パリ
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北緯49度とやや高緯度に位置するが、温かい北大西洋海流偏西風によって1年を通して比較的温暖となっており、西岸海洋性気候の代表的な都市である。

EUを代表する大都市として君臨し、アメリカのシンクタンク2020年に発表した総合的な世界都市ランキングにおいて、ロンドンニューヨークに次ぐ世界3位の都市と評価された[4]。日本の民間シンクタンクによる2023年発表の「世界の都市総合力ランキング」では、ロンドンニューヨーク東京に次ぐ世界4位の都市と評価された[5]世界500大企業の本社数では、ニューヨークロンドンを凌ぎ、西洋の都市では最多である。2021年のイギリスシンクタンクの調査によると、世界10位の金融センターと評価されており、EU圏内では首位である[6]

パリは世界屈指の観光都市である。歴史的な建物を観ることができ、ルーヴル美術館ポンピドゥーセンターなどをはじめとした一流の美術館で膨大な数の一流の美術品を観賞できる。また世界最古のバレエ団や、世界でもっとも古くから存在している劇団などの公演を楽しむこともできる。

パリ出身者・居住者は男性がパリジャン(: Parisien、フランス語発音: [parizj??] パリズィヤン)、女性がパリジェンヌ(: Parisienne、フランス語発音: [parizj?n] パリズィエンヌ)と呼ばれる。1960年代以降、旧植民地であったアフリカ北部・中西部やインドシナ半島、さらに近年は中近東東欧中国などからの移民も増え、パリジャン・パリジェンヌも多民族・多人種化している。

市域人口は1950年代の約290万人を絶頂に減少し続けたが、ここ数年は微増傾向に転じており、2011年現在で約225万人である(INSEEによる)。2011年の近郊を含む都市的地域の人口では1,200万人を超えており、EU最大の都市部を形成している[7]
標語

パリ市の標語は「たゆたえども沈まず(ラテン語: Fluctuat nec mergitur(フランス語版), フランス語: il est battu par les flots mais ne sombre pas)[8]であり、これはパリの紋章の下部に書かれている。もともと水運の中心地だったパリで、水上商人組合の船乗りの言葉だったが、やがて戦乱、革命など歴史の荒波を生き抜いてきたパリ市民の象徴となっていった。この標語は特に2015年パリ同時多発テロ事件の直後、パリの街角に多数掲げられた[8][9]
地名の語源

語源はParisii(パリシイ、パリースィイとも。複数形。単数形はParisius「田舎者、乱暴者」)で、ローマ人が入ってくる以前からの先住民であるケルト系部族の、ローマ側からの呼称である。欧州の言語の中で古い時代の痕跡をとどめているギリシャ語ではΠαρ?σι(パリーズィ)、イタリア語で Parigi(パリージ)と発音される。フィンランド語で Pariisi(パリースィ)と発音されるのはこれに由来しているという説がある。ルーテティア(・パリースィオールム)Lutetia(Parisiorum)、 「パリシイ族の、水の中の居住地」(シテ島のこと)とも呼ばれていた。
地理

凱旋門

シャンゼリゼ通り

オペラ・ガルニエ(オペラ座)

エッフェル塔

気候詳細は「パリの気候(英語版)」を参照秋のパリ

西岸海洋性気候に属し、暖流である北大西洋海流の影響で高緯度の割には温暖である。夏(6月 - 8月)は気温が15度から25度までの範囲で、冷涼で乾燥しており過ごしやすいが、年間数日程度は32度を超える暑さとなる。しかし、2003年夏には30度以上の気温が数週間も続き、40度近い気温が観測され1万人以上の死者を出した。春(3月 - 5月)と秋(9月 - 10月)は天候は不安定で、暖かい時期と寒い時期が同居し、10月でも真冬並みの寒さとなることもある。冬(11 - 2月)は、もともと高緯度で昼間の時間が短いうえ、曇りや雨の日が多いため日照時間が少ないが、降雪・積雪はあまり見られない。年間数日程度は気温が氷点下5度以下まで下がる。しかしながら近年の冬は寒さが厳しく、2009年 - 2010年の冬にはパリ郊外では気温が-10度から-20度前後まで下がっているなど、寒気の影響を受けやすくなっている。年間降水量は555.7mmであり、それほど多くはない。

パリの気象観測は中心部から離れた14区にあるモンスーリ公園で行われている。

パリ (1991?2020)の気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
最高気温記録 °C (°F)16.1
(61)21.4
(70.5)25.7
(78.3)30.2
(86.4)34.8
(94.6)37.6
(99.7)42.6
(108.7)39.5
(103.1)36.2
(97.2)28.9
(84)21.6
(70.9)17.1
(62.8)42.6
(108.7)
平均最高気温 °C (°F)7.9
(46.2)9.2
(48.6)13.3
(55.9)17.3
(63.1)20.8
(69.4)24.0
(75.2)26.4
(79.5)26.3
(79.3)22.1
(71.8)16.9
(62.4)11.5
(52.7)8.4
(47.1)17.0
(62.6)
日平均気温 °C (°F)5.4
(41.7)6.0
(42.8)9.2
(48.6)12.2
(54)15.6
(60.1)18.8
(65.8)20.9
(69.6)20.8
(69.4)17.1
(62.8)13.1
(55.6)8.7
(47.7)5.9
(42.6)12.8
(55)
平均最低気温 °C (°F)3.5
(38.3)3.5
(38.3)6.0
(42.8)8.2
(46.8)11.4
(52.5)14.4
(57.9)16.4
(61.5)16.4
(61.5)13.2
(55.8)10.3
(50.5)6.6
(43.9)4.0
(39.2)9.5
(49.1)
最低気温記録 °C (°F)?19.0
(?2.2)?6.8
(19.8)?9.1
(15.6)?3.5
(25.7)?0.1
(31.8)3.1
(37.6)6.0
(42.8)6.3
(43.3)1.8
(35.2)?3.1
(26.4)?14.0
(6.8)?23.9
(?11)?23.9
(?11)
降水量 mm (inch)41.0
(1.614)36.1
(1.421)38.7
(1.524)41.9
(1.65)59.7
(2.35)44.1
(1.736)55.7
(2.193)52.1
(2.051)39.6
(1.559)48.9
(1.925)46.0
(1.811)51.9
(2.043)555.7
(21.877)
出典: ⇒http://www.pogodaiklimat.ru/climate2/07156.htm

地域
右岸
シャンゼリゼ通り8区
凱旋門からテュイルリーまで続く、パリを代表する目抜き通り。パリの歴史軸を構成する。交差するモンテーニュ通りとジョルジュ=サンク通りとに区切られた三角地帯は俗にラグジュアリー関連の「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれている。
サントノレ通り1区
同通りからフォーブール=サントノレ通りに至る周辺界隈は、フランスのハイ・ブランドラグジュアリーの本店が並ぶ、世界屈指の高級ブランド店街。ヴァンドーム広場、コンコルド広場、ルーヴル美術館、テュイルリー庭園に囲まれたパリ中心部の通り。8区内でシャンゼリゼ通りと並走するフォーブール=サントノレ通りに続いていく。
シテ島1区4区
パリ発祥の地であり、ノートルダム大聖堂など歴史的建造物も多い。
パッシー(16区
高級住宅地サン=ルイ島4区)、アンヴァリッド(7区)が手狭なため、高級住宅地はパッシー、ヌイイ=シュル=セーヌとパリ西部に拡大していった歴史を持つ。
オペラ界隈(2区9区
デパートや高級洋服店、銀行などが立ち並び、日本料理店や日本の生活雑貨店が並ぶ日本人街でもある。実際の在仏日本人が比較的多く住むのは15区や16区など。「パリの日本人コミュニティ」も参照。


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