パーキンソン病
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遺伝子異常と家族性パーキンソン病^ α-シヌクレインタンパクをコードしている SNCA 遺伝子の突然変異によって起こる。やや若年の発症 (40歳前後) であること、認知機能障害を合併しやすいこと以外は孤発性パーキンソン病と似た臨床症状を呈する。PARK4 と命名された遺伝子はおそらく SNCA 遺伝子の三重重複(triplication)によって起こる[129]
^ パーキン (Parkin) タンパクをコードする遺伝子の突然変異によって起こる。この変異は日本に多く、臨床型の報告も[130]、遺伝子の単離も[131]日本で行われた。2012年時点、若年性パーキンソン病の最も一般的な原因の一つである[132][133]。病理所見ではレビー小体が見られない。孤発性パーキンソン病と極めて似た症状を示すが、下肢のジストニアがみられる。パーキンタンパクはユビキチンリガーゼ (細胞内で不要となったタンパクを分解するシステムの一つ) であり[134]、パーキンソン病のタンパク分解機構(ユビキチン-プロテアソームシステム)の機能低下仮説の根拠となっている[135]
^ ユビキチンC末端水解酵素 (Ubiquitin carboxy-terminal hydrolase L1) をコードする遺伝子 UCHL1 の突然変異による。
^ ピンク1(PTEN 誘導性推定キナーゼ1タンパク、PINK1)をコードする PINK1 遺伝子の突然変異による。ピンク1はミトコンドリアに局在するキナーゼで、その変異による発症数はまれではある[136]が、臨床型は PARK2 と非常によく似ており、ピンク1がパーキンと同じ経路で働いていることが明らかになった[137][138]。ミトコンドリアは活性酸素やその他の毒素などに傷害されると呼吸能が低下し、その結果外膜の膜電位が低下する[139]。するとピンク1が膜上で自己リン酸化してパーキンを外膜に蓄積させ、パーキンは膜上のタンパクをユビキチン化する[140]。このように、ピンク1はパーキンと協調して損傷した異常ミトコンドリアを処分する(オートファジー = ミトファジーを誘導する)ことで「ミトコンドリアの品質管理」を行なう。ピンク1遺伝子の変異は不良なミトコンドリアを蓄積させ、神経細胞の変性につながると考えられる[141]
^ DJ-1タンパクをコードする DJ-1 遺伝子の突然変異による。DJ-1タンパクは酸化ストレスに対して神経を保護する作用を持つ[142]。ミトコンドリアにも局在しており、パーキン/ピンク1経路とはまた別の経路でミトコンドリアを保護し、オートファジーに関与している[143]
^ ダーダリン'‘'(dardarin)タンパクまたはロイシンリッチリピートキナーゼ2(Leucine rich repeat kinase 2, LRRK2)をコードする LRRK2 遺伝子の突然変異による。In vitroでは、変異した LRRK2 はおそらくパーキンとの相互作用によって、タンパク凝集と細胞死を引き起こす[144]。また発症は平均50歳代で、レボドパ治療に反応する典型的なパーキンソン病である[145]
^ リソソームに局在するタイプ5-P型ATPアーゼ をエンコードする ATP13A2 遺伝子の変異によって起こり、Kufor-Rakeb症候群としても知られる[146]。レボドパに反応するパーキンソン症状、錐体路徴候、認知機能障害、核上性上方注視麻痺などを表現型とする[147]。本来、α-シヌクレインは選択的に、シャペロン介在性オートファジー (リソソームに運ばれて分解される) を受ける (ミトファジー) [148]。ATP13A2の変異によってタイプ5-P型ATPはリソソームではなく小胞体に集積しており[149]、その結果リソソームの機能不全が起こってα-シヌクレインが蓄積し、神経変性を引き起こすのだろう[150]
^ GIGYF2 (Grb10相互作用GYFタンパク、TNRC15とも)をコードする GIGYF2 遺伝子の変異で生じると考えられる[151]。神経細胞内のエンドソームに存在し、エンドソームのシグナル調節にかかわっているが、遺伝子変異があってもなくてもその働きに変化はなく、パーキンソン病発症の機序は不明である[152]
^ HtrA2 (ミトコンドリア内に発現するセリンペプチダーゼ2)をコードする Omi/HTRA2 遺伝子の突然変異による[153]
^ PLA2G6 (ホスホリパーゼA2グループ6)をコードする PLA2G6遺伝子の変異による[154]。この変異は乳児型神経軸索ジストロフィー・鉄沈着を伴う脳神経変性症・Karak症候群とされていたが、若年性パーキンソン病の原因であることもわかった[155]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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