ヒジャブ
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

逆に、政権交代後は前髪を出していたことで逮捕された女性が暴行死する事件が起きている[9][10][11]。女性を通じて社会全体を支配している非世俗的イスラム教国にとっては、ヒジャブの強制を辞めることは、体制崩壊に繋がるアキレス腱となっている[12]

ヒジャブに対する対応はイスラーム教諸国や、イスラム圏以外でムスリムが暮らす地域によって様々である。イスラームの地方的慣習法(ウルフ)により、人目を引く派手な色や模様のヒジャブは同じ国の中でも地域によって非難の対象となる場合と、ならない場合がある[7]

後者の例では、アメリカ合衆国のように、素材や色彩、デザインの面でファッション性を高めたヒジャブが販売されている地域もある[13]

イスラーム教が主な宗教となっている中東を始めとする諸国では、女性の一般的な服装である。ムスリムが多数を占める国でも、トルコチュニジアなど世俗主義政教分離を掲げる国では公の場所での着用が禁止されていたが、両国ともに近年規制が緩和されつつあり、ヒジャブを付ける女性も珍しくはなくなっている。

イスラームを国教としていたり戒律に厳格な信徒が主流派の政権下では、婚姻、血縁関係のない男性がいる場での着用を法律で義務化している場合もある。イランでは西欧的近代化を目指すパフラヴィー朝が1936年に禁止したが、着用を望む女性の反発を受け1941年に禁令を撤廃した。パフラヴィー朝を打倒したイラン革命で成立したイラン・イスラム共和国は罰則や風紀警察による取り締まりにより義務化したが、浅くかぶって前髪を見せたり、人前で脱いだりする女性も一部で現れている[14]

イラン・イスラム革命後のイランでは7歳以上の少女はヒジャブが強制されており、髪を隠さない少女・女性と学校へ行くことも禁止されており、むちで打たれたり、刑務所に入れられ、人によっては殺される。アメリカに亡命したイラン人ジャーナリストで反体制人権活動家のマシー・アリーネジャード(Masih Alinejad)は、イラン訪問時にセゴレーヌ・ロワイヤル(フランスの大臣)や、イタリアのフェデリカ・モゲリーニ(欧州連合(の外交安全保障上級代表(EU外相))氏ら欧米の女性政治家が、イラン政府に言われるままヒジャブを着用したことを糾弾している[15]

サウジアラビアについては近年、着用は任意であるとする王室の見解が出るなどしており、ヒジャーブを着用しない女性や髪を多く出して着用する女性が増え、急速な開放政策の影響が見られる。

一方、フランスでは1905年に制定されたライシテ(政教分離)法に基づいて2004年に公立学校における「これみよがし」な宗教的標章等の着用を禁止する法律[16]が制定されたため、ヒジャブもその対象とされ、内外のイスラム教徒から反発を受けている。

世界第3位のイスラム教徒の人口を抱えるインドでは、ヒジャーブそのものが「女性抑圧の象徴」だとしてカルナタカ州で、公立学校での女子生徒のヒジャーブ着用を禁じる通達が出されている。

また、スポーツの試合中における着用についても、国際競技連盟によって認める場合と一切認めない場合に分かれる[17][18]
注釈^ 装飾とは、美しく魅力的な部分で、顔と両掌以外の全身を指す。

出典[脚注の使い方]^ Project, Living Arabic. “The Living Arabic Project - Classical Arabic and dialects” (英語). livingarabic.com. 2023年8月17日閲覧。
^ “???? ??? ????? ???? (???)”. almougem.com. 2023年8月17日閲覧。
^ “??????? : ???”. 2023年8月17日閲覧。
^ Project, Living Arabic. “The Living Arabic Project - Classical Arabic and dialects” (英語). livingarabic.com. 2023年8月17日閲覧。
^ “???? ??? ????? ???? (????)”. almougem.com. 2023年8月17日閲覧。
^ “??????? : ????”. 2023年8月17日閲覧。
^ a b c 藤本 2012, pp. 285?300.
^ 中田考(監修)『日亜対訳クルアーン[付]訳解と正統十読誦注解』株式会社作品社、2016年、382頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-86182-471-5。"また女の信仰者たちに言え、彼女らの目を伏せ、陰部を守るようにと。また、彼女らの装飾は外に現れたもの以外、表に表してはならない"。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:35 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef