パトロールカー
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トランクに自動車ナンバー自動読取装置が設置されたアレクサンドリア市警察のパトカー日本のNシステムと似たようなものだが、車載になっているのが特徴[52]。トランクなどにカメラを設置し、傍を通過した車両のナンバーを読み取る。装置が読み取ったナンバーの情報は日時やGPSの座標データと共に電送することができる[53]。どのような部署及び車両に搭載するかは各警察機関の判断となる[注 7]
トラフィックシグナルライトチェンジャー
信号を変える装置。緊急走行中に前方の信号機を操作することによって、より安全な通行・追跡を可能にする。
レーダー
主にスピード取締を目的とするパトカーのみに搭載されることが多い。
車両に搭載される用具
逃走車のタイヤをパンクさせるスパイクストリップ、パイロン、事件現場を仕切るためのバリケードテープ、発煙筒、救急資機材(人工呼吸用マスクの付いた医療用酸素のボンベ、絆創膏)、予備の警棒など。大抵はトランクに搭載される。
パトカーの乗務員になる為の訓練

アメリカでは地域警察の中核にパトカーによる警ら活動がある。日本のような交番制度が極一部にしかなく[注 8]、日本と比べて遥かに広い管轄を守るには自動車が必要不可欠である(逆に、街中で見かけるパトカーの種類と数も、地元自治体だけでなく郡保安官あり州警察あり、日本の比ではない)。またそういった事情から、全くの新人が最初にパトロール部門に配属される点は日本と同じだが、新人もまたパトカーの乗務から警察官としてのキャリアを始めることが一般的である。故にパトカー運転技術の習得は全ての警察官にとって必須になっており、警察学校で初任教育を受ける警察官は全員が操縦課程を受講しなければならない。

緊急車両の操縦技術訓練は「Emergency Vehicle Operator Course」通称EVOCと総称され、直訳すると「緊急自動車操縦者課程」になる。初任の候補生が受ける基本的なものから、現職が受ける操縦訓練、白バイの操縦訓練などを包括する。訓練内容は故意に車をスピンさせるもの、パイロンで作られたコースを走る前走車を追尾するもの、三箇所ある信号機のうち「青」になったところを瞬時に判断して通過するもの、フリーウェイで一般車を抑制するためのジグザグ運転など様々。

アメリカの映画やドキュメンタリー番組で見られる、車体を被疑車両にぶつける強制停止措置「PIT maneuver(PITマニューバ)」の訓練もEVOCに定められる。PITは基本的な訓練には含まれず、後に所定の訓練を受けなければならない。またPIT資格を有していない警察官は実施することができない。
PITマニューバ

車両を被疑車両にぶつけてスピンさせるなどし、逃走の継続を阻止する強制停止措置。PITの意味には諸説あり、Pursuit Immobilization Technique(追尾走行阻止技術)、Precision Immobilization Technique(精密走行阻止技術)、 Push It Tough(強く押す)など。いずれにしても、逃走を阻止するために車体をぶつけて被疑車両を押す、という意味が含まれる。なお、スピンさせたからと言って被疑車両が必ずしも走行不能になるわけではないので、態勢を立て直して引き続き逃走するケースも見られる。このようなケースを防ぐ為に、スピンして停止した車両を他の警察車両で取り囲んで銃を向け運転者を降車させて手錠を掛けたり(日本と異なり、すぐに解放すれば「逮捕」ではない)、場合によっては前後・左右から警察車両をぶつけて完全に包囲する事もある。

PITは以下の三つの過程を経る。
パトカーの前部フェンダーの角あたりを、目標の後部フェンダー辺りに当てる。

当たったらそのまま舵を切り、目標のフェンダーを介して後輪に横方向の力を生じさせる。

目標は後輪に発生した横方向の力により、安定を失ってスピンする。

実行にあっては、管轄機関の当直責任者などの指令に基づく必要があるのが一般的。概ね時速50マイル(約時速80km)以下では致死性の威力行使とはならず、PITの違法性は阻却される。しかし最近では横滑り防止装置の普及により、後輪に外部から横方向の力を入力しても装置が減衰してしまうため、PITの効果が薄れているとの見解もある。[54]

このようにPITは制度として現在は確立されており、警察官が思いつきでぶつけているわけではない。よって、同様のことを日本の警察官がやることはできず、もし場当たり的にやった場合はその警察官及び都道府県警察が刑事・民事双方で、違法性が問われる恐れがある。
車両の評価制度

警察車両はその性能が任務や運営費を左右することから、警察独自の評価制度を設けて警察向け車両の試験(警察車両アセスメント)を行うことがある。有名なものは、ミシガン州警察とロサンゼルス郡保安官によって実施される試験。これらの機関では毎年各メーカーの警察向け自動車及びオートバイを集めて試験を実施しており、試験内容やその結果は一般にも公表されている。試験項目は周回路でのラップタイム、急加速、急制動、追尾を想定した走行試験、燃費、居住性、無線など機器の設置性、快適性、整備性など多岐に及ぶ。

審査は、ミシガン州警察は警察官及び民間の協力者によるテストチームが、ロサンゼルス郡保安官のものは同郡保安官助手とロス市警警察官の合同テストチームが、それぞれ行っている。

これら以外の機関でも調達にあたって独自のテストを行うことがあり、性能やコストのバランスが勘案される。よって調達単価が安ければ採用されるとは限らない。

ミシガン州警察の車両評価(英語)

ロサンゼルス郡保安官のパトカー評価、 ⇒同白バイ評価(いずれも英語)

中古パトカー日本で登録された中古パトカー

国民から徴収した税金で調達した装備を国民に還元する、また、不要となる資産から売却益を得る、という考え方から、日本とは異なり警察が競売などで積極的に売却しているため、中古パトカーは広く流通しており、中古パトカー専門業者も数多くある。新車市場が年間7万台ほどのようなので、単純に考えて毎年数万台のパトカーが中古として放出されていることになる。

放出車はワーニングライトやラジオなどの警察用装備は取り外された状態にされ、入札によって売却先を決定する。先述の専門業者が落札することも多い。そのようにして放出されたパトカーは、予算規模の小さい警察が購入して再びパトカーとして使用することもあれば、タクシーとして使用されるもの、一般の中古車と同様に個人の自家用車として使用されるものがある。中には熱心なパトカー愛好家により、再びパトカーの装備を施されて趣味として楽まれる車もある。そのような再びパトカー仕様に改造された車は日本からでも購入可能であり、日本の保安基準を満たしていれば登録して実用することも可能である。パトカーは酷使される一方で整備が行き届いている個体も多いため、長持ちする事を考えてあえてパトカーを購入する者もいる。
レース仕様車

アメリカではアマチュアが参加するドラッグレースなどの草レースが盛んだが、これにレース仕様のパトカーが時々出ている。ほとんどが警官による自主的な広報活動を目的としたもので、麻薬追放や公道における違法レースの撲滅、及び合法レースへの参加を呼びかけるものが多い。車両購入と改造、レース出場にかかる諸費用は警官有志が自費負担している。車両は基本的にそのレースの種類に応じたレーシングカーで、警光灯などを装備してパトカーとしているのが特徴。所属している機関の許可が出れば、公式シンボルマークや名称ロゴを車体に施すこともある。
日本のパトカーが関係した主な事故.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節に雑多な内容が羅列されています。事項を箇条書きで列挙しただけの節は、本文として組み入れるか、または整理・除去する必要があります。(2024年5月)
緊急走行で赤信号に進入したパトカーが
徐行せず、一般車を巻き込んだ衝突事故

1998年(平成10年)

11月16日 - 熊本県熊本市十禅寺町の市道で、酔って路上で眠ってしまった20代男性を通行人が発見。「車に轢かれるおそれがある」と心配して110番通報、保護を要請した。しかし現場に向かった熊本南警察署地域課のパトカーは事前の情報が有ったにも関わらず路上の注意警戒を怠り、男性に気付かないまま、倒れていた男性の右肩や胸部などをパトカーの前輪で轢く人身事故を起こした。パトカーは男性を引きずったままの状態で約1m進み、ようやく停止した。男性は救急搬送され、上半身や顔などに全治3週間の重傷を負った。2003年1月、被害男性は「警察からの賠償算定に不服がある」として、熊本県に対して総額100万円あまりの損害賠償を求め 熊本地方裁判所に提訴した。[55]


2002年(平成14年)

4月15日 - 千葉県九十九里町の県道交差点で、不審車を緊急走行で追跡していた千葉県警自動車警ら隊のパトカーと、成東警察署地域課のパトカーが出会い頭に衝突する事故を起こした。警ら隊のパトカーが後方から追い詰め、成東署のパトカーが違う道を先回りして行く手を塞ごうとしたところ、この2台が九十九里町の交差点で出会い頭に衝突。このうち1台が衝突の弾みで飛ばされ、近くの金物店に突っ込む二次被害まで起こした。この事故で双方のパトカーの助手席に乗っていた警察官2名が重傷、他の3名が軽傷を負った。[56]


2003年(平成15年)

3月24日 - 岩手県盛岡市中央通1丁目付近の県道交差点で、盛岡東警察署地域課の20代巡査が運転するパトカーが緊急走行で交差点を右折しようと加速した際、横断歩道を左から歩いてきた71歳の高齢女性をはねる人身事故を起こした。


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