2021年現在、Amazon Prime VideoとDMM動画にて高画質(HD)レンタル配信が行われている[20][21]。 それまでの今敏作品と同様に「虚構と現実」というモチーフが使われ、シームレスにつながった夢と現実が激しく切り替わり、現実と虚構の境目が分からなくなる世界を独自のリアリズム表現で描いている[8][13]。夢と現実の境界が曖昧になるというのは、現実が妄想に浸食されるという恐怖に震えた『パーフェクトブルー』や騙し絵のような世界が繰り広げられた『千年女優』とも重なる表現であり、加えて、事件の真相に絡むスペクタクルかつエロティックなシーンとも相まって、観客に感激と官能の昂揚感をわき上がらせる[13]。 今にとって「虚構と現実」というのは、対になる対照的な概念ではなく、どちらも「描かれたもの」という点では同質であり、両者を分けるのは「そこに描かれているもの」だけである[22]。また今が画面を作るときに実景を引き写す(トレースする)ことはほとんどなく、画面にはリアリティより「それらしさ=抽象性」の方を強く求めていた[22]。つまり、観客が「本物みたいだ」と感じるリアリティに溢れた画面が、それを描かせた今自身にとっては「単なる絵」であり、アニメだからこそ現実と虚構の2つを区別するものは、表現の水準では本質的に存在しないのである[22]。このギャップこそが今敏作品を支えている仕掛けを生んでいる[22]。『パプリカ』の場合も「夢」と「現実」がともに「描かれた現実」であることには変わりがない[22]。
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