パルプ
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[1]収穫後に供給が始まるが、収穫期以外は供給されないという欠点がある。また、生産地域土壌、麦・米の品種によって品質が大きく変動するので、同じ品種の麦・米や生産地域からの原料集積によって生産することが望ましい。
バガスパルプ
イネ科サトウキビの絞りかす(製糖残渣)を原料とする[2][3]熱帯では安定供給が可能であるが、地域によっては季節要因によりサトウキビが取れない時期は供給がストップする。
ヨシパルプ
イネ科ヨシを採取して原料とする[4]中国湖南省などで実用的に使われているほか、日本の滋賀県などで宣伝的に使われている[5][6]
ケナフパルプ
アサ科ケナフを採取して原料とする。
クワパルプ
養蚕に使うクワ科クワの枝を副次的に原料とする。中国広西チワン族自治区などで実用化されている。
果実パルプ
オレンジミカングレープフルーツリンゴなどの柑橘類中果皮、さのうの膜、じょうのうなどの繊維質
古紙パルプ

古紙裁落(さいらく)を原料とするパルプ。脱墨したものをDIP(De-Inked Pulp)と呼ぶ。原料である古紙を水に溶解し、機械的な力や重力、界面活性剤などの薬品を利用して紙繊維以外の異物(金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インキ、コピートナーなど)を分離・除去する。さらに用途に応じて白さを高めるよう漂白処理を加え、脱水・乾燥し紙原料の古紙パルプとなる。

古紙は回収量、ルート、紙の種類、分別状態などによってその供給能力や品質・利用用途・価格などが大きく左右される。環境への負荷を下げるためには、回収ルートを確立して、利用率を上げるべきであるが、再処理の過程で環境的な負荷の発生は避け得ず、より適切な古紙の回収や古紙処理の方法を探ることが今後も必要と言える。
製法

パルプは製法によって、機械パルプと化学パルプに大別される。
機械パルプ

物理的な力で木材を破砕することでパルプ化する方法で、できたパルプを機械パルプ「MP」(Mechanical Pulp)と呼ぶ。種類には砕木パルプ(GP、Ground Pulp)、 リファイナーグランドパルプ(RGP、Refiner Ground Pulp)、サーモメカニカルパルプ(TMP、Thermo-Mechanical Pulp)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP、Chemi-Thermo-Mechanical Pulp)などがある。パルプ繊維が剛直であるのが特徴である。また、繊維中にリグニンなどを大量に含むので、長時間保存すると褪色する。その代わり、木材からのパルプ収率は80パーセント程度と高い。
化学パルプ

化学的な反応で、木材(チップへの破砕は必要)を分解・リグニンなどを分離する(蒸解と呼ぶ)ことでパルプ化されたパルプを、総じて化学パルプ「CP」(Chemical Pulp) と呼ぶ。種類にはクラフトパルプ(KP、Kraft Pulp)、サルファイドパルプ(SP、Sulfide Pulp)、アルカリパルプ(AP、Alkaline Pulp) などがある。

パルプ繊維はかなり高い純度のセルロース繊維であるためしなやかである。しなやかに絡み合うため、にしたときの強度は強い。ただし、セルロース純度が高くなるために、木材からのパルプ収率は50パーセント程度となる。

このパルプは色が茶色なので、セメント袋など以外の用途には漂白処理をして紙にする。この漂白工程で塩素漂白剤を多く使っていたので環境汚染が問題になったこともあったが、酸素オゾン過酸化水素などを用いる酸素系漂白の技術が発展し、現在では日本でもほとんどの製紙工場で酸素系漂白が主流になった。(無塩素漂白パルプなど参照のこと。)

分解・分離した残りの50パーセントは木材繊維を固めているリグニンや樹脂成分であるが、この廃液(薬品を含む)を濃縮したものを黒液と呼び、回収ボイラーで燃焼させ、製紙プラントのエネルギーとして利用されているほか、マツ材からでるものはロジンの原料にもなる。

現在、日本のバージンパルプは環境・社会・経済の面から適切に管理された植林木チップを原料とするKPが主流である。
供給地

スカンジナビア半島北アメリカ大陸で針葉樹原料のパルプが多く生産されることから、この地域のメーカーが世界のパルプ市況を左右していた。


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