パロディ
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パロディ・モンタージュ写真事件は最高裁まで争われたことで有名である[33][34][35]。山岳写真家白川義員が雪山をスキー滑走するシュプールを写真に収め、カレンダー写真に採用された。この写真のシュプール上部に巨大なタイヤ (別の広告写真から複写したもの) を配置し、スキーのシュプールが雪山を転げ落ちるタイヤの轍に見えるように合成加工したのが、パロディストを自称するマッド・アマノである[156][157]

原告・白川側は無断の剽窃であり、かつ白川の製作意図が破壊・侮辱されたとして著作者人格権侵害を主張した。これに対して被告・アマノ側は、自動車公害の批判を目的とした新たな創作物であって剽窃ではないと反論した[157]。二審ではアマノの作品が独立した創作性を有するパロディであると認めた上で、原著作物からの引用であるとして、著作権侵害に当たらないと判示した[156][158]。最高裁は引用の要件として、引用する側とされた側が明確に区分できること、および主従の関係が成り立つことの2点を挙げた。そしてアマノの作品は独立した著作物と識別できるものの、原著作物の本質的な特徴を直接的に感じ取れる内容であることから、著作者人格権 (特に同一性保持権) を侵害していると判定された (昭和55年3月28日判決)[159][34][35][160]。米国のプリティ・ウーマン判決で、元ネタとなった 作品 に対する批評がパロディであるのに対し、元ネタ作品そのものではなく 社会 を批判していれば風刺であると区別されたように[28]、日本のパロディ・モンタージュ写真事件でもアマノは白川の作品を批判・風刺しておらず、単に素材として無断利用したと判断された[159]。この裁判は2度にわたって最高裁から差し戻され、最終的に和解が成立した[33]。この判決を受け、日本ではパロディ表現の自由が法的に狭められたとの見解もある[158]
作品例

パロディ映画#パロディ映画の例

パロディ音楽

パロディ広告(英語版) - 実在しない商品を対象とした広告。

パロディ宗教(英語版) - 空飛ぶスパゲッティ・モンスター教など。

パロディ科学(英語版)

パロディAV

アンサイクロペディア - ウィキペディアのパロディサイトである。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 実際に手塚側がディズニーを相手に訴訟を計画するも、断念した経緯がある[20]
^ 用語の初出はドーキンズ著『利己的遺伝子』(1976年)である[41][42]
^ 『蛙鼠合戦』の創作年は断定されていないが、ヘレニズム時代後期が有力説である[57]
^ なお『イーリアス』の作者はホメーロスとするのが通説であるが、ホメーロスは複数の人物であり、また執筆されたのも従前から考えられていた時代よりも1000年ほど前ではないかとの説がある[60]
^ プラウトゥスは古代ギリシャ劇を一部下敷きにして作品を生み出し、ラテン語で綴った古代ローマ喜劇の時代を象徴した人物とされる[63]
^ 10選にランクインしたのはグラント・ウッド作『アメリカン・ゴシック』、レオナルド・ダ・ヴィンチ作『モナ・リザ』、葛飾北斎作「神奈川沖浪裏」(『富嶽三十六景』の1枚)、サンドロ・ボッティチェッリ作『ヴィーナスの誕生』、レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』、ヨハネス・フェルメール作『真珠の耳飾りの少女』、エドヴァルド・ムンク作『叫び』、オーギュスト・ロダン作『考える人』、フィンセント・ファン・ゴッホ作『星月夜』、エドワード・ホッパー作『ナイトホークス』である[76]
^ 当時は1929年からの世界恐慌によってドイツ経済も疲弊し[77]、政治的にもナチスが台頭して国粋主義化 (反ユダヤ感情とドイツ至上主義) が進行した[17]。このような閉塞感の中、マンは1932年にアメリカ合衆国に亡命して[16]、パロディ作品を創作している。
^ ベルヌ条約の加盟国数は、1886年の原条約が179か国[92]、1971年の第6回パリ改正版が177か国に上る[93]
^ 2012年3月公表の文化庁委託事業調査報告書上で、イギリスおよびカナダは条文上でパロディが明文化されていない国に分類されているが[96]、その後2014年10月にイギリスは著作権法を改正し、第30A条でカリカチュア、パロディ、パスティーシュの3点を例外として明文化している[7]。また、カナダでは2012年11月に改正立法が成立し、著作権法 第29条 (フェアディーリング(英語版)) にパロディおよび風刺が追加明記された[97][98]
^ 米国のように商標の保護が不正競争法から発達してきた国もある。ビジネス上の信用を得るために他社・他者の商標を用いることは公正な競争を損ねることからこれを防止する目的があるほか、消費者が商標からその商品・サービスの性格・質を識別できることを商標制度の目的としている[101]
^ 著作権法上のフェアユースは4点の基準で構成されるが、商標法上のフェアユースは2点である。(1)「古典的フェアユース[107]」(classic fair use) あるいは「記述的フェアユース[108]」は、他社(原告)の商標マークを使ったのではなく、自社(被告)自身の商品・サービスそのものを指し示すために商標を使ったとする抗弁である[107]


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