パニック障害
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このような症状を広場恐怖(アゴラフォビア)という[10]。広場恐怖の進展とともに、患者の生活の障害は強まり、社会的役割を果たせなくなっていく。そして、この社会的機能障害やそれに伴う周囲との葛藤が、患者のストレスとなり、症状の慢性化を推進する。
原因

発作が起こるメカニズムについては、解明がされていない。原因についてもまだ完全に解明されていないものの、脳内不安神経機構の異常によって起きると考えられている。パニック発作や予期不安、恐怖などもこの脳の機能のあらわれで、そこに何らかの誤作動が生じるために起こっていると考えられている。人の脳は、危険を察知すると警告を発するため、外敵や有害物質に対する情報を脳に送る。パニック障害は、この警報システムが誤作動を起こすことで、実際には起きていない危険情報によって生じた恐怖心が自律神経へと伝達されて、交感神経が誤って興奮状態となることで発作が引き起こされる、とする説が有力である。また、ストレスを感じやすい人、ストレスへの対処の苦手な人はパニック障害を発症しやすいというデータがある[11]
生育環境要因
アルコール依存症、薬物依存症、DV、共依存、HSP、PTSD 心的外傷後ストレス障害からなる発育環境を幼少期から持っている者の場合は、これらの環境から離れて自立することで改善されるケースもある。とくにPTSDを持ちながらパニック障害のみの症状を訴えて医療機関に受診するケースがあると治療者も根本的要因が分からないために治療も進まなくなるため、うつ病などの他の症状も訴える場合、ストレスや不安感が増えるごとに症状も増え治療自体が難治化する。親子で共依存の生活を共に送っている場合はどちら側にもこの環境から離れることが互いの治癒になることもある。また、薬物依存などの物や人への依存対象がある際は依存対象に依存する理由とその現実を受け入れた上で離れることが自身の人生を幸せに生きるための治癒をもたらす可能性がある。はじまりに耐え難い経験、恐怖心などを伴うトラウマを受けたあとでパニック障害のような症状出現の可能性は十分にある。PTSDの症状とパニック障害の治療は似て異なるが、パニック状態は同じであることもあり、これらをそれぞれ見極めるためには生い立ち要因を思い出すことが治療に有効である。パニック障害ではなくPTSDの場合はパニック障害と治療法が異なることもあるが、発作の症状出現がPTSDの症状と同じ人がいる。この場合はパニック障害の治療では治らないことがあり人生の半分以上に渡り治療が必要になってしまう者の場合は、周囲にいた人々が自身に与えた影響はどんなものでどんな人物だったか、幼少期の発育環境要因を疑うことで自身の発作がPTSDと認識が変わると症状や治療との捉え方が変わることで発作が自然と改善、根治される可能性もある。ただし強い恐怖心などを伴う際は独断ではなく専門家の指導が必要である。
心理社会的仮説
直接の原因ではないが、ストレスや過労が最初の発作の原因になると考えられている[12]。パニック発作が起きた状況が条件づけられ、しばしばその状況を避けるようになり、積み重なって最終的に広場恐怖が形成される[3]
生物学的仮説
脳のノルアドレナリンにより引き起こされる不安感がいきすぎないように抑える働きのあるセロトニンという神経伝達物質が不足したり、または受容体が鈍くなっているためではないか、という説。また、セロトニンの過剰によるという説もある。選択的にセロトニン系に作用する新しい抗不安薬(SSRI)が開発され、不安障害の治療に中枢セロトニン系が関与していることが明らかとなった。SSRIはほとんどの不安障害亜型に有効であることが明らかになり、古典的な抗不安薬であるベンゾジアゼピンよりも広い適応を有する。セロトニン系抗不安薬は扁桃体に投射するセロトニン系の機能を増強して不安・恐怖を減弱すると考えられる。
薬物による原因
喫煙

喫煙はパニック障害の発症リスクを増加させ、これは広場恐怖症パニック発作を持っているかどうかに関わらない[13][14]。また若年時の喫煙はパニック発作の形成リスクを著しく高める[15][16][17]。一方でその機序は十分には解明されておらず、一部に異論もある。喫煙は呼吸器に影響を与えるため、発作を引きおこす可能性がある[15][18]
カフェイン

カフェインのような覚醒作用を持つ物質の摂りすぎは、パニック発作の一般的な原因である[19]。パニック障害を持つ人は、カフェインの不安誘導作用に敏感である[20]
アルコールと鎮静薬

米国のデータでは、パニック障害患者の30%がアルコールを摂取し、17%がその他の向精神薬を使用している[10]。これは米国では一般的に61%がアルコールを使用し[21]、7.9%がその他の向精神薬を使用していること[22]と比較してである。娯楽薬物の使用やアルコールの使用は、症状を悪化させる[23]。カフェイン、ニコチン、コカインなどの覚醒作用を持つ薬物は心拍数などのパニック症状を増加させるので症状を悪化させる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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