31]。却下された理由はマクファーレン死去後の17年後に公開されたが、スポーツマンらしくないという理由だった[31]
ヴァルキューレ作戦「ヴァルキューレ作戦」も参照

大戦勃発後、ドイツは占領地から数百万人の捕虜や奴隷的労働者をドイツ国内へ連れて来たが、カナリス国防軍情報部長がヒトラーに「彼らが叛乱を起こした際の対策を取る必要が有る」と進言。ヒトラーはそれに同意し、国内予備軍司令官フリードリヒ・フロム上級大将に対策案作成を命令した。フロムは部下の同軍参謀長フリードリヒ・オルブリヒト大将にそれを一任し、オルブリヒトは1942年10月13日、反乱鎮圧計画とその隠語名「ヴァルキューレ」を立案した。

国内で反乱が発生した際、国防軍・武装親衛隊を含め、全ての武装集団をベルリン・ベンドラー街の国内予備軍指揮下に置き、戒厳令を布告し政府の全官庁、党機関、交通・通信手段、放送局、軍法会議の設置まで全てを掌握する、という計画であった。発動権限は国内予備軍参謀長にあり、同軍参謀長オルブリヒト大将ら陰謀派は、ヒトラー暗殺後「ヴァルキューレ」を発動、それをクーデターに利用して国内を一気に掌握する計画を立てた。
閃光作戦

1943年2月、スターリングラード攻防戦の敗北後、ドイツ軍は赤軍の攻勢に備えるための作戦(第三次ハリコフ攻防戦)を立案した。この作戦に関連してヒトラーは2月17日にザポロージェに置かれた南方軍集団司令部を飛行機で訪問した。これを好機と見た中央軍集団参謀長のヘニング・フォン・トレスコウ少将は、ヒトラー副官の友人ルドルフ・シュムントを通じて、スモレンスク中央軍集団司令部にもヒトラーが訪れるよう工作した[32]。当時の中央軍集団司令官は、以前から「黒いオーケストラ」グループに参加を求められていたギュンター・フォン・クルーゲ元帥だった。彼は東部戦線における武装親衛隊の蛮行に憤慨し、暗殺を決意したとされる。「閃光」とは、トレスコウが立てた、ヒトラー暗殺計画の隠語名である。彼は以前から情報担当参謀ルドルフ=クリストフ・フォン・ゲルスドルフ大佐に爆弾を用意させ、司令部周辺の森林で爆破テストを繰り返していた[33]。当初、司令部内で会食中に反ヒトラー派の6人の将校がヒトラーを暗殺し、1個中隊が武装親衛隊を制圧する予定だったが、クルーゲが関係のない軍人を射殺する可能性を嫌がったこと、ヒムラーがいないため、万が一ヒトラーの射殺に成功したとしても、国防軍と武装親衛隊の内乱につながるとして反対したので断念[34]。そこで、総統大本営に戻るヒトラーを、その搭乗機ごと爆殺する計画に切り替えた[35]。この計画ならば、ヒトラーの死亡は飛行機事故によるもので、国防軍と武装親衛隊の内乱には突入しないだろうという目算だった[35]。また、国内予備軍参謀長オルブリヒト大将と連絡を取り、「ヴァルキューレ」作戦の発動を依頼した。

3月13日、ヒトラーは搭乗機Fw200コンドルで中央軍集団司令部に到着した[36]。ヒトラーには総統副官のハインツ・ブラント中佐が同行していた[37]。一同が会食中、トレスコウはブラントに、「賭け事に負けた」という名目でコアントローの小包を、参謀本部編成課長のヘルムート・シュティーフ大佐に届けるよう依頼した[37]。しかし、この包みは酒瓶に見せかけた爆弾であった[37]

同日午後1時過ぎ、ヒトラーは総統大本営に向けて飛び立った。爆発を確信したトレスコウは、国内予備軍司令部のオルブリヒト大将に連絡し、彼は「ヴァルキューレ」発動準備を下令した。しかし、ヒトラー機が途中、乱気流を避けるため急上昇した際、ロシア上空の寒気で時限装置が故障[38]したため起爆せず、ヒトラーは無事に総統大本営に到着した[37]。計画の失敗を知り、トレスコウはオルブリヒトに、「ヴァルキューレ」発動は演習だった事にして計画を中止させた。次に総統大本営のブラントに連絡し「間違えて別の酒を包んだので、その小包はシュティーフ大佐には渡さないように」と依頼[39]。翌日、副官のファビアン・フォン・シュラーブレンドルフ中尉によって爆弾は回収され、計画は発覚しなかった[39]

トレスコウらは引き続き、3月21日に予定された、ヒトラーのベルリン兵器保存館視察を狙い、ゲルスドルフ大佐を案内役に推薦し、彼に暗殺計画を託した[40]。彼は時限信管付き爆弾で、ヒトラーを道づれに爆死する決意をしたが、当日は視察をごく短時間で終わらせたため、ゲルスドルフはヒトラーに接近する機会が無くなり、暗殺は失敗した[41]
新装備展示会での暗殺計画


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