パルプ・マガジン
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ウィアード・テイルズ

[1]
低迷とパルプ時代の終焉

第二次世界大戦中の紙不足がパルプ・マガジン業界に衝撃を与え、出版コストの上昇にともなって業界の低迷が始まった。1941年エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジンを矯矢として、多くのパルプ・マガジンが従来より小さく薄いダイジェストサイズに移行しはじめた。ストリート&スミス社は普通の雑誌市場に主力を移行するために自社のほとんどのパルプ・マガジンを廃刊にした。

パルプ・マガジンの形態の低迷は費用と価格の問題だけではなく、漫画雑誌やテレビ、ペーパーバック小説などとの激しい競争にさらされた結果でもあった。戦後豊かさを増したアメリカでは紙質の良い雑誌とパルプ・マガジンの価格差はもはやたいして重要な問題ではなかったのである。

パルプ・マガジンの時代は、1957年にかつての主要な業者だったアメリカン・ニュース・カンパニー (American News Company) が破産したことをもって終わったとされる。ブラックマスク、シャドウ、ドック・サヴェジ、 ウィアード・テイルズといった多くの前世代の人気パルプ・マガジンもすでになくなっていた。ごくわずかにSFやミステリのパルプ・マガジン(アスタウンディング やエラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジンなど)でダイジェストサイズの形態でその後も刊行され続けたものもある。2005年に2300号を越えたドイツの週刊のSFパルプ・マガジンペリー・ローダンのように、長い連載物ではパルプ・マガジンの形態がそのまま使われ続けている例もある。

その誕生から凋落までの数十年間に出版されたパルプ・マガジンのタイトルは膨大な数に上る。ポピュラー・パブリケーションズ社 (Popular Publications) のハリー・スティーガー (Harry Steeger) は、多くのタイトルが短命に終わったとはいえ彼の会社が300以上のタイトルを出版し、最盛時には月に42タイトルにも及んだと証言した[2]。パルプ・マガジンはかように短編小説の市場を寡占していたので、パルプ・マガジン産業の凋落は小説出版のあり方にも影響を与えた。普通の雑誌や小説の需要の減少もあいまって、作家志望の人々が自分の作品を出版するには長編小説やそれに匹敵するボリュームの短編アンソロジーを書かねばならなくなったのである。
表紙とイラスト

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出典検索?: "パルプ・マガジン" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2019年3月)
Planet Stories 1952年7月号

パルプ・マガジンの表紙は、本文部分より高品質な(すべすべの)紙に印刷された。パルプ・マガジンに象徴的なモチーフとして「ヒーローの助けを待つ、危機に陥った半裸の女性」が有名である。表紙絵はパルプ・マガジンの売上げに大きな役割を果たし、何人かの表紙絵の画家は本文の著者と同じくらいの名声を得た。著名な表紙絵の画家にはフランク・R・パウルヴァージル・フィンレイエド・カーティアマーガレット・ブランデージ、ノーマン・ソーンダース (Norman Saunders) らがいる。表紙絵は商業上の重要性から真っ先にデザインが決まることも多く、本文の著者にはそれを見せて絵にあった物語を書かせた。

後期のパルプ・マガジンでは、物語の彩りとして本文中に挿絵が挿入されはじめた。これらの挿絵は本文が刷られているのと同じく、クリーム色の紙に黒インクで刷られた。安い紙にインクがにじむのを避けるには特別な技術を使う必要があり、きめ細かい線や描き込みは通常なされなかった。陰影は掛け網や点描で表現され、それも肌理の粗いものでなければならなかった。挿絵は通常紙の背景に黒い線で描かれるが、ヴァージル・フィンレイらは黒い背景に白い線をほどこした作品もいくつか残している。
ジャンル

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よくある誤解は「パルプ・フィクション」というと1930年代?1940年代を舞台にしたインディアナ・ジョーンズの如き冒険活劇しかないと思われていることである。確かにその手の小説はパルプ・フィクションの好例ではあるが、パルプ・マガジンが扱った作品のジャンルはそれだけに限らず、ほとんどのジャンルのフィクションを網羅していた。剣と魔法ファンタジーミステリー、探偵もの、SFスペースオペラ冒険小説西部劇、戦争小説、スポーツ、旅物、ギャングもの、ホラー小説、怪奇小説、恋愛物からハードボイルドまで。西部開拓時代ものも伝統的なパルプ・マガジンの主要なジャンルのひとつだった。多くの古典SFや推理小説がウィアード・テイルズ、アメージング・ストーリーズ、ブラック・マスクといったパルプ・マガジンから生まれ育った。
キャラクター

大多数のパルプ・マガジンは複数の作者やキャラクター、舞台を使ったアンソロジーだったが、人気を博したパルプ・マガジンではただ一人のキャラクターをメインに押し出したものもみられた。そのキャラクターがたいていドック・サヴェジやシャドウのような人並外れた英雄タイプだったため、それらはヒーローパルプと呼ばれた[3]
パルプ・マガジンを彩ったキャラクターたち



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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