パプリカ_(アニメ映画)
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謎の解明に挑む美人セラピスト千葉敦子は、極秘のセラピーを行うため、DCミニを使用して性格も容姿もまったく別人の夢探偵パプリカに姿を変え、クライアントの夢の中へと入り込む。しかし、狂ったイメージに汚染された夢の中では、おぞましい罠がパプリカを待ち受けていた…[5]
登場人物

千葉敦子(ちば あつこ) / パプリカ
- 林原めぐみ本作の主人公で、研究所でも一目置かれているサイコセラピスト。DCミニを使用し別人格パプリカの姿で患者の夢に潜り込み、悪夢の原因を探るなどの治療を行っている。常に冷静沈着で理知的なクールビューティーだが、彼女の別人格であるパプリカは天真爛漫で無邪気な少女のような姿をしている。DCミニが盗まれたと知ったときには時田の管理能力の低さに厳しい言葉を浴びせるが、彼の天才的な技術には絶大な信頼を寄せている。装置の悪用による島の発狂現場に居合わせており、悪夢の中に潜って彼を現実世界へと引き戻した。その後も立て続けに起こる事件を食い止めるため犯人探しに奔走する。

島寅太郎(しま とらたろう)
声 - 堀勝之祐千葉らが所属する研究所の所長ならびにDCミニの開発担当責任者を務める、明朗快活な白髪の男性。物語序盤でDCミニの悪用による精神攻撃を受けたことで発狂し、研究所の窓から飛び降りて大怪我を負う。昏睡状態のまま悪夢に捕らわれてしまうが、千葉(パプリカ)の活躍により無事に現実世界へ戻ることができた。覚醒後は千葉らと協力し、事件の犯人を追う。

時田浩作(ときた こうさく)
声 - 古谷徹千葉らと同じ研究所で働く研究員。DCミニの開発者であり天才科学者と称されているが非常に子供っぽい性格で、エレベーターから出るにも苦労するほどの肥満体型。DCミニを盗んだ氷室とは友人であったため、彼に対して疑問と怒りを覚えていた。同僚の千葉とは親しい仲で、気さくに「あっちゃん」と呼んでいる。

粉川利美(こながわ としみ)
声 - 大塚明夫千葉(パプリカ)による治療を受けている刑事。悪夢に悩まされており、旧知の仲の島からDCミニによる治療を紹介された。強面だが少し抜けている面もあり、コミカルで親しみやすい男性。研究所を訪れた際、初対面の千葉に見惚れ、同時にパプリカの正体が彼女であることを見抜いた。

乾精次郎(いぬい せいじろう)
声 - 江守徹研究所の理事長を務める老人。下半身不随のため車椅子で移動している。DCミニをあまり快く思っておらず、危険性を重視し開発中止も検討している。

小山内守雄(おさない もりお)
声 - 山寺宏一研究所の職員。千葉に好意を抱いているが相手にされておらず歯がゆい思いをしている。また、優秀な時田に対して嫉妬心を抱いているなど少し影のある青年。

あいつ
声 - 田中秀幸粉川の悪夢に登場する男性で、シルエットに覆われておりはっきりとした姿は見えない。終盤でようやく粉川は彼の正体に気づく。

日本人形
声 - こおろぎさとみ劇中の悪夢に必ず登場する、おかっぱで赤い着物を着た無表情の日本人形。他人の顔に変化したり、巨大化することもある。

氷室啓(ひむろ けい)
声 - 阪口大助時田と共にDCミニの開発に携わっていた研究員。時田の才能に嫉妬しDCミニを無断で持ち出すが、自身も悪夢に飲み込まれ昏睡状態となる。

津村保志
声 - 岩田光央

柿本信枝
声 - 愛河里花子

レポーター
声 - 太田真一郎

奇術師
声 - ふくまつ進紗

ウェイトレス
声 - 川瀬晶子

アナウンス
声 - 泉久実子

研究員
声 - 勝杏里

所員
声 - 宮下栄治

ピエロ
声 - 三戸耕三

その他
声 - 遠藤圭一郎、高山まさみ、小林將則、矢部陽子、水口博史、阿南あさみ、浅野雄、本間美保、林理幹上田星子

玖珂
声 - 筒井康隆(特別出演)ネット上でのバー「RADIO CLUB」のバーテン。

陣内
声 - 今敏(特別出演)「RADIO CLUB」のバーテン。
スタッフ

原作:
筒井康隆

監督:今敏

企画:丸山正雄(マッドハウス)

脚本:水上清資、今敏

キャラクターデザイン・作画監督:安藤雅司

作画監督補佐:井上俊之、井上鋭、三原三千夫

原図協力:末武康光

色彩設計:橋本賢(DR TOKYO)

美術監督:池信孝

美術監督補佐:東地和生

撮影監督・CGディレクター:加藤道哉

編集:瀬山武司(瀬山編集室)、神宮司由美(DR TOKYO)

演出助手:吉野智美

タイトルデザイン:イナガキキヨシ

音楽:平沢進

音楽制作:ケイオスユニオン

音響監督:三間雅文テクノサウンド

音響効果:倉橋静男(サウンドボックス

効果助手:米原想(サウンドボックス)

録音スタジオ:アオイスタジオ、トライスクルスタジオ

音響制作:テクノサウンド(中島朋子・丸浩育)

支援:文化庁

制作プロデューサー:豊田智紀

制作担当:橋本健太郎(マッドハウス)

アニメーション制作:マッドハウス

配給・宣伝:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

宣伝プロデューサー:後藤優

アソシエイトプロデューサー:二方由紀子(マッドハウス)、森島太朗

アシスタントプロデューサー:原史倫(マッドハウス)、小川淳

プロデューサー:丸田順悟(マッドハウス)、滝山雅夫(ソニー・ピクチャーズ)

製作:パプリカ製作委員会(マッドハウス、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)

エンディングテーマ:平沢進白虎野の娘

制作

小規模公開だったこともあり、『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』は、共に当初はリクープ(製作投資資金の回収)が出来ずに苦労した。しかし、『パプリカ』の企画の頃には今の名前は映画関係者にも知られるようになっており、評価もすでに確立していたことから、この映画の制作が実現した[8][9]

実は最初の劇場作品『パーフェクトブルー』を撮り終えた後、今は次の作品としてその出資者だった会社のプロデューサーと一緒に『パプリカ』作ることを想定していたが、その会社レックス・エンタテインメントが倒産してしまったため、話は流れてしまった[10]。しかし、今の頭の中には1998年の時点で『パプリカ』の構想があり、監督デビュー作である『パーフェクトブルー』や第2作のオリジナル作品『千年女優』で「幻想と現実」「記憶と現実」の曖昧さや境界の揺らぎを描こうとしたのも、実は小説『パプリカ』のようなことを映像的に実践してみたかったからであった[1][10][11]。その後、原作者の筒井康隆に会って映画化の許可をもらった時には、ずっと思い描いていたことが実現したような気がしたという[10]

同じ原作のある作品でも『パーフェクトブルー』のように作品の根幹となる部分を変更したわけではないが、『パプリカ』も映画に合わせて原作の内容を一部変更している。『パプリカ』の場合は、原作のボリュームが大きくて映画一本に収まるものではないことと、映画化時点で原作の出版からすでに十数年が経過しており、その間に多くのクリエイターたちが『パプリカ』に触発されたアイディアを映像など色々な媒体で具現化していたため、原作をそのまま踏襲する形での映画化はできないと考えたからである[1][12][注 1]。そこで今は、原作の文章表現や内容、個々のエピソードにではなく、原作の持つ態度に忠実であることにした[12]

原作のエピソードを忠実に映像化しようとするとTVシリーズ26本は必要になってしまう。しかし、今は原作の魅力は夢のシーンにあり、その夢の世界を映像ならではの表現でディテール豊かに描いてこそ成立すると思っていたので、TVシリーズレベルの画面のクオリティであるならば作る必要性を感じなかったことと、今に許されていたのは予算的にも時間的にも「90分以内の作品制作」だったことで、初めから映画以外に選択肢はなかった[12]。そこで、まず原作を一旦単純な形に戻し、その枠の中に原作の『パプリカ』だけでなく筒井の他の作品からも取り込めそうなアイディアを収めて行くことにした。今にとって映画『パプリカ』は単なる原作の映画化ではなく、筒井作品全てへのオマージュでもあったからである[1]


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