パプリカ_(アニメ映画)
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また、夢の描写は、原作を忠実に踏襲するのではなく、新たに映像に合ったイメージを考えるようにした[1][12]。小説の夢の描写は素晴らしいものの、それはやはり説明によって随時イメージを補足することができる文章表現だから成立するもので、夢が次から次へと流れて行くイメージを表す映像において、説明というのはその流れを止めることに他ならないからである[1][12]

今は『パプリカ』では映画全体を華やかなイメージにしたいと考えていたので、他のアニメ作品のイメージも取り込めばよりイメージが厚くなるのではないかと考え、主役など中心的キャラクターには前作『東京ゴッドファーザーズ』とは対照的に声優として有名な人物を積極的に起用することにした[12]。また、夢のシーンをたっぷりと描く時間を確保するためになるべく人物の説明や描写を省こうと考えた今は、キャラクターデザインでは外見と内面の一致を心掛け、キャスティングもそのキャラクターのイメージに素直に従っている[12]

脚本は、今のテレビシリーズ『妄想代理人』でも組んだ水上清資が共同脚本として名を連ね[13]キャラクターデザインおよび作画監督は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』の安藤雅司[14]、音楽は『千年女優』と『妄想代理人』を担当した平沢進[14]、美術監督は、今の全作品に参加している池信孝が担当した[15]

予算は約3億円で、制作期間は企画から完成までに約2年半かかった。その内訳は、脚本などのプリプロダクションに半年、絵コンテから実際の作画や撮影、音響作業、完成までが約2年である[1]
配給

『パプリカ』の国内での配給は、前作『東京ゴッドファーザーズ』から引き続き日本のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが担当し、2006年11月25日から公開された[8][9]。関東圏3館でまず限定公開され、初日2日間で合計動員2,210人、興収3,460,500円を記録、公開8週間目に累計で71,236人を動員、興行収入1億円を突破した[16][17]

本作は2007年5月24日より北米でも公開を始め、配給会社も『東京ゴッドファーザーズ』の時より大きなソニー・ピクチャーズ・クラシックスに移った[8]。公開当初はニューヨークロサンゼルスの2館上映だけだったが、その後公開劇場を次第に拡大して行き、最大で37スクリーン同時上映となった[18]。しかし、トータルの公開劇場数はこれを大きく上回り、最終的に上映館数は80館以上となった[18][19]。これは限定公開と言われる方法で、都市部などの熱心な映画ファンに向けた小規模公開になる[19]。米国で日本アニメが劇場公開されること自体が珍しく、2000館から4000館の劇場数を必要とする全米公開が行なわれることは滅多にないため、日本の劇場アニメの米国での公開は、この限定公開が一般的となっている[19]。しかし、限定公開とは言え、80館を超える上映規模は、かなり大きなものとなる。今監督の前作『東京ゴッドファーザーズ』は10館、『千年女優』は6館であった。また同じ日本アニメでは、比較的劇場数が多かった2004年の『イノセンス』で55館、2005年の『スチームボーイ』で39館であった[19]。興行収入は、公開19週目には87万ドル(当時の円換算115.5円で1億円)を突破し、最終的には88万2267ドル(約1億2,000万円)となった[18]。当時、アメリカで日本の劇場アニメが興収1億円を突破したのは2005年の『ハウルの動く城』以来2年ぶり(通算12作目)であり、なおかつ成人向けを示すR指定の劇場アニメに限れば、本作と2003年に公開された『カウボーイビバップ 天国の扉』の2作品しかなかった[18]。『パプリカ』は大人向けの劇場アニメが受け入れられないとされる米国で、着実な実績を築き大きな成果を残したと言える[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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