パーフェクトブルー
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その結果、本作は世界中で様々な賞を受賞するなど高い評価を受け、世界21ヶ国での販売ライセンスを獲得するなど成功を収め、今のデビュー作にして出世作となった[5][16]

映画公開に合わせ、竹内の原作小説が『パーフェクトブルー1998』のタイトルで再版された。また劇中劇の『ダブルバインド』はニッポン放送でラジオドラマ化されて放送された。のちにドラマCDとして発売もされた。

映画公開直後から映画監督のダーレン・アロノフスキーが『パーフェクトブルー』のリメイク権を購入したという噂が流れた。しかし、2001年に雑誌で今と対談した際、彼は諸事情により権利の購入を断念したと述べている[9][17]。また、その際に彼の映画『レクイエム・フォー・ドリーム』に『パーフェクトブルー』と同じアングルやカットがあるのは、映画へのオマージュだとも語っている[9][17]

2002年には実写映画『パーフェクトブルー 夢なら醒めて』(サトウトシキ監督)が公開された。これは竹内の別の短編作品集『夢なら醒めて…』を原作に、今岡信治小林政広の脚本を映画化したもので、アニメ版とは異なる内容となっている。また映画と同じタイトルで同年にこちらの原作小説も再販された[18]

2023年、公開25周年とマッドハウスの創業50周年を記念して、4Kリマスター版が9月15日から全国で劇場公開された[1]
テーマ・モチーフ

今にオファーがあったときには、すでに『パーフェクトブルー』というタイトルと「B級アイドルと変態ファン」という設定が決まっていた[12][13][14]。今は原作を全く読まず、原作に近いとされる映画の最初のラフプロットだけを読んだ[注 4]。そして、彼はこの脚本を映画の中で一切使わなかった[13][20]。元々の小説には劇中劇もなければ、夢と現実の境界の曖昧さというモチーフもなかった[20]。その初期のプロットは、「アイドルの女の子が彼女のイメージチェンジを許せない変態ファンに襲われる」という内容で、映画よりももっとストレートなスプラッター・サイコホラー物だった。出血の描写も大変多く、特にホラーやアイドルが好きではない今には向かない内容だった[10][11][20]。今も、自分がもし自由に企画を立てられる立場だったらそのような設定を考えることはあり得ないと語っていた[20]。そのようなジャンルは、『セブン』『氷の微笑』『羊たちの沈黙』など様々な作品で既に扱われている手垢のついてしまったものであり、またアニメが不得手とする分野でもあった[8][10][13]。そしてその手のジャンルの作品は、そのほとんどが「加害者である犯人がいかに変態であるか、あるいはどれほど狂っているか」に重きを置いているように見えるので、今はその裏をかいて「ストーカーに狙われることによっていかに被害者である主人公の内面世界が壊れていくか」に焦点を当てた[13]。ただし劇中劇『ダブルバインド』については、すぐにハリウッドの流行に便乗して安直な物真似ドラマを作る日本のテレビドラマ業界への批判を込め、ストレートなサイコホラー、というよりもむしろパロディに近い内容にした[13]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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