映画が完成する前に『パーフェクトブルー』のビデオグラムとテレビ放映権を購入した会社は、配給会社のレックスエンタテインメントに対して、カナダのモントリオールで開催されるファンタジア国際映画祭に出品して、海外で先行公開するようにアドバイスしたという[5]。レックスエンタテインメントも会社として国際的なビジネス展開を目指していたため、積極的に海外販売することになり、日本での公開前に海外映画祭に出品された[5]。今監督は初監督作品ということでまだ無名だったため、本作を映画祭に売り込むためにレックスエンタテインメントは、すでに海外でヒットしていた『AKIRA』で世界的に高い評価を受けていた大友克洋の弟子の初監督作品と紹介した[5]。そのため、企画協力として大友の名がクレジットされているものの、今のところに監督のオファーが来たのは彼の意向ではなく、また映画制作にも全く関わっていない[注 3][10][11]。ファンタジア映画祭では、観られなかった人のために急遽2回目の上映が組まれるほどの好評を博し、最終的には観客の投票によって最優秀国際映画賞に選ばれた[15]。そのおかげで、ドイツ、スウェーデン、メルボルン、韓国など50以上の映画祭から招待状が届き始めた[15]。
レックスエンタテインメントはヨーロッパ各国の配給会社と交渉を開始し、最終的には日本での公開に先立ち、スペイン語圏、フランス語圏、イタリア語圏、英語圏、ドイツ語圏などの主要市場での販売に成功した[15]。またレックスエンタテインメントは、映画監督のロジャー・コーマンとアーヴィン・カーシュナーから、彼らの推薦コメントを全世界で無料で使用する許可を得ることに成功し、海外の劇場チラシや世界的なプロモーションに使った[15]。その結果、本作は世界中で様々な賞を受賞するなど高い評価を受け、世界21ヶ国での販売ライセンスを獲得するなど成功を収め、今のデビュー作にして出世作となった[5][16]。
映画公開に合わせ、竹内の原作小説が『パーフェクトブルー1998』のタイトルで再版された。また劇中劇の『ダブルバインド』はニッポン放送でラジオドラマ化されて放送された。