パラマウント・ピクチャーズ
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1957年 - 1948年以前の大部分のトーキー作品の版権(『我輩はカモである』、『誰が為に鐘は鳴る』、『失われた週末』等)をEMKA(MCAレコードの子会社)に売却。これらの版権は現在、ユニバーサル映画が保有する。

1966年 - コングロマリットのガルフ&ウェスタン社に買収される。

1994年 - バイアコム(現・パラマウント・グローバル)に買収される。

2005年 - バイアコムは会社分割により、パラマウントやMTVなどを新しいバイアコムとして分離。この際、テレビ番組製作会社のCBSパラマウントテレビジョン(旧パラマウント・テレビジョン)はCBSコーポレーション傘下に残る。

創業者アドルフ・ズコールの逸話

東欧系ユダヤ人としてハンガリーで生まれたアドルフ・ズコールは移民労働者からハリウッドのタイクーンになった人物である[4]

彼は若くして新大陸に渡り、モップ拭きからスタートして毛皮商として成功し、そして後に劇場王となる同業者の親友、マーカス・ロウ[注 1]に触発され、ボードビル会社を設立[注 2]。次いでニッケルオデオン興行から映画配給、映画製作へと進出した。

1912年、製作プロダクションの乱立で作品の質の低下に行き詰まりを感じたズコールは、1906年頃にフランスに起こった、文学や戯曲の名作を当時の人気舞台俳優たちに演じさせて映画を作る芸術映画運動(フィルム・ダール)[注 3]に注目して、フランスに行き、当時舞台での大女優サラ・ベルナールを口説き落として全財産を注ぎ込んで製作したのがサイレント映画の大作「エリザベス女王」で、これをアメリカに逆輸入して大ヒットさせた。ズコールはこれに力を得て同年映画スタジオを設立、「・・有名な戯曲を有名な俳優によって映画に・・」(あるいは「・・名優を名作で・・」[6])をキャッチフレーズにフェーマス・プレーヤーズと名付けた[7]

この時ボードビリアンのジェシー・ラスキー、手袋商のサミュエル・ゴールドフィッシュ[注 4](後にゴールドウィンと改名)、当時脚本家で後に大プロデューサーとなるセシル・B・デミルらと組んで、翌1913年にハリウッド初の長編映画「スクォー・マン」を製作する[8]

さらには、D・W・グリフィスが『國民の創生』(1915年)、『イントレランス』(1916年)を次々発表。ズーカーの経営手腕は凄まじいもので、人気スターの出演作を次々購入・製作し、市場を奪われた興業者たちの間では「ズコールを止めろ!」が合言葉になる程であった。20年半ばでの収益はフォックスの2倍、ユニバーサルの3倍、ワーナーの5倍に及んだ[4]。やがて、ズコールとラスキーはそれぞれの会社と新興の配給会社パラマウントを併合して、フェイマス・プレイヤーズ・ラスキー・スタジオとなり、それが今日のパラマウント・ピクチャーズとなった。
オープニングロゴパラマウントスタジオが75周年を迎えた際、画家のDario Campanile(写真右)によって、ロゴが手直しされた。この原画はパラマウントスタジオに展示されている。

ピラミッド型の特徴的なパラマウント山は、創業以来、同社のプロダクションロゴの主役であり、現存するハリウッド映画のロゴとしては最も古いものである。サウンド時代には、このロゴに、1930年に公開された同名の映画にちなんで「パラマウント・オン・パレード」というファンファーレを付けていた。このファンファーレの歌詞は、もともと1930年の映画で歌われたもので、"Proud of the crowd that will never be loud, it's Paramount on Parade. "というものである。

伝説によると、この山はウィリアム・ホドキンソン(en:William Wadsworth Hodkinson)がアドルフ・ズコールと打ち合わせをした際に作った落書きが元になっているという。これは、彼が幼少期に過ごしたユタ州での思い出が元になっていると言われている。ユタ州のベン・ローモンドがホッドキンソンの落書きした山で、ペルーのアルテソンラジュが実写のロゴの山だとする説や、イタリア側のモンヴィーゾがこのロゴのモチーフになったとする説もある。ロゴの版によっては、ワサッチ山脈のもう一つの山であるファイファーホルンや、スイスとイタリアの国境にあるマッターホルンに酷似しているものもある。また、アラスカのハンティントン山にも酷似している。

映画ロゴは、長年にわたって多くの変化を遂げてきた。

このロゴは、木炭で描かれた山に星を重ねた、やや不鮮明なものから始まった。これは、パラマウントが当時24人のスターと契約していたことから、当時の俳優の契約制度にちなんだものであった。

1951年、このロゴはヤン・ドメラの手によるマットペインティングとしてリデザインされた。

1953年には、3Dで製作されたパラマウント映画のために、より新しく、よりリアルなロゴがデビューした。1954年初めから半ばにかけて、ワイドスクリーン・プロセスのビスタビジョンで製作されたパラマウント作品用に作り直されたものである。「VistaVision - Motion Picture High Fidelity」というテキストは、タイトルシーケンスに消える前に、パラマウントのロゴの上に短く表示されることが多かった。1968年初頭、「A Paramount Picture/Release」のテキストが「Paramount」に短縮され、下部に「A Gulf+Western Company」のバイラインが入り、星の数が22に減らされた。1974年には、Paramountの文字とGulf+Westernの文字が異なるフォントで表示されるようになり、さらにデザインが変更された。

1975年9月には、その後何十年にもわたって使用された1968年のロゴのデザインを踏襲し、ブルーの濃淡でシンプルなロゴに変更した。パラマウント・テレビジョンでは、1968年からこのロゴを使用していた。

1986年12月には、湖と星をCGで表現した全く新しいロゴを発表した。このバージョンのパラマウントのロゴは、ダリオ・カンパニレがデザインし、フリップ・ユア・リッド・アニメーション、オムニバス/アベルがCGIの星を、アポジーが山をアニメーション化した。このロゴでは、星は以前のように山の上に重なるのではなく、画面上を横切るようにしてアーチ型に移動するようになっていた。このロゴのリニューアル版は、1999年6月30日に「サウスパーク/無修正映画版」で公開された。

2002年3月には、夜空から流れ星が落ちてきてアーチを描き、その間にパラマウントのロゴが飛び込んでくるという新しいロゴが登場した。2010年5月7日公開の『アイアンマン2』では、このロゴのリニューアル版も登場した。エベレストのサウスコル付近が主なモチーフとなっている。音楽は、『ミーン・ガールズ』でのみ使用されたパラマウント・オン・パレードが使われている。このロゴは、DVDとBlu-rayの発売時に、2019年3月5日まで「Viacom」のバイラインによる初代のままで採用され続け、『インスタント・ファミリー ?本当の家族見つけました?』で使用は終わった。

2011年12月16日、DevastudiosがTerragenを使用して行ったアニメーションで、リニューアルしたロゴが発表された。新しいロゴは、周囲の山脈と背景で輝く太陽を含んでいる。マイケル・ジアッチーノが、このロゴの新しいファンファーレを作曲した。彼のファンファーレの仕事は、パラマウント・プレイヤーズやパラマウント・アニメーションのロゴ、パラマウント・テレビジョン・スタジオのロゴに引き継がれ、68ウイスキーとともにパラマウント・ネットワーク・オリジナル・プロダクションのロゴにも使用されている。

2022年、ViacomCBSがパラマウントの名称とブランド名を全て引き継いだ後、パラマウントのロゴの下部に「Pictures」の文字が復活した。

パラマウント訴訟

アメリカの映画史を語る場合に、1948年の「パラマウント訴訟」[注 5]を外すことはできない。パラマウントの創業者のズーカー、フォックスの創業者ウイリアム・フォックス、ユニバーサルの創業者カール・リームル、MGMの創業者のルイス・B・メイヤーとマーカス・ロウ、そしてワーナー兄弟らは最初は映画興行者としてこの世界に入った。そして彼らはやがて映画興行の分野から配給業者として配給の分野を抑えて、やがて映画製作の分野に進出した。そして製作・配給・興行の三部門をいずれも自社で賄い、特に映画館をそれぞれが自社の傘下に入れて、ほぼ市場を独占して寡占化の状態となった。

こうした製作・配給・上映を垂直に統合した構造的連携は前例のない競争力を発揮して、製作者は作っても上映されない不安はなく、映画館は毎週のプログラムに穴があくような作品不足を心配することはなく[注 6]、配給者は製作側と上映側との調整で効率的に宣伝活動が行える体制が出来上がった。こうした製作・配給・上映を連結させた垂直統合構造[注 7]が主流となり、これに最も尽力したのがアドルフ・ズーカーでパラマウントは早い時期からアメリカの映画会社のメジャーとなった[9]

1940年代にはアメリカ映画界のメジャー会社としてパラマウント、MGMワーナー・ブラザースRKO20世紀フォックス[注 8]のビッグ5と、ユニバーサルコロンビアユナイトのリトル3を合わせて8社が挙げられていた。


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