パーフェクトブルー
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昔は痩せていたが、今は見る影もなく肥満体となっている。未麻を陰ひなたに支え、女優への転身に反対している。実は数々の事件の真犯人。芽が出ることのないままマネージャー業へと転身した過去から未麻にアイドル時代の自分自身を重ね合わせており、自身の描く未麻のイメージを壊した関係者たちに対して、アイスピックを用いて制裁を加えていた。その精神状態は病的な領域に達しており、自分自身が未麻だと思い込むまでになっている。謎のサイト「未麻の部屋」も彼女が未麻になりすまして運営していたものであり、サイトに入り浸っていた内田を利用して犯行を重ねていた。終盤では狂気を発露させ、未麻に成り代わるべく彼女のアイドル時代の衣装を身にまとって未麻を襲撃するが、外れたウィッグに気を取られたために大怪我を負い、痛みに耐えかねて道路に飛び出し通行中のトラックに轢かれる直前に未麻に助けられ病院に搬送される。その後は廃人同然と化し、自身を未麻と思い込んだまま病院暮らしをしている。
ドラマ関係者
手嶋(てじま)
声 -
秋元羊介サイコスリラードラマ『ダブル・バインド』を制作している放送局・KTBのプロデューサー
渋谷貴雄(しぶや たかお)
声 - 塩屋翼人気脚本家。未麻が途中から出演したテレビドラマ『ダブル・バインド』の脚本を手がける。未麻に汚れ役を与えたため、自宅マンションのエレベーター内でルミにメッタ刺しされ殺害された。
桜木健一(さくらぎ けんいち)
声 - 堀秀行『ダブル・バインド』の主演俳優。刑事の山城(やましろ)役を務める。
落合恵理(おちあい えり)
声 - 篠原恵美『ダブル・バインド』の主演俳優。主人公・麻宮?子(あさみや とうこ)役を務める。大量のファンレターが局に届くほどの人気女優で、共演したことをきっかけに未麻にとっての目標像にもなっていく。
監督、AD
声 - 梁田清之(監督)、津久井教生(AD)『ダブル・バインド』のスタッフ陣。
事務所の関係者
田所(たどころ)
声 -
辻親八未麻の所属事務所社長。未麻を積極的に女優として売り出していく。少々強引な営業でルミと何度か口論するが、根は悪人ではない。女優への転身という方針を打ち出したことがきっかけで、ファンレターに仕掛けられた爆薬で手に怪我を負わせられる。その後も怪我を負いながら未麻の売り込みとサポートを続けていた。しかし、ドラマに続いてビデオ映画の主演においても未麻にサービスカットがあることを知ったルミの怒りを買い、殺害された。
矢田(やだ)
声 - 古澤徹未麻の所属事務所の男性スタッフで、ポニーテールが特徴。未麻の抜けた新生「CHAM」のマネージャーも務めていた。
雪子(ゆきこ)、レイ
声 - 古川恵実子(雪子)、新山志保(レイ)未麻と共にアイドルグループ「CHAM」を組んでおり、未麻卒業後も二人で「CHAM」を続けていた。オリコンチャート入りやラジオで冠番組を持つ等、三人で活動していた時期よりも格段に人気が出始める。
その他の人物
内田守(うちだ まもる)
声 -
大倉正章コンサート会場の警備アルバイトを務めている男性。未麻に異常なほど執着している。劇中では最後まで名前が明かされなかった。数々の事件の犯人と未麻に疑われ、未麻に問い詰められた際にも自身が犯人であるかのようにほのめかしていた。しかし、実際はルミに利用されていただけだった。劇中終盤に未麻を襲撃し、レイプしようとしたが、彼女の反撃に合い気絶する。その後は用無しとしてルミによって始末された。
村野(むらの)
声 - 江原正士脱がせ専門」と噂されている斜視のカメラマン。未麻のヘアヌード撮影を担当したために、宅配ピザ屋に扮装したルミによってメッタ刺しにされ殺害された。
土居正(どい ただし)
声 - 陶山章央冒頭、未麻の「CHAM」卒業ライブを妨害した不良チームのリーダー。内田の乗ったトラックに轢かれ、重傷を負う。内田とは逆にスタッフロールでは役名は出てこないが、劇中の新聞記事に「土居 正」という名前が出てくる。
電脳戦士パワートロン
声 - 遠近孝一(レッドトロン)、保志総一朗(グリーン)、谷山紀章(ブルー)冒頭、ヒーローショーを行っていた戦隊ヒーロー。物語はネットワークを題材にしている。
タク
声 - 三木眞一郎「CHAM」のファンの一人。発言は辛辣だが、「CHAM」卒業後に苦労を重ねる未麻を案じ続けている。
サラリーマン
声 - 細井治
子供
声 - 田野恵本井英美
レポーター
声 - 南かおり北野誠
司会者
声 - ショッカーO野
制作

本作は今敏の初監督作品。アニメーションとしては当時まだ新しいジャンルであったサイコホラーに挑んでいる[5]

そもそものきっかけは、1994年の秋にOVAジョジョの奇妙な冒険』での今の仕事ぶりを評価していたマッドハウスのプロデューサー(当時)の丸山正雄が、監督をしてみないかと今を誘ってきたことだった[6][7][8]。もともとは原作者の竹内義和が自身の小説の映像化を思い立ち、パーソナリティを務めていたラジオ番組の熱心なリスナーだった大友克洋に話を持ちかけたところ、それが巡り巡って今のもとに監督のオファーが届いた。カルトなテレビドラマのマニアとして知られていた竹内は当初、実写映画を想定していたと言われるが、資金調達が困難だったので、企画はオリジナルビデオに、さらにオリジナルビデオアニメ(OVA)に格下げされた[9][10][11]。今のところにオファーが来た時にはOVAの企画だったので、彼は映画ではなくビデオアニメとして『パーフェクトブルー』を制作した[12]。その後、完成直前になって急遽映画として公開されることが決まった[5]。本来、この作品は「ビデオアニメーション」という枠で作られた作品であり、その狭いマーケットの中で少しだけ話題になってそのまま消えて行くはずだった。それが、劇場映画として扱われ、世界の映画祭などに招待され、各国でパッケージとして発売されることになるとは、関係者は夢にも思っていなかった[12][13][14]。サイコホラーは日本アニメにおいて主流のジャンルではなく、当時は前例もなかったので、従来なら却下されたはずの企画であり、それが偶然採用されただけだった。そのため誰もヒットを期待しておらず、だからこそ今が仕事を受けることが出来たのである[9][10][13]

映画が完成する前に『パーフェクトブルー』のビデオグラムとテレビ放映権を購入した会社は、配給会社のレックスエンタテインメントに対して、カナダモントリオールで開催されるファンタジア国際映画祭に出品して、海外で先行公開するようにアドバイスしたという[5]。レックスエンタテインメントも会社として国際的なビジネス展開を目指していたため、積極的に海外販売することになり、日本での公開前に海外映画祭に出品された[5]。今監督は初監督作品ということでまだ無名だったため、本作を映画祭に売り込むためにレックスエンタテインメントは、すでに海外でヒットしていた『AKIRA』で世界的に高い評価を受けていた大友克洋の弟子の初監督作品と紹介した[5]。そのため、企画協力として大友の名がクレジットされているものの、今のところに監督のオファーが来たのは彼の意向ではなく、また映画制作にも全く関わっていない[注 3][10][11]。ファンタジア映画祭では、観られなかった人のために急遽2回目の上映が組まれるほどの好評を博し、最終的には観客の投票によって最優秀国際映画賞に選ばれた[15]。そのおかげで、ドイツ、スウェーデン、メルボルン、韓国など50以上の映画祭から招待状が届き始めた[15]

レックスエンタテインメントはヨーロッパ各国の配給会社と交渉を開始し、最終的には日本での公開に先立ち、スペイン語圏、フランス語圏、イタリア語圏、英語圏、ドイツ語圏などの主要市場での販売に成功した[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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